社内の懇親会、来客との会食、周年の集まり。料理の手配を任されて、まず検索窓に「ケータリング 会社」と打ち込んだ方は多いと思います。

出てくるのは、美しい料理の写真ばかりです。どれも見栄えがよく、けれど、どれを選んでよいかの手がかりにはなりません。

そして稟議書には、写真を貼るわけにいきません。書くのは金額と条件です。

この記事では、社名を一切出さずに、ケータリング会社を選ぶときに確認する項目だけを整理します。比較表を作るための材料として使っていただける粒度で書きました。

SUMMARY

結論:ケータリング会社は、料理の写真ではなく、五つの条件で絞ると稟議が通ります。 飲食店営業許可の有無、事前の仕込みをどこで行っているか、最低人数と最低金額、キャンセル規定、請求書払いの可否。 この五点を明記できる会社は、法人取引の実務に慣れていると判断できます。 この記事では、発注担当者が稟議の前に確認したい10項目と、見積書の読み方、相見積の取り方を整理します。

見積もりの費用差はケータリング料金の内訳で、衛生面は出張料理の許可と衛生で確認できます。

結論 ケータリング会社は、五つの条件で絞れます

ケータリング会社を選ぶときは、料理の見た目より、飲食店営業許可の有無、事前仕込みを行う厨房の場所、最低人数と最低金額、キャンセル規定、請求書払いの可否の5点を先に確認します。この5点を明記できる会社は、法人取引の実務に慣れていると判断できます。

順序が大切です。料理の内容から入ると、候補が絞れません。写真はどこも美しいからです。

先に条件で絞ると、多くの場合、候補は数社に落ち着きます。そこで初めて料理の話をすると、比較の軸がはっきりします。

なぜこの5点なのか。いずれも、後から変更できない項目だからです。人数や献立は打ち合わせで動かせます。けれど許可の有無は動きませんし、最低金額も、支払い条件も、契約の骨格として先に決まっています。

ケータリング会社には、四つの型があります

法人ケータリングの品質を確認する料理とサービス
料理写真だけでなく、仕込み場所と当日の運営まで含めて比較します。

「ケータリング」という一語に、成り立ちの違う会社が混ざっています。まずここを分けると、探す範囲が狭まります。

得意な人数提供の形式価格帯の傾向
ケータリング専門業者中〜大人数会場で仕上げ・盛りつけ
レストラン発小〜中人数店の料理を会場向けに再構成中〜高
出張シェフ発小〜中人数会場で調理し一皿ずつ提供
仕出し・弁当発人数の幅が広い完成品を配達低〜中

一般的な目安として、料金は形式によって次のように分かれます。配達型(オードブル・デリバリー)はお一人1,500〜3,000円、会場で仕上げるビュッフェ型は5,000〜10,000円、一皿ずつ出す着席コース型は15,000円からというレンジです。

同じ「ケータリング」でも、三倍から十倍の開きがあることになります。相場が広いのではありません。ひとつの言葉に、三つの形式が入っているだけです。

どの型を探すかは、人数と、会の目的で決まります。数十名で歓談が主体の会なら、配達型か会場仕上げ型。十名前後で会話を交わす会なら、着席のコース型が向きます。目的が「もてなす」ことなのか「食事を用意する」ことなのかで、選ぶ型は変わります。

ここを決めずに検索すると、価格帯の違う会社が同じ一覧に並びます。比べているつもりで、比べられないものを並べることになります。

稟議の前に確認したい10項目

問い合わせの一往復目で、ここまで聞けます。そのまま貼って使える聞き方の例文を添えました。

項目なぜ見るか聞き方の例
飲食店営業許可許可を取得した厨房を持つ事業者かを確かめるため「飲食店営業許可を取得された店舗はお持ちですか」
事前仕込みの場所持ち込む料理がどこで作られたかで、衛生管理の前提が変わるため「当日お持ちいただく料理は、どちらの厨房で仕込まれますか」
最低人数・最低金額会の規模が下限に届かないと、そもそも発注できないため「最低人数と、1回あたりの最低金額を教えてください」
キャンセル規定開催が流動的な社内行事では、ここが最大のリスクになるため「キャンセル料は何日前から、何パーセント発生しますか」
請求書払いの可否現金前提だと社内の支払い手続きに乗らないため「請求書払いと、月末締め翌月末払いに対応できますか」
アレルギー対応参加者に伝えるべき情報を、事前に確定させるため「アレルギーの申告は、いつまでにお伝えすればよいですか」
事前に味を確かめられるか稟議で「味は確認済み」と書けるかどうかが変わるため「発注前に味を確かめられる機会はありますか」
当日のスタッフ体制配膳や片づけを自社で負担するかが決まるため「当日は何名でお越しになり、配膳はどこまで担当されますか」
器材・ゴミ・撤収会場の原状回復まで含めた手間が読めるため「食器やゴミは、お持ち帰りいただけますか」
実績の確認方法想定と近い規模・形式の経験があるかを確かめるため「20名規模の社内の会で、近い形式のご経験はありますか」

十項目のうち、回答が曖昧になりやすいのは「事前仕込みの場所」と「キャンセル規定」です。逆に言えば、この二つを即答できる会社は、実務の整理ができています。

仕込み場所を聞く意味

出張して料理を出すという形式には、「その料理はどこで作られたか」という論点がついてまわります。

会場で最初から仕込む形と、どこか別の厨房で仕込んだものを持ち込む形。後者であれば、その厨房が許可を持っているかどうかが問われます。保健所によって運用の考え方が異なる領域なので、断定的な線引きはここではしません。ただ、発注する側が確認できる観点としては、これがもっとも実質的です。

キャンセル規定を聞く意味

社内の会は、直前に人数が動きます。役員の予定が固まらない、出張が入る、体調不良が出る。

そのため、何日前から何パーセント発生するかを先に確認しておくと、稟議の段階でリスクを書き添えられます。人数が減ったときの扱いと、増えたときの締切も、あわせて聞いておくと安心です。

参考までに、私たちは開催日から7日以内のキャンセルについて、料金の100%を頂戴することが多くなります。食材の仕入れが動き出す時期がそこにあるためです。規定の厳しさそのものより、規定が明示されているかどうかを見ていただくのがよいと思います。

実績の確認方法

「実績はありますか」とだけ尋ねると、返ってくるのは件数です。件数は、判断の材料になりにくい情報です。

聞きたいのは、自分の会に近い条件での経験があるかです。人数、会場の種類、形式、そして時間の制約。この四つを添えて尋ねると、答えの具体性が変わります。

「20名規模でパーティールームを使い、立食で二時間」といった条件を先に伝えてください。近い経験があれば、当日の動きや注意点が具体的に返ってきます。返ってこない場合も、それはそれで判断材料になります。

見積書は、内訳の名前を見る

金額の合計だけを見ると、比べたことになりません。見るのは内訳の名前です。

ケータリングの見積書には、おおむね次の項目が並びます。

  • 料理代 献立そのものの費用。お一人あたりの単価で示されることが多い項目です
  • 人件費 当日会場に入るスタッフの費用。配膳の有無で大きく変わります
  • 出張費 会場までの移動・搬入にかかる費用
  • 器材費 食器・グラス・カトラリー・什器の使用料
  • サービス料 当日の運営にかかる費用。料理代の一定割合で計上されることがあります
  • 消費税 内税か外税かで、総額の見え方が変わります

ここで確認したいのは、表示単価に何が含まれているかです。

お一人あたりの単価だけが大きく書かれていて、人件費と出張費が別立てになっている見積と、すべて込みの単価で示された見積。数字を並べただけでは、前者が安く見えます。

相見積は、同じ条件を渡さないと比べられません

複数社に見積を依頼するとき、渡す情報が会社ごとに違うと、返ってくる見積の前提も揃いません。

次の項目を一枚にまとめて、同じ文面を各社に送るのが確実です。

1. 開催日時 開始時刻と、終了・撤収の希望時刻まで

2. 会場 住所と、火・水まわり・冷蔵設備の有無、搬入経路

3. 人数 確定人数と、想定される変動の幅

4. 形式 着席のコースか、立食のビュッフェか、決めかねている場合はその旨

5. 予算 お一人あたりか総額か、上限を明示する

6. アレルギー・苦手な食材 現時点でわかっている範囲

7. 制約 会場の使用時間、アルコールの可否、原状回復の条件

8. 支払い条件 請求書払いの要否、社内の締め日

とくに抜けやすいのが、終了・撤収の時刻会場の設備です。この二つが不明なままだと、各社は安全側に見積もります。結果として、金額が実態より高く出ます。

条件を揃えて出すと、返ってくる見積の差が、そのまま各社の設計思想の差になります。そこからは、金額ではなく中身で選べます。

「安い」の落とし穴

単価の小さい見積が、そのまま総額の小ささにつながるとは限りません。差が出やすいのは、次の三つです。

ひとつめは、最低金額の存在です。お一人あたりの単価が低くても、1回のご依頼につき最低金額が設定されていることがあります。少人数の会では、この下限が実質の金額になります。

ふたつめは、表示単価の範囲です。料理代だけの単価に、人件費・出張費・器材費が積み上がると、最終的な総額は当初の印象から離れます。

みっつめは、当日側の負担です。配膳を自社で行う、食器を洗って返却する、ゴミを持ち帰る。これらが発注側の作業として残ると、担当者の当日の時間が費用として消えます。稟議書には現れませんが、確かにかかっている費用です。

これは、どの形式が優れているという話ではありません。条件の違うものを、単価という一つの数字だけで並べてしまうことが問題なのです。形式を揃えてから比べれば、価格差はそのまま設計の差として読めます。

私が「店舗はありますか」と聞いてほしいと言う理由

ここからは、私自身の考えを書かせてください。

出張料理人として年間200件を超える食卓に伺ってきて、発注する側から「資格を見せてください」とは言いにくいのだろうな、と感じる場面が何度もありました。聞きたいけれど、失礼にならないだろうか。そう思われるのは自然なことです。

そこで私は、「店舗はお持ちですか」と一度聞いてみることをおすすめしています

理由は二つあります。ひとつは、店舗を構えているなら、飲食店営業許可を取得している蓋然性が高いこと。もうひとつは、一定の品質を保っていなければ、費用面で店舗を持ち続けることはできないということです。

つまり、店舗の存在そのものが、継続的な品質と事業実態の証明になる。これは、聞きやすくて、返ってくる情報量が多い質問です。

私たちの場合、仕込みは恵比寿の自社店舗で行っています。飲食店営業許可と菓子製造業許可を取得した厨房です。食品衛生責任者の資格は、私もスタッフも全員が保有しています。

現場では、食材にも使えるアルコールを持参し、消毒をしながら調理を進めます。まな板が一枚しかないお宅では、野菜、生で食べられる魚介、火を入れる魚介、肉という順番で下処理を組み、あいだに洗浄を挟みます。道具を増やせない場所では、手順で交差汚染を断つしかないからです。

初めての発注は、小さい会で試す

初めて依頼する会社に、いきなり大きな会を預けるのは、担当者にとって負担の大きい判断です。

可能であれば、小さい会で一度試すことをおすすめします。部内の食事会、来客との少人数の会食、期末のねぎらいの席。規模が小さければ、条件の詰め方も、当日の動き方も、実際に確かめられます。

そこで見えるのは、料理の味だけではありません。連絡の返信の速さ、確認事項の粒度、当日の立ち居振る舞い、撤収の丁寧さ。次に大きな会を任せられるかどうかは、こうした細部に出ます。

一度合意ができれば、二度目からは条件のすり合わせが要りません。定例の会にしていく前提で、最初の一回を選ぶという考え方です。

なお、発注の前に味を確かめたいという声は、実際に多くいただきます。私たちは恵比寿のレストランで月に1〜2回、試食の機会を設けています。稟議書に「味は確認済み」と書けることは、担当者にとって小さくない後ろ盾になるはずです。

Na Team Lab の法人対応

参考として、私たちの条件を並べておきます。比較表の一行として使っていただければと思います。

料金と規模

着席のコース形式は、6〜16名さまでお一人15,000円から。ワインペアリング付きは22,000円です。17名さま以上はビュッフェ形式となり、お一人8,000円から、100名規模まで承っています。1回のご依頼につき90,000円からが下限です。いずれも税・サービス料・出張費込みの金額です。

許可と衛生

飲食店営業許可と菓子製造業許可を取得しており、事前の仕込みはその厨房で行っています。食品衛生責任者の資格は、全員が保有しています。

当日の体制

食材、器、グラス、カトラリー、必要な調理道具まで持参します。運ぶのではなく、その場で仕立てるのが私たちのやり方です。会が終われば、余韻を残して撤収まで行います。お客様の手をわずらわせる工程は、ひとつもありません。アレルギーや苦手な食材は、事前のお打ち合わせで伺います。なお、宗教上の食事対応は実施しておりません。

支払いと書類

見積書・請求書・領収書の発行に対応し、インボイス(適格請求書)にも登録しています。宛名や但し書きのご指定、参加企業ごとの請求分割も承っています。お支払いは銀行振込または現金で、クレジットカード・電子決済には対応しておりません。初回は事前振込または当日支払い、2回目以降は月末締め・翌月末払いにも対応します。

日程とエリア

ご相談は2週間前までを目安にお願いしています。対応エリアは基本的に東京都内で、都外・遠方も別途ご相談のうえ承ります。開催日から7日以内のキャンセルは、料金の100%を頂戴することが多くなります。人数が増える場合は、前日のご連絡でも対応しています。

まとめ

  • ケータリング会社は、料理の写真ではなく、営業許可・仕込み場所・最低人数と最低金額・キャンセル規定・請求書払いの五つで絞ると、稟議に必要な情報が揃います
  • 「ケータリング」という一語には、配達型・会場仕上げ型・着席コース型という設計の違う三つの形式が入っています。まず形式を決めてから会社を探してください
  • 見積書は合計額ではなく内訳の名前を見ます。表示単価に人件費・出張費・器材費・サービス料が含まれているかを確認してください
  • 相見積は、開催日時・会場設備・人数・形式・予算・制約・支払い条件を揃えた同じ文面で依頼すると、返ってきた差がそのまま設計の差になります
  • 資格を尋ねにくいときは「店舗はお持ちですか」と聞いてみてください。店舗の存在は、継続的な品質と事業実態の手がかりになります

よくある質問

ケータリング会社に与信審査は必要ですか?

多くの場合、支払い条件の相談で足ります。Na Team Lab では初回を事前振込または当日支払いとし、2回目以降は月末締め・翌月末払いにも対応しています。社内規程の締め日がある場合は、見積の段階でお伝えください。

領収書の宛名は指定できますか?

ご指定いただけます。宛名と但し書きのご指定に対応しており、参加企業ごとの請求分割も承っています。インボイス(適格請求書)にも登録済みです。なお、クレジットカードや電子決済には対応しておりません。

当日に料理を追加注文できますか?

人数が増える場合は、前日のご連絡までであれば対応しています。当日の追加は食材の手配が伴うため、お約束はできません。増える可能性がある時点でお知らせいただけると確実です。

Na Team Lab オーナーシェフ 川原壯太
ABOUT NA TEAM LAB Na Team Lab|株式会社Na Team

東京・恵比寿を拠点に、出張料理・店舗貸切・料理教室・ワイン会を展開。料理、ワイン、空間、その日の時間までを設計し、食を通して心に残る体験をつくっています。

執筆:(オーナーシェフ)。年間200件を超える出張料理・会食の経験をもとに、現場の視点をお伝えします。

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