企画書を出したら、部署の若手にこう言われた。「それ、いりますか」。
社内イベントの担当になった方から、この種の話をよく伺います。上からは交流を増やせと言われ、下からは「いらない」と返ってくる。板挟みのまま、日程だけが決まっていきます。
この記事は企画する側に立って書いています。問題は企画の中身ではなく、開催の条件のほうにあります。
結論:社内イベントが「いらない」と言われる最大の理由は、業務時間外に時間を奪われ、得るものがないと感じることです。 会社員300人への調査では、社内イベントに47%が否定的で、肯定的だったのは23%にとどまりました。理由の上位は「プライベートを優先したい」「内容が楽しそうに思えない」です。 一方で、参加したくなる社内イベントには共通点があります。業務時間内に行う、目的が明確である、食事の質が高い。この3つです。 嫌われる型と参加される型の違いを、人事・総務の視点で整理します。
調査数値は、株式会社セルバの会社員300人調査とHR総研の社内コミュニケーション調査を参照しています。料理形式は立食パーティーの料理設計と法人向けシェフ派遣の仕組みでも詳しく紹介しています。
結論 社内イベントが嫌われるのは「時間を奪われて、得るものがない」から
社内イベントが「いらない」と言われる最大の理由は、業務時間外に時間を奪われ、得るものがないと感じることです。参加したくなる社内イベントには、業務時間内に行う、目的が明確、食事の質が高い、の3条件が共通しています。
多くの担当者は「もっと面白い企画にしよう」と考えます。ですが社員が嫌がっているのは企画の中身ではなく、自分の時間が対価なしに使われることです。ここを動かさないまま企画だけを変えても、反応は変わりません。
社内イベントが「いらない」と言われる5つの理由

株式会社セルバが2024年11月から12月にかけて20〜50代の会社員300人に行った調査では、社内イベントに対して反対派が47%、賛成派が23%、中立派が29%という結果が出ています。反対が賛成の倍という数字です。
参加したくない理由の上位は「プライベートを優先したい」が168票、「内容が楽しそうに思えない」が130票、「職場の人間関係が疲れる」が116票。実務の言葉に置き換えると、次の5つです。
| 理由 | 社員が実際に感じていること | 担当者が打てる手 |
|---|---|---|
| 業務時間外に行われる | 拘束される時間が、給与にも評価にも反映されない | 業務時間内に移す |
| 実質的に強制される | 「任意」と書いてあるが、欠席しづらい空気がある | 欠席の理由を聞かない運用にする |
| 上司の話が長い | 聞く側に得るものがない | 挨拶の持ち時間を先に決める |
| 若手が幹事を押しつけられる | 準備の負担が評価に結びつかない | 企画と運営を外に出す |
| 食事の質が低い | わざわざ集まる意味を感じない | 予算を食事に寄せる |
最多だった「プライベートを優先したい」は、そのまま受け取ってよいと考えています。会社への不満というより、時間の使い道の話です。ここを「参加意識が低い」と解釈すると、対策を誤ります。
幹事の負担は、参加者以上に見えにくい問題です
この調査に、担当者側の負担は項目として入っていません。ですが実務では、若手が幹事を任され、通常業務に上乗せで準備を進める形が少なくありません。
それでも会社が社内イベントをやる理由
社員の側に反対が多いことは、数字のとおりです。ではなぜ会社は続けるのか。
HR総研が2023年1月に282社を対象に行った調査では、社内コミュニケーション不足が業務の障害になると考える企業が94%にのぼりました。「大いにそう思う」が69%、「ややそう思う」が25%です。
課題を感じる関係性は規模によって異なりますが、別の年次の調査では「部門間」を挙げた回答が58%で最多となっています。
つまり会社が期待しているのは、親睦そのものではありません。普段は話さない相手との間に、会話の経路をつくることです。
出社していれば、廊下で交わす一言がありました。その一言が、後日の相談を成立させていた側面があります。リモート勤務が定着した組織では、この偶発的な接触が構造的に失われました。
同じ調査では、大企業において「飲み会・ランチ補助」を実施した企業の50%が効果があったと評価しています。社員は「参加したくない」と言い、企業は「効果があった」と評価する。この二つは矛盾しません。内容ではなく条件によって、同じ施策の結果が分かれているだけのことです。
参加したくなる社内イベントの3条件
条件その一 業務時間内に行う
もっとも効果が大きく、もっとも実行が難しい条件です。業務時間内に移すだけで最大の反対理由が消え、プライベートを優先したい社員も天秤にかける必要がなくなります。
難しいのは、業務を止める判断が担当者の権限を超えていることです。ですから稟議では「親睦のため」ではなく、部門間の連携が業務の障害になっているという先ほどの数字を根拠にするほうが通ります。目的が業務改善であれば、業務時間を使う理屈が立つからです。
条件その二 目的が明確である
「なんとなく親睦のため」の会は、参加者が自分の役割を見つけられません。誰と何を話せばよいのか分からないまま、時間が過ぎるのを待つことになります。
表彰式やキックオフへの拒否感が比較的低いのは、「誰かを称える」「方針を聞く」という役割が最初から見えているからだと考えています。親睦が目的の場合も、「交流」ではなく「別部署の3人と話す」まで具体に落とすことをおすすめします。
条件その三 食事の質が高い
先ほどの調査で参加意欲が高かったのは、歓送迎会、忘年会・新年会、飲み会、ランチ会でした。逆に忌避されたのは社員旅行が146票で最多、続いて運動会、花見やバーベキューです。
この二つを分けているものは何か。前者はいずれも食卓を囲む会であり、後者は拘束時間が長く、身体を使う会です。食卓が「参加のコストが低く、離脱もしやすい」形式だということだと考えています。
嫌われる型と、参加される型 「面白い事例」を探す前に
社内イベントの面白い事例を探している担当者は多いと思います。ただ、事例を集める前に、型ごとの傾向を押さえるほうが早く進みます。
| 型 | 拘束時間 | 開催時間帯 | 参加のハードル | 傾向 |
|---|---|---|---|---|
| 社員旅行・運動会 | 長い | 休日が多い | 高い | 調査で最も忌避された型 |
| 飲み会(歓送迎会・忘年会) | 中 | 業務時間外 | 中 | 参加意欲は比較的高い |
| 表彰式・キックオフ | 中 | 業務時間内が多い | 低い | 目的が明確なぶん納得されやすい |
| ランチ会 | 短い | 業務時間内 | 低い | 参加意欲が高い型 |
| 料理・体験型 | 中 | 設計次第 | 低〜中 | 共同作業そのものが会話を生む |
傾向ははっきり出ています。拘束時間が短く、業務時間内に収まり、離脱が容易な型ほど受け入れられ、社員旅行や運動会はこの3つすべてに反しています。
事例を探すなら、3つの型で考える
他社事例をそのまま持ち込んでも、規模も文化も予算も違うため、たいてい機能しません。次の3つの型として抽象化して受け取るほうが応用が利きます。
- 業務時間内の食事系 昼に食事を用意し、部署を混ぜて座ってもらう型です
- 目的が明確な共有系 表彰や成果発表など、何を持ち帰るかが事前に見える型です
- 手を動かす体験系 調理や制作など、共同作業が発生する型です
3つ目が機能するのは、話すことが目的にならないからです。「交流しましょう」と言われると人は緊張しますが、手を動かしているうちに言葉が出てくる。この順番が大切だと私は考えています。
「食事が良い」だけで、社内イベントは変わる
ある法人の担当の方から、こんなお話を伺いました。普段の社内イベントはマンネリ化していたけれど、料理人を呼んだことで社内の反応がとてもよかった、と。
企画を変えたわけでも、会場を変えたわけでもありません。変えたのは食事だけです。それでも場の空気は変わります。
料理は、話題を供給し続けます
目的のない会話がもっとも難しいのは、話題がないときです。別部署の人と向き合って共通の話題を探すのは骨が折れます。ところが目の前に料理があると、それだけで話題になります。肩書きに関係なく、全員が同じ体験の中にいます。
料理には、手を塞いでくれる働きもあります。皿とグラスを持っていると沈黙が気まずくならず、次の料理を取りに行くという口実で会話を切り上げることもできます。
品数を横に広げるより、中心に一皿を置く
予算の使い方について、はっきり申し上げられることがあります。メイン料理があると、参加者の反応は明らかに上がります。
ビュッフェ形式の会では、私はローストビーフをお出しすることが多いのですが、これはすぐになくなります。ほかにどれだけ品数を揃えても、人が集まるのは中心の一皿です。
社員だけの会だからこそ、できること
社外の方が一人もいない会には、固有の自由があります。
取引先を招く会では、席次や格式に配る設計が必要になります。社員だけの会にはその制約がなく、その分をすべて話しやすさに振り向けられます。進行を独立した時間として立てず、食事の流れにかませていく。受付を終えた方から飲み物をお渡しし、人が集まった頃合いで乾杯に入ります。
そして何より、幹事も食べられる設計にできます。料理を先にすべて出しておけば、進行が押しても支障は出ません。運営に張りついている必要が減ります。
マンネリ化した社内イベントに、料理人が入るとき
Na Team Lab は、東京・恵比寿で一日ひと組・八席のレストランを営みながら、ご依頼先の空間に伺って料理をお出ししています。
正直に申し上げると、ご依頼をいただく法人の会は平日の夜と土日が中心です。この記事で「業務時間内が理想です」と書いておきながら、お手伝いしている会の多くは時間外だということになります。
だからこそ申し上げたいことがあります。時間外に集まっていただく以上、来てよかったと思える理由が要ります。その理由を食事が引き受けられるなら、担当者が背負うものは少し軽くなるはずです。
どこへ、どんな形で伺えるか
会場は、会社が押さえたパーティールームでの会をお手伝いすることが多くあります。これまでに70名規模の周年パーティーを立食ビュッフェ15種で、30名規模の会をクラブラウンジで、10名規模の会も承ってきました。
オフィスについては、食事をお運びする形やオードブル形式でのご提供を経験しています。現地で調理する場合は、必要な機材を持参します。火や水道のない場合が多いため、事前に設備を伺ったうえで設計します。
料金は、着席のコース形式でお一人 15,000円から(6〜16名さま)、ワインペアリング付きはお一人22,000円。17名さま以上のビュッフェ形式はお一人 8,000円からです。いずれも税・サービス料・出張費込みで、1回のご依頼につき 90,000円からとなります。
見積書・請求書・領収書の発行に対応し、インボイスも登録済みです。ご相談は公式LINEで承っています。
まとめ
社内イベントが「いらない」と言われるとき、社員は何を嫌がっているのか。要点を整理します。
- 反対の最大の理由は、業務時間外に時間を奪われ、得るものがないと感じることです
- 会社員300人の調査では反対派47%、賛成派23%。反対が賛成の倍にあたります
- 一方で企業の94%が、社内コミュニケーション不足を業務の障害と考えています
- 参加される会の3条件は、業務時間内、目的が明確、食事の質が高いことです
- 予算は総額より配分です。品数を広げるより、中心の一皿に寄せるほうが場は動きます
企画の中身を考え直す前に、開催の条件を一度疑ってみてください。
よくある質問
社内イベントの予算は、一人あたりいくらが目安ですか?
内容によって大きく変わるため、一律の相場はありません。Na Team Lab の出張料理は、17名さま以上のビュッフェ形式でお一人 8,000円から、6〜16名さまの着席コース形式でお一人 15,000円から承っています。いずれも税・サービス料・出張費込みです。
社内イベントへの参加を義務にしてもよいですか?
労務上の判断は社内規程や労働時間の扱いに関わるため、人事部門や社会保険労務士にご確認ください。設計の観点では、義務にするほど反発が生まれます。業務時間内に開いて参加を前提にするか、時間外なら完全に任意にするか、どちらかに寄せるほうが摩擦は少なくなります。
リモート勤務の社員がいる場合、社内イベントはどう設計すればよいですか?
全員が同じ体験をできない前提で組むほうが現実的です。出社日に合わせて会を開き、参加できない方には後日同じ内容を用意する二回開催が取りやすい形です。オンラインと対面を混ぜると、対面側だけが盛り上がり、画面の向こうに温度差が残ることがあります。
ご依頼の前に、料理を確かめる体験ランチ。
法人ケータリングをご検討中の方へ、恵比寿の店舗で料理をご体験いただけます。担当者様・役員の方々もご一緒に。1〜8名様 / お一人様15,000円(税込)・ドリンク込み / 約2時間・完全予約制。完全予約制・開始時間はご都合に合わせて調整。
法人ケータリングの体験ランチ
ご依頼前に、担当者様・役員の方を交えて。
1〜8名様・お一人様15,000円(税込)・ドリンク込み体験ランチの詳細を見る
