SUMMARY

結論:コース料理の時間は、2時間から3時間を目安に考えてください。 7皿前後のコースであれば、1皿あたり20分前後という逆算がおおよその目安になります。 ただし、皿数だけでは決まりません。店は卓の会話の進み具合を見て、皿を出す間隔を調整しています。 2時間制の店があるのは、同じ席を2回転・3回転させる構造になっているためです。 次の予定があるなら、予約のときに終わりの時刻を伝えておくのが確実です。

あわせて、コース料理の順番は、余韻の長さで決まるとナプキンのマナーは、お店への小さな合図もご覧ください。

コース料理の途中、黒いテーブルに置かれた赤ワインのグラスと小さな一皿
皿と皿のあいだにある間が、コースの時間をつくります

コース料理を予約したものの、何時に終わるのか分からない。そのあとに予定を入れてよいのか、子どもを預けている時間に間に合うのか。判断がつかないまま、当日を迎えることになります。

店の案内には「2時間制」と書かれていることもあります。あの表記が何を意味するのかも、あまり説明されていません。

この記事では、コース料理の時間について、皿数からの逆算と、店が実際に何を見て皿を出しているのかをお伝えします。あわせて、急ぎたいときの伝え方と、食べ終わりの合図についても書きます。恵比寿で7皿のコースをお出しし、出張料理でご自宅に伺っている側から見えていることです。

コース料理の所要時間の目安

はじめに、目安を置きます。2時間から3時間です。

Na Team Lab の恵比寿の店では、7皿のコースをお出ししていて、所要は約3時間です。出張料理でご自宅に伺う場合も、コースの所要時間は2時間から3時間になります。この幅は、当日の状況によって動きます。

コースの皿数所要時間の目安
3〜4皿1時間半〜2時間
5〜6皿2時間〜2時間半
7皿前後2時間半〜3時間
皿数が多いおまかせ3時間前後

この表は、1皿あたり20分前後という逆算から作ったものです。店やジャンルによって考え方は異なりますので、目安として見てください。

7皿で約3時間という組み立て

当店のコースの流れを、時刻で書くとこうなります。

  • 19:00 ご来店・ウェルカム
  • 19:15 アミューズ
  • 19:30 前菜・スープ
  • 20:10 魚料理
  • 20:40 肉料理
  • 21:10 締めのパスタまたはリゾット
  • 21:35 王のティラミス
  • 22:00 お見送り

着席から最初の一皿まで15分、最後の皿からお見送りまで25分。この前後の時間が、所要時間の中に含まれます。料理が出ている時間だけがコースの時間ではありません。

ですから「7皿だから7×20分で2時間20分」という計算は、やや短く出ます。前後の余白を足して、2時間半から3時間と見ておくほうが実際に近くなります。

この前後の余白は、削れば削れます。ただ、削るとコースの印象が変わります。着席してすぐ一皿目が出ると、会話が始まる前に食事が動き出します。最後の皿を下げてすぐ会計になると、余韻を置く時間がなくなります。

コース料理は、料理を順番に食べる形式というより、時間の設計です。皿と皿のあいだにある間に、会話が入ります。だから所要時間を短くするときは、皿数を減らすほうが、間を詰めるより満足が落ちません。

皿数と時間の関係

皿数が増えれば時間は伸びます。ただし、比例はしません。

1皿あたりの時間は、一定ではありません

前半の軽い皿は、短い間隔で進みます。アミューズや前菜は、量が少なく、会話を始めたばかりの時間に重なるためです。

後半に向かうと、間隔が開きます。肉料理のような主皿は、召し上がるのに時間がかかります。皿が下がってから次が出るまでの間も、少し長く取ります。

位置皿の性質間隔
前半軽い。酸が立っている。余韻が短い短い
中盤徐々にボリュームが出る標準
後半余韻が長い。主皿が入る長い

コースは「軽いものから重いものへ」と進みますが、単調な右肩上がりにはしません。すべての料理が重くなりすぎないように、メリハリをつけて組みます。重い皿を続けないための起伏です。

順番そのものの考え方は、コース料理の順番についての記事に詳しく書きました。

グラニテが入るかどうかで、皿数が変わります

コースの途中に、口直しのグラニテが入ることがあります。入れば皿数が一つ増え、その分だけ時間も伸びます。

当店では、出すときもあり、出さないときもあります。出さない場合は、全体のボリュームが重くなりすぎないように構成で調整します。口直しの役割は、組み立てそのもので代わりを務められるためです。

グラニテを省く店が増えた理由を、私はこう見ています。皿を一つ使うなら、店の技術が伝わるほうに使いたいという判断です。グラニテを1皿入れるより、ほかのメイン級の一皿を出したい。手を抜いているのではなく、限られた皿数の配分の問題です。

ですから「グラニテがないコースは簡略版」ということではありません。皿数が同じでも、中身の配分は店ごとに違います。所要時間を皿数だけで測れないのは、このあたりも関係しています。

締めの炭水化物は、満足して帰っていただくために

当店のコースでは、終盤にパスタかリゾットが入ります。メインの後に出すこともあれば、前に出すこともあります。固定ではありません。

ここに炭水化物を置いている理由は、演出ではありません。コース全体を通して、お腹がすいた状態で帰る方が少しでも少なくなるようにという、実務的な配慮です。

この一皿が入ると、コースの後半は20分ほど長くなります。所要時間が3時間近くになるのは、デザートの前にもう一皿あるためでもあります。

ワインペアリングが入ると、時間は伸びます

ペアリングを付けると、所要時間は長くなります。

当店の場合、7皿のコースに対して6杯をお出しすることが多く、1杯あたり80mlほどを注ぎます。1回の会で6本を開ける計算です。1人6杯であればグラスも6脚を使い、1杯ごとに替えます。

グラスを替えるという工程が、皿と皿のあいだに入ります。注ぎ、説明し、空いたグラスを下げる。この時間が6回あると、コース全体では確かな長さになります。

ペアリングの杯数や値段の内訳は、ワインペアリングコースの値段の記事に書きました。急ぎたい日であれば、ペアリングを付けずにコースだけにする、あるいは量を少なめに注いでもらうという選び方もできます。

ワインペアリングで使うデキャンタやワインクーラー、グラス類を並べたテーブルウェア
グラスを替える時間が、皿と皿のあいだに入ります

店は何を見て皿を出しているのか

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

皿を出す間隔は、卓の様子で決めています

私たちは、固定の進行表で機械的に皿を出していません。 会話が盛り上がっていれば間を置き、テンポが良ければ次を出す。この判断を、その場で都度しています。

見ているのは、三つです。グラスの残り、話の盛り上がり、手の止まり方。この三つで、次の皿を出すか、もう少し待つかを決めています。

早く召し上がる方が多い卓では、組み立てそのものを変えることもあります。すぐに出せる料理を先に回し、時間のかかる皿を後ろへ送る。順番は、事前に完成した設計図ではありません。 当日その場で書き換わります。

ですから、同じコースでも所要時間は卓ごとに違います。「このコースは2時間20分です」と言い切れないのは、ごまかしているのではなく、卓によって本当に変わるからです。

逆に言えば、卓の側から時間を動かすこともできます。話が続いているあいだは、料理は待ってくれます。急ぎたいのであれば、そう伝えればテンポは上がります。

出張の場合は、到着から片づけまでが時間になります

ご自宅やパーティールームに伺う出張料理では、お客様が体感する時間と、私たちが動いている時間が違います。

現場に入るのは、開始時間の1時間ほど前です。到着後に、ご挨拶、キッチンと設備の確認、仕込みの展開をします。コースそのものは2時間から3時間。そのあとに片づけが入ります。

片づけは、すべてやって帰ります。シンク、コンロ、排水口まで。お客様の手をわずらわせる工程はありません。ですから、お客様の側で見ておくべき時間は、コースの2〜3時間だけということになります。

設備によって、料理そのものが変わることもあります。たとえばIHが1口しかない場合、パスタは調理しづらいため、リゾットに変更します。こうした組み替えも、所要時間の中で吸収できる範囲で行っています。

2時間制の店と、時間を区切らない店

「2時間制」と書かれている理由を説明します。これは店の冷たさではなく、構造です。

回転数と時間制限は、連動しています

同じ席を一晩に2回、3回使う店では、18時の組と20時半の組を入れることになります。この場合、前の組が長居すると、後ろの組を入れられません。だから時間を区切ります。2回転・3回転している店ほど、時間の制限は厳しくなります。

逆に、一日ひと組の店では区切る必要がありません。当店の恵比寿の店は、6〜8名さま・一日ひと組の完全貸切です。次の予約が入っていないため、時間の区切りを設けていません。 開始時刻も、19時が多いものの18時や20時に合わせられます。

出張料理の場合も同じです。会が長くなっても、延長料金は発生しません。 お伝えした金額から追加になることはありません。

2回転・3回転の店一日ひと組の店
時間2時間制などの区切りがある区切りを設けていない
開始時刻枠が決まっている相談で動かせる
延長難しい会の側で調整できる
個室料設定している店がある席料・貸切料なし(人数の下限あり)

ただし、一日ひと組の店には別の条件があります。当店の場合、貸切は6名さまからです。個室料がかからない代わりに、人数の下限があるという交換条件です。時間の自由度と人数の条件は、だいたいセットになっています。

もうひとつ、予約のときに確かめておくとよいことがあります。最低利用金額です。はっきり明記している店は少ない印象ですが、明記のかわりに「お酒は一杯は頼んでください」といった条件がつくことはあります。私自身、個室を取ったときに個室料金を求められた経験もあります。金額の相場は店によって変わりますので、気になる場合は予約の電話で聞いてしまうほうが早いです。

時間についても同じです。案内に「2時間制」と書かれていなくても、回転のある店では暗黙の区切りがあることがあります。長く話したい日であれば、予約のときに「ゆっくりしたい」と伝えておくだけで、席の取り方を変えてもらえることがあります。

個室・半個室・貸切の違いは、完全個室・半個室・貸切を見分ける記事に書きました。

急ぐとき・子連れのときの伝え方

次の予定がある日、あるいはお子さまを連れている日は、伝え方で解決できます。

予約のときに、終わりの時刻を伝えてください。 これがいちばん確実です。「21時に出たい」と言っていただければ、そこから逆算して皿を組みます。皿数を減らす、間隔を詰める、デザートを軽くするといった調整ができます。

当日に伝える場合も、早いほうがよいです。前菜の時点で伝えていただければ、後半で調整できます。デザートの直前に言われると、できることが限られます。

お子さまがいらっしゃる場合は、二つの方法があります。

  • コースの皿数を減らして、短く組む
  • お子さま向けの内容に変える。 年齢に応じて食べられるものに替えてお出しします

当店では、お子さま用のコースをお作りしたこともあります。コースの全体像は大人と同じにして、内容だけを替える形です。いずれも事前のご相談が前提になります。

もうひとつ、自宅で開くという選択肢もあります。出張料理であれば、途中で子どもが眠ってしまっても移動がありません。疲れたときに休める場所があるのは、店にはない条件です。

会食や接待の席では、時間の扱いがもう一段むずかしくなります。自分の予定ではなく、相手の予定を見ることになるためです。

マナーのテクニックよりも、相手への気遣いそのものが大事だと私は思っています。形式を完璧に守っているのに場が冷めることもあれば、形式を多少外しても温かい空気が流れることもあります。時間についても同じで、「何時までに終わらせるべきか」を暗記するより、相手が時計を気にし始めていないかを見るほうが役に立ちます。

ホスト側であれば、予約の段階で終わりの時刻を店に伝えておいてください。そうすれば、会の途中で時間を気にする必要がなくなります。時間の管理を店に預けてしまうのが、いちばん落ち着きます。

食べ終わりのサインとマナー

最後に、作法の話を少しだけ。といっても、覚えることは多くありません。

カトラリーとナプキンで伝わります

カトラリーは、フルセットが並んでいる場合、外側から順に使うのが基本です。迷ったら、サービスをしている人の所作を見ると分かります。

食べ終えたら、カトラリーを皿の上でそろえて置きます。 これが、下げてよいという合図になります。まだ続きがあるのであれば、置き方を崩しておけば伝わります。

ナプキンも合図になります。中座するときは椅子の上に、食事を終えたときはテーブルの左側に置きます。たたみすぎず、軽くまとめる程度で十分です。椅子の上ならまだ続きがある、テーブルの上ならひと区切りがついた、という読み方をしています。詳しくは、ナプキンのマナーについての記事に書きました。

これらを正しくやることは、店に気を遣う行為ではありません。自分たちの時間を、自分たちのペースで進めるための合図です。コース料理の時間は、卓の側からも動かせます。

時間を気にせずコース料理を味わいたい日には、貸切のレストランという形もあります。7皿、約3時間。コースはお一人15,000円〜(税・サービス料込)、ワインペアリングをお付けする場合はお一人22,000円〜です。ご相談は公式LINEから承っています。

コース料理で外側から順に使う、種類ごとに並べた銀のカトラリー
カトラリーの置き方ひとつで、下げてよいかどうかが店に伝わります

まとめ

コース料理の時間は、皿数で決まる固定値ではありません。

  • 目安は2時間から3時間です。7皿前後なら2時間半〜3時間を見ておいてください
  • 1皿あたり20分前後という逆算が目安になりますが、着席から一皿目、最後の皿から退席までの余白も時間に含まれます
  • 前半の軽い皿は短い間隔で進み、後半の余韻の長い皿は間隔が開きます
  • ワインペアリングを付けると、グラスを替える工程が入るため長くなります
  • 店はグラスの残り、話の盛り上がり、手の止まり方を見て、皿を出す間隔を決めています
  • 2時間制があるのは、同じ席を2回転・3回転させる構造のためです。一日ひと組の店では区切りがありません
  • 急ぐ日は、予約のときに終わりの時刻を伝えてください。それだけで組み立てが変わります

次にコースを予約されるときは、「何時に出たいか」を一言添えてみてください。コース料理の時間は、そこから逆算して組めるものです。

よくある質問

コース料理は何時間くらいかかりますか?

2時間から3時間を目安にしてください。7皿前後のコースで、1皿あたり20分前後が目安です。ワインペアリングを付けると、グラスを替える時間が入るため長くなります。時間制の店では2時間で区切られることもあります。

食べ終えたサインは、どう伝えればよいですか?

カトラリーを皿の上でそろえて置くと、食べ終わりの合図になります。中座するときはナプキンを椅子の上に、食事を終えたときはテーブルの左側に。店の側は、こうした小さな合図を見ながら次の皿のタイミングを決めています。

イタリアンのコースの所要時間はどれくらいですか?

フレンチと大きな差はなく、2時間から3時間が目安です。皿数と、パスタやリゾットが入るかどうかで前後します。短く済ませたい場合は、予約のときに皿数を減らせるか相談してみてください。

2時間制のレストランがあるのはなぜですか?

同じ席を一晩に2回転・3回転させる店では、前の組が長居すると後ろの組を入れられないため、時間を区切っています。回転数が多い店ほど、時間の制限は厳しくなります。一日ひと組の店では次の予約が入らないため、区切りを設けていないこともあります。

次の予定があるときは、コース料理を早めに終えられますか?

予約のときに終わりの時刻を伝えるのがいちばん確実です。「21時に出たい」と伝えれば、皿数を減らす、間隔を詰める、デザートを軽くするといった調整で逆算して組めます。当日に伝える場合も、前菜の時点など早いほうが対応の幅が広がります。

Na Team Lab オーナーシェフ 川原壯太
ABOUT NA TEAM LAB Na Team Lab|株式会社Na Team

東京・恵比寿を拠点に、出張料理・店舗貸切・料理教室・ワイン会を展開。料理、ワイン、空間、その日の時間までを設計し、食を通して心に残る体験をつくっています。

執筆:(オーナーシェフ)。年間200件を超える出張料理・会食の経験をもとに、現場の視点をお伝えします。

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一組で店を貸し切る夜へ。

恵比寿の八席を貸し切り、持ち込みの一本や会の目的に合わせてコースを組み立てます。

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