ワインと料理を一緒に楽しめる教室を探すなら、実演中に飲めるのか、実習後の食事で楽しむのかを先に確認しましょう。「ワイン付き」でも、学び方や提供のタイミングは教室によって異なります。
ワインを飲みながら学べる教室には、講師の実演を見ながらグラスを傾ける形と、自分で調理したあとの試食でワインを楽しむ形があります。どちらを選ぶかで、ワインが「学びの一部」になるのか、「食事のお供」になるのかが変わります。
この記事では、ワインを飲みながら学ぶ料理教室の選び方を、教室を開いている料理人の立場から整理します。受講形式の違い、申し込む前に確認したい五つの点、ペアリングまで学べる教室の見分け方、お酒を飲まない場合の考え方までまとめました。
ワインを飲みながら学ぶ料理教室は、受講形式とワインの扱い方で選びましょう。自分で作る実習型ではワインは試食時に楽しむことが多く、講師の手元を見る実演型では、手が空くぶん実演中からグラスを持てることがあります。申し込む前には、飲むタイミング、ワイン代が受講料に含まれるか、料理との合わせ方の説明があるか、ノンアルコールの用意と料金、人数の五つを確認してください。
ワイン付き料理教室は、飲むタイミングと受講形式を確認する
ワインを楽しめる教室には、講師の実演を見ながら味わう形式や、料理の実習と試食を組み合わせた形式があります。ワインが付いていることだけで、レッスン中の過ごし方は決まりません。
実習型の教室では、参加者が自分で手を動かします。包丁を握り、鍋を火にかけ、自分の手で一皿を仕上げる。これは学び方として理にかなっています。手が覚えたことは忘れにくく、自分でやってみて初めて分かることもたくさんあります。私自身、その価値を否定するつもりはまったくありません。
実習のある教室では、自分が担当する調理の範囲と、ワインを飲むタイミングを確認しましょう。
たとえば、Bellezzaのイタリア郷土料理コースは、デモと実習、レッスン後の試食、1グラスのワインを案内しています。「実習型ではワインを楽しめない」と一律には言えません。
実演を見ながら味わいたいのか、自分でも調理してから食事を楽しみたいのか。希望に合う形式を選ぶことが大切です。
申込み前には、ワイン代が受講料に含まれるか、種類や杯数が決まっているか、ノンアルコールへ変更できるかも確認しましょう。公開されていない条件は、教室へ問い合わせてから選ぶと安心です。
実演型なら、手が空くからグラスが持てる

講師が目の前で調理し、参加者はそれを見て学ぶ形式を、デモンストレーション型(実演型)と呼びます。
私たちの教室もこの形で、恵比寿の八席のレストランを、そのまま教室として使っています。講師が参加される方の目の前で料理を仕上げ、参加される方は包丁を握りません。鍋も火も、触れていただく必要がありません。
見て、聞いて、途中の鍋を味見する。それが実演型の受講スタイルです。
だから、手が空きます。手が空くから、グラスが持てる。
実演型では、調理を講師に任せて、手元を見ること、味見すること、質問することに集中できます。ワインを飲みながら学ぶことと、いちばん相性がよい形式だと私は考えています。
一方で、包丁の使い方を自分の手で練習したい方には、実演型は物足りないかもしれません。その場合は、実習のある教室で、ワインが試食の時間に出るのか、調理中から飲めるのかを確かめてみてください。
実演型を選ぶときは、人数も確かめてください。実演は、手元が見えなければ意味がありません。私たちの教室が各回8名なのは、もともと八席のレストランだからですが、実演を全員が同じ距離で見られて、同じ鍋が全員に回る人数としても、ちょうど良いところに落ち着いていると感じています。手元が見えない席がない、というのは実演型では大切な条件です。
もちろん、どちらが優れているという話ではありません。自分の手で作ってみたい方には実習型が向いていますし、味わうことに集中したい方には実演型が向いています。目的が違うだけです。
ワインを飲みながら学ぶと、何が身につくのか
ワインを飲みながら学ぶ教室で大切なのは、飲むこと自体より、調理の途中で味を確かめ、その変化について質問できることです。
味見が「作業」ではなく「体験」になる
手を動かしている最中の味見は、どうしても確認作業になりがちです。「これで合っているだろうか」と、正解を探しながら口に運ぶことになります。次の手順が頭にあるぶん、味そのものに向き合う余裕が生まれにくいのです。
手が空いていると、そこが変わります。味わうことだけに集中できるようになる。同じ一口でも、受け取れる情報の量がまるで違ってきます。
五味が組み上がる工程を、グラスと一緒に確かめられる
実演型の教室では、レシピの手順と、途中で味を確かめる考え方を一緒に学べることが多くあります。レシピを持ち帰れるかどうかも、確認しておきたい点です。
たとえばトマトソース。同じ鍋なのに、一手ごとに味が変わっていきます。塩を入れる前の、素材だけの味。塩を入れた瞬間に旨味が前に出て、味がひとつにまとまる感覚。そこへ酸味や甘味が重なって、立体感が生まれるところ。この変わり目を、参加者全員で味見していきます。
甘味・塩味・酸味・苦味・旨味。いま何が足りないのか、何を足せば変わるのか。私は独学の料理人で、誰かの厨房で覚えた手順を持っていません。そのぶん「なぜおいしくなったのか」を毎回自分の舌で確かめて、言葉にしてきました。グラスを持ったまま、その言葉を聞き、同じ鍋を味わう。飲みながら学ぶ時間の中心は、ここにあると思います。
質問が出やすくなる
これは私が現場で一番強く感じていることです。
「なぜ今それを入れたんですか」「家でやるなら何で代用できますか」。実演中は、気になったところで質問していただけます。
自分で調理を進める必要がないので、講師の手元や味の変化に目を向けられます。お酒を飲む方も飲まない方も、分からないことをその場で確かめられるのが、実演型のよいところです。
申し込む前に確認したい、五つのこと
「ワイン付き」「ワインを飲みながら」と書かれていても、中身は教室によってさまざまです。申し込む前に、次の五つを確認しておくと、当日のずれが少なくなります。
1. いつ飲めるのか
実演中から飲めるのか、調理が終わったあとの試食の時間だけなのか。レッスン中に味見と一緒にワインを楽しみたい方は、ここがいちばん大切な確認点です。
2. ワイン代は受講料に含まれるか、何杯までか
受講料にワインが含まれる教室もあれば、別料金の教室、一杯目だけ含まれる教室もあります。種類や杯数が決まっているかどうかも、あわせて確認しましょう。
3. 料理とワインの合わせ方の説明があるか
ワインが「食事のお供」として出るだけなのか、なぜその料理にそのワインを合わせるのかまで説明があるのか。ペアリングを学びたい方は、募集ページの内容や講師の経歴から判断してください。
4. お酒を飲まない場合の扱い
ノンアルコールドリンクが用意されているか、料金は同じか。一緒に参加する方がお酒を飲まない場合にも、事前に確かめておくと安心です。
5. 人数と開催時間
全員が講師の手元を見られる人数かどうか。昼の開催か夜の開催か。昼なら軽い一杯、夜ならゆっくり食事まで、というように、時間帯によって過ごし方も変わります。帰りの交通手段も考えておきましょう。
ペアリングまで学べる教室の見分け方
ワインを飲みながら学ぶなら、せっかくなので「なぜ合うのか」まで持ち帰りたいところです。料理とワインの合わせ方には、大きく二つの考え方があります。
- 同調:料理とワインの同じ要素を響かせ合う。ハーブの香りのソースに、ハーブ感のある白を合わせるなど
- 対比:足りないものを補い合う。クリームの重さを、酸のある白や樽の香ばしさで引き締めるなど
ペアリングを扱う教室では、こうした理由を言葉で説明し、実際に料理とワインを口の中で合わせて確かめる時間があります。同じ料理を二種類のワインで比べられるかどうかも、見分けるときの目安になります。ペアリングの考え方は、ワイン教室で学ぶ「なぜ料理と合うのか」でも詳しく書いています。
お酒を飲まない人も、参加できるのか
ここは、はっきり書いておきたいところです。
飲まない選択も、普通にできます。
ワイン付きの教室でも、ノンアルコールドリンクを用意しているところは少なくありません。私たちの教室でも、お酒を飲まれる方のグラスにワインが入るところへ、ノンアルコールが入る。違いはそれだけで、料金も変わりません。申し込む教室でも、料金と内容を確認しておきましょう。
その日は飲まないと決めている方も、そもそもお酒を召し上がらない方も、いらっしゃいます。グラスに何が入っているかで、受け取れるものが変わることはありません。
料理教室の中心にあるのは、料理がどう組み立てられているかを見て、味わって理解することです。お酒は、その体験を助ける要素のひとつという位置づけにすぎません。手が空いていることそのものが本質であって、そこに何が入っているかは二番目の話です。
グラスの中身は、どちらでも構いません。
一人で参加しても、楽しめるのか
ワインを飲みながらの教室は、一人で参加しづらいと感じる方もいるかもしれません。私たちの教室の様子から、お伝えします。
年齢層は、二十代から四十代の方が多いです。そして、お一人でいらっしゃる方が多いのも、このクラスの特徴です。意外に思われるかもしれません。
お一人で参加される方が多いぶん、その場で参加者同士が親しくなることもよくあります。八席の卓をぐるりと囲む形なので、自然と会話が生まれます。同じ鍋を味見して、同じところで「変わった」と声が上がる。共有できる体験があると、初対面でも話は早いようです。
一人で参加するなら、卓を囲む形か、カウンターに横並びか、という座席の形も確認しておくとよいと思います。囲む形のほうが、質問も会話も生まれやすくなります。
参加のきっかけとして一番多いのは、私たちの料理を召し上がって、学びたいと思ってくださった方です。食べたものの理由を知りたい、という順番でいらっしゃいます。だから最初から、聞きたいことを持って来てくださる方が多いのだと思います。
私たちNa Team Labも、恵比寿の八席で料理教室を開いています。各回8名・1回完結で、シェフが3品を実演し、参加される方はワインまたはノンアルコールを片手に、見て、味わい、質問する形式です(1回6,000〜12,000円、税込・ドリンク込み)。テーマは月替わりで、お一人での参加も歓迎しています。詳しくは料理教室のご案内をご覧ください。
まとめ
ワインと料理を楽しめる教室を選ぶ際の確認点を整理します。
- 受講形式:実演を見るのか、自分で調理する実習があるのか
- ワインの提供:飲むタイミング、料金に含まれる範囲、種類・杯数
- ペアリング:料理とワインの合わせ方の説明や、飲み比べがあるか
- 飲まない場合:ノンアルコールの用意と料金の違い
- 人数と時間帯:全員が手元を見られる人数か、昼か夜か
料理のどの部分を学びたいかと、食事やワインをどう楽しみたいか。その両方に合う教室を、受講内容を確かめて選んでみてください。
よくある質問
ワインを飲みながら学べる料理教室は、どう選べばよいですか?
まず、講師の手元を見る実演型か、自分で作る実習型かを確認してください。そのうえで、ワインを飲めるタイミング、ワイン代が受講料に含まれるか、料理との合わせ方の説明があるか、ノンアルコールの扱い、人数を確認すると選びやすくなります。
お酒が飲めなくても、ワイン付きの料理教室に参加できますか?
ノンアルコールドリンクを用意している教室は多くあります。料金が同じかどうか、ノンアルコールの内容はどうかを、申し込む前に確認してください。料理を見て味わって学ぶことが中心なので、お酒を飲まなくても学べる内容は変わりません。
料理教室で、ワインと料理の合わせ方も学べますか?
教室によって異なります。ワインが試食のお供として出るだけの教室もあれば、同調と対比といった合わせ方の考え方を説明し、飲み比べながら確かめる教室もあります。ペアリングを学びたい場合は、その説明があるかを確認してください。
グラスを持ったまま、料理を覚える。
シェフの実演を見ながら、味見と質問を重ねる約2時間。各回8名、受講料は1回6,000〜12,000円(税込・ドリンク込み)です。ノンアルコールも選べ、持ち帰りレシピが含まれます。日程と各回の内容をご確認ください。
▶ 料理教室のご案内

