年末が近づくと、総務や幹事の方から「納会をやることになったのですが」というご相談をいただきます。そのあとに続くのは、たいてい同じ問いです。忘年会と何が違うのか。何をすればよいのか。

納会という言葉は知られていながら、中身の説明を見かける機会は少ないように思います。宴会だと思って二時間の会を組むと重たくなり、儀式だと思って挨拶だけで終えると味気なくなる。この会には、ちょうどよい長さと、それに合う料理の形があります。

SUMMARY

結論:納会とは、仕事納めや年度末、大きな仕事の終わりに、その期間を締めくくるために開く会です。 忘年会が一年の労をねぎらう宴であるのに対し、納会は業務の区切りを共有することに重心があります。 そのため終業の直後に社内で短く開かれることが多く、30分から90分ほどで終える会も珍しくありません。 立ったまま軽い料理とお酒を囲み、代表の挨拶と乾杯、締めの一本締めで終える形が一般的です。 会が短いぶん、料理の温度と量の設計が、その場の印象をつくります。

あわせて、忘年会との違いを知ると懇親会の目的を整理するもご覧ください。

納会とは その期間の仕事を締めくくるために開く会

納会とは、ある期間の仕事を締めくくるために開く会です。「納める」という言葉のとおり、何かを終える・収めるという区切りの意味を持ちます。

使われる場面は、会社だけではありません。証券の世界では、一年の最後の立会取引の日を大納会と呼びます。スポーツのチームや習い事の教室でも、シーズンの終わりに納会が開かれます。共通しているのは、続いてきた期間に終わりの線を引き、それを参加者で確認するという構造です。

会社の納会も同じです。目的は騒ぐことではなく、この期間が終わったという事実を、同じ場所にいる人同士で共有すること。だからこそ、社内の会議室や執務スペースで、終業の直後に短く開かれる形が選ばれやすくなります。

この会が短く収まるのには理由があります。仕事納めの日は、机の片づけや年内最後の連絡が残っている日です。翌日から休暇に入る方も、その日のうちに帰りたい方もいます。長く引き止めないことが、そのまま参加者への配慮になる会だと言えます。二時間の宴を組もうとすると、この前提とぶつかります。

忘年会・打ち上げとの違い

イクラをのせた小さなタルトを手で取る実写写真
立ったままでも取りやすい、ひと口サイズの料理の一例です。実際の納会の記録ではありません。

似た時期に開かれる会と並べると、性格の違いがはっきりします。以下は一般的な傾向で、社内の慣習によって変わります。

項目納会忘年会打ち上げ
目的期間の区切りを共有する一年の労をねぎらう一つの仕事の完了を祝う
時期仕事納め・年度末・案件の終了時12月の中旬から下旬案件が終わった直後
場所社内・オフィスが選ばれやすい店・貸会場店
時間30〜90分2時間前後2時間前後
費用の負担会社が持つことが多い会費制または会社負担主催部署または会社が負担

忘年会は「一年の苦労を忘れる」ための宴です。納会は、業務そのものの区切りに紐づいています。仕事納めの日に行われる納会が業務時間の延長線上に置かれやすいのは、この違いによるものです。

納会の三つの種類

納会と呼ばれる会は、区切る対象によって三つに分かれます。どれを開くのかで、招く相手も長さも変わります。

仕事納めの納会

もっとも多いのがこの形です。官公庁の御用納めが12月28日であることから、これに合わせて仕事納めの日を置く会社が多く、その日の終業後に開かれます。参加者は社内。時間は短く、翌日から休暇に入る人が動きやすい形が求められます。

年度末の納会

3月末に開く会です。期の締めであると同時に、異動や退職の見送りと重なります。感謝を伝える相手が名指しで現れるぶん、挨拶の時間が長くなりやすい会でもあります。

プロジェクト完了の納会

期の途中で、一つの案件が終わったときに開く会です。打ち上げとの線引きは曖昧ですが、社外の関係者を招くか、社内だけで区切りをつけるかで呼び分けられることがあります。

社内で開くときの進行

30分から90分の会であれば、進行はごく短くまとまります。以下は、私たちが法人の会に伺うときによく見る流れです。

順番内容目安の時間
開始前受付、受付を終えた方からウェルカムドリンクを渡す開始15分前から
1開始の挨拶(代表または部門長)3〜5分
2乾杯の挨拶1〜2分
3歓談20〜60分
4締めの挨拶3分
5一本締め1分

この流れで肝になるのは、開始前の15分です。定刻に全員が揃うことは少なく、受付を終えた方から順にウェルカムドリンクをお渡ししていくと、待ち時間が会の一部に変わります。乾杯のタイミングは時計ではなく、人が集まってきた具合で決めるほうがうまくいきます。

「乾杯の前に料理が減ってしまうのではないか」と心配される幹事の方がいらっしゃいますが、これは実際にはほとんど起きません。乾杯してから料理へ、と案内に一行添えておけば足ります。

歓談の時間は、長くても60分です。ここで会話が生まれるかどうかは、席が固定されないことと、料理が手を塞がないことに左右されます。片手で取れる皿を用意し、取り分ける場所を一箇所に集めないだけで、人の動きが変わります。

料理とお酒は、少し余る量で

短い会の料理は、量の設計がほとんどすべてです。

30名ほどの立食であれば、10品前後をお出しすることが多くあります。ただしこれは目安で、参加者の顔ぶれによって組み替えます。若い男性が多い会では炭水化物を厚めにし、量より質を望まれる会では品数を絞って中身に寄せる。決まったメニューを当てはめるのではなく、会に合わせて設計する前提の数字です。

量については、少し余るくらいを持っていきます。 足りなくなることを最も避けたいからです。「よく食べる方が多い」といった情報を事前にいただけると、この見積もりの精度が上がります。

もうひとつ、予算の使い方に関わる話があります。ビュッフェではローストビーフをお出しすることが多いのですが、これはいつもすぐになくなります。品数を横に広げるより、中心に一皿を置くほうが場が動きます。 品数と量の考え方は立食パーティーの料理を扱った記事に詳しくまとめました。

温かい料理は、出す順番を分けます。火入れのできる環境があれば作りたてを第二陣として出し、それが難しい場合は保温できるものを持参します。先にすべて並べる形だけで組むと、30分で終わる会では料理がぬるくなる前に終わってしまいます。

オフィスで開くときに確認しておきたいこと

会場を借りずに社内で開く場合、料理の側から見ると確認しておきたい点がいくつかあります。

  • 水場:オフィスは水場が限られていることが多く、洗い物が負荷になります。現地で洗い切らない設計にするか、使い捨ての器で組むかを先に決めます
  • 冷蔵庫:容量が小さいことが多いため、人数に対して足りないと判断した場合は移動式の冷蔵庫を持ち込みます
  • 匂い:フレンチやイタリアンを軸にしたビュッフェであれば、気になるケースは多くありません。気にされる場合は、匂いの少ない食材と料理に組み替えます
  • 音:普段から人の出入りがある空間なら問題になりにくい部分です。これは料理側で解く話ではなく、人数の上限と進行の設計で調整します
  • 搬入と入館:オフィスビルに入る場合は事前に確認し、当日は担当者の方と一緒に進めます

一時間で終わる会ほど、料理の温度が効く

短い会は、料理が「置かれているもの」になりやすい会です。挨拶と乾杯で始まり、気づけば締めの時間になる。その20分の歓談に、温かい皿が一つあるかどうかで、参加者の記憶は変わります。

以前、マンネリ化していた社内イベントに料理人が入ったことで、社内の反応が大きく変わったというお声をいただきました。会の形式も進行も変えていません。変わったのは、その場で仕上げた料理が出たという一点だけです。

Na Team Labでは、食材・器・グラス・カトラリー、必要な調理道具のすべてを携えて、ご指定の場所に伺います。運ぶのではなく、その場で仕立てる。終われば余韻を残して引き上げますので、お客様の手はひと指も汚れません。

まとめ

納会は、宴会ではなく区切りの会です。長さを欲張らず、区切りが伝わる形に整えることが、幹事にとっての近道になります。

  • 納会とは、仕事納め・年度末・案件の終了など、ある期間を締めくくるために開く会です
  • 忘年会は労をねぎらう宴、納会は業務の区切りを共有する会という違いがあります
  • 種類は三つ。仕事納め(12月28日前後)、年度末(3月末)、プロジェクト完了
  • 進行は短く組みます。受付とウェルカムドリンクを開始15分前から動かすと、待ち時間が会に変わります
  • 料理は少し余る量で、中心に一皿。温かいものは第二陣として出します
  • オフィスで開く場合は、水場・冷蔵庫・匂い・音・搬入の五点を先に確認します

一年の終わりに何を出すかは、その区切りがどう記憶されるかに直結しています。

よくある質問

納会は業務時間内に開いてもよいのですか?

業務の区切りを共有する会なので、終業の直前や直後に社内で開く形は一般的です。ただ、私たちにお声がけいただく法人の会は、平日の夜と土日が中心です。時間外に集まっていただく以上は、来てよかったと感じられる設計が要ると考えています。

納会の費用は会社が負担するものですか?

会社が持つ形が多く見られますが、社内の慣習によって変わります。勘定科目や損金の扱いについては、会の目的や参加者の範囲で判断が分かれるため、顧問税理士や所轄の税務署にご確認ください。私たちの側では、見積書・請求書の発行とインボイスへの対応が可能です。

納会の挨拶は誰がするのですか?

開始と締めの挨拶を代表や部門長が担い、乾杯を役職の二番手が担う形が慣例とされています。納会は短い会ですから、挨拶は一人3分前後に収めると全体が締まります。文言の型は、忘年会の挨拶の例文がそのまま流用できます。

Na Team Lab オーナーシェフ 川原壯太
ABOUT NA TEAM LAB Na Team Lab|株式会社Na Team

東京・恵比寿を拠点に、出張料理・店舗貸切・料理教室・ワイン会を展開。料理、ワイン、空間、その日の時間までを設計し、食を通して心に残る体験をつくっています。

執筆:(オーナーシェフ)。年間200件を超える出張料理・会食の経験をもとに、現場の視点をお伝えします。

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