屋外で式を挙げたい。会場を持つ方にとって、それは嬉しいご相談であると同時に、少し身構えるご相談でもあると思います。空の下は、確かに絵になります。けれど料理を出す側から見ると、室内では考えなくてよかった条件が、一度に増えます。
ガーデンウェディングのご相談で最初に詰まるのは、たいていメニューではありません。その日、雨が降ったらどうするのか。冷蔵はどこに置くのか。電源は取れるのか。詰まるのは、この三つのどれかです。
私たちは出張料理を専門にしています。年間200件を超える食卓に伺ってきましたが、そのほとんどが、自分たちの厨房ではない場所でした。屋外は、その条件がもっとも極端になる場所です。この記事では、ガーデンウェディングの料理を、どういう順番で決めていけばよいのかを整理します。
結論:ガーデンウェディングの料理は、温度・時間・天候の三つを先に決めてから、品数を決めるものです。 屋外は、室内なら考えずに済んだ条件が一度に増える場所です。冷蔵をどこに確保するか、雨が降ったらどこへ移るか、夏の暑さと冬の寒さをどう抱えるか。ここが決まらないうちに品数やメニューを詰めても、当日その通りには出せません。 冷たい料理を先に出し、温かい料理はシェフが会場で仕上げる。この順番を守るだけで、屋外の料理は崩れにくくなります。 この記事では、屋外の会場を扱う方に向けて、ガーデンウェディングの料理を組み立てる順番をお伝えします。
あわせて、ケータリング料金の内訳を知ると立食パーティーの料理を設計するもご覧ください。
結論 屋外の料理は、温度と時間と天候から決まります
料理のご相談は、品数から始まりがちです。何品出すか、何を出すか。室内の会場であれば、それで支障はありません。設備が決まっていて、天候が結果を変えないからです。
屋外は逆になります。品数は、いちばん最後に決めるものだと考えています。先に決めるのは、次の三つです。
- 温度:冷たい料理をどこで冷やし続けるか、温かい料理をどこで仕上げるか
- 時間:屋外にいる時間はどれくらいか、進行が押したときに何が崩れるか
- 天候:雨が降ったらどこへ移るか、夏の暑さと冬の寒さをどう抱えるか
この三つが決まると、出せる料理の範囲が自然に絞られます。その範囲の中で、品数とメニューを組む。順番を逆にすると、当日になって「この料理は出せません」という話が起こります。
出張料理で伺った先で見るのは、基本的に二点です。水回りと、冷蔵まわり。この二つが整っていれば問題なく仕立てられますし、整っていなければ、無い前提で準備して持ち込みます。屋外も、考え方は同じです。テラスでも庭でも、冷蔵設備をしっかり準備できていれば、問題なく対応できます。 屋外という言葉が難しくしているのは、料理そのものではなく、この条件のほうです。
ガーデンウェディングとは 屋外にいる時間で三つに分かれます

ガーデンウェディング、ガーデン結婚式、結婚式のガーデンパーティー。呼び方はいくつかありますが、料理の側から見て区別すべきなのは、名前ではありません。ゲストが屋外にいる時間の長さです。
大きく三つに分けて考えると、話が早くなります。
| 形 | ゲストが屋外にいる時間 | 料理側で先に決めること |
|---|---|---|
| 挙式だけ屋外 | 短い。式のあいだだけ | 屋外は飲み物と手で取れるものに絞る。料理の本体は室内に置く |
| 披露宴も屋外 | 長い。会の大半 | 冷蔵の置き場所と、温かい料理を仕上げる場所 |
| ガーデンパーティー形式 | 長い。会の全体。人が立って動く | 料理の置き場所を分散できるか、手で取れる形にできるか |
挙式だけが屋外であれば、料理の設計は室内の会とほとんど変わりません。難しくなるのは、食事の時間そのものが屋外にある場合です。この記事で扱うのは、後ろの二つになります。
屋外で料理が崩れる原因
屋外で料理が崩れるとき、原因はおおよそ決まっています。ひとつずつ見ていきます。
いちばん大きいのは、雨です
屋外の会で最初に出てくる心配は、やはり雨です。天候への配慮が必要になり、そこをどうするかという問題が出てきます。
雨は、料理そのものを傷めるだけではありません。進行が止まり、料理を出す場所が変わり、時間が押します。 屋外の料理設計でいちばん大きい変数は、この一つだと考えています。対応の考え方は、後ろの章でまとめてお伝えします。
夏の暑さと、冬の寒さ
雨の次に来るのが、気温です。夏なら暑さ対策、冬なら寒さ対策をどうするか。
夏は、料理の温度が上がる方向に働きます。冷たい料理は冷たいままでいられなくなり、鮮度の落ちやすいものは、より早く落ちます。冬は逆で、温かい料理の温度が落ちる速さが室内とは違います。仕上げてから卓に届くまでの短い距離で、香りの立ち上がり方が変わります。
同じ屋外でも、季節によって守るべきものが反対を向きます。ここは、季節の章で詳しく扱います。
冷蔵設備があるかどうか
屋外提供の成立条件は、ここに集約されます。冷蔵設備をしっかり準備できるかどうかです。
現場に持ち込むときは、保冷剤を入れた保冷バッグを基本にしています。長時間になる場合は冷凍対応にして、冷凍のまま持ち込めるものは冷凍で運びます。移動式冷蔵庫もありますので、必要に応じて使います。保冷バッグ、冷凍、移動式冷蔵庫。この三段構えを、現場の条件に合わせて選びます。
会場側に冷蔵を置く場所と、そこまでの経路があるかどうか。打合せの早い段階で確認しておきたい項目です。
火は持ち込めます。電源は、そう簡単ではありません
屋外でよくいただくご質問が、火と電源です。
火は、カセットコンロを使えば簡易的に対応できます。必要に応じて持ち込むこともできます。
難しいのは電源のほうです。電源はなかなか難しく、レンタルなども視野に入れながらのご相談になります。会場に電源がある場合とない場合で、組めるメニューが変わります。ここは後から何とかする、が効きにくい項目ですので、先に確認しておくことをおすすめします。
搬送と、進行の遅れ
厨房から会場までの距離は、そのまま現地で使える時間の量になります。移動が長ければ、状態を保つための工程が増え、仕上げに使える時間が削られていきます。
進行の遅れも同じです。屋外は、天候と移動で進行が動きやすい場所です。進行が押す前提で、料理の形を選ぶ。 そのほうが、結果として崩れません。
ビュッフェと着席の使い分け
屋外の料理設計で、いちばん結果を変えるのがこの選択です。着席かビュッフェかは、好みではなく条件で決まります。
| 条件 | 着席コース | ビュッフェ形式 |
|---|---|---|
| 人数 | 6〜16名さま | 17名さま〜(40〜60名さまの会も対応) |
| 進行 | 時刻どおりに進む前提で組む | 料理を先に出しておくため、進行が押しても崩れにくい |
| 会場の動線 | 席を固定できる場所 | 人が立って動く場所。料理を分散して置ける場所 |
| 屋外での条件 | 仕上げる場所と席が近いこと | 置き場所と、風や日差しを避けられる位置があること |
| お一人あたり | 15,000円〜(ワインペアリング付 22,000円) | 8,000円〜 |
大人数のビュッフェには、屋外に向いた性質があります。料理を先に出しておく設計のため、当日の進行が押しても、料理側に問題が出にくい。会の進行が読めない現場で成立させやすいのは、この先出しの構造によるものです。屋外は、まさに進行が読みにくい場所です。
一方で、17名さまを超えると、一皿ずつお出しする着席の形は物理的に成立しにくくなります。ですので 6〜16名さまは着席コース、17名さま以上はビュッフェ形式でご提案しています。この二つは、価格の高い低いではなく、設計思想の異なる別のサービスです。
40〜60名さまの会も、会場との兼ね合いを見て、スタッフを十分に補充することで対応できます。
立って動く会では、手が塞がらない形にする
ガーデンパーティー形式のように、人が立って動く会では、料理の形そのものを変えます。
取り皿に取りやすい料理を意識します。具体的には、フィンガーフードのように手で持って食べられる形と、ひと口で食べきれる大きさに小さく切った料理です。屋外の立食では、グラスを持ち、写真を撮り、人と話します。手が塞がることが、いちばんの障害になります。
置き方も設計します。人数が多く、料理に人が集中しそうなときは、二か所に分けて配置します。一か所に固めると、行列と滞留が生まれるためです。出し方も、最初にすべて出し切る形と、半分を出して途中で補充する形を、会の性質によって使い分けます。
品数は、30名さま規模で10品ほどが目安です。ただし、これはあくまで目安になります。参加される方の顔ぶれや会のコンセプトで変わりますので、主催される方と相談して決めます。量は、少し余るくらいを見て多めに持参します。
温度の設計 保温ではなく「調理の時刻」で解く
屋外の温度対策というと、保温器具の話になりがちです。私たちは、そこでは解かないようにしています。
保温は、時間を止める道具ではありません。 温めたまま置いた料理は、温度こそ保たれても、香りと食感は別のものになっていきます。
私は、温度は味の一部だと考えています。同じ皿でも、仕上げた直後と数十分後では、香りの立ち上がり方がまったく違います。脂は落ち着き、輪郭はゆるやかになる。それが悪いわけではありませんが、意図した味とは別のものになります。
ですので屋外では、保温の道具ではなく調理の時刻で解きます。考え方は単純です。
1. 冷たい料理を先に出す:冷蔵から出してすぐが、いちばん良い状態です
2. 温かい料理は、会場で仕上げる:運んでから温め直すのではなく、火を入れる工程を現地に残しておきます
3. 仕上げの時刻を、進行に合わせて動かす:料理を待たせるのではなく、料理の側が進行に寄り添います
Na Team Lab は、料理とワインを9つの原則で組み立てています。そのうちの一つに、コースのリズムという考え方があります。軽いものから重いものへ、変化と起伏をつけて会を進めていく設計です。屋外でこのリズムを崩さないために、火入れの工程を現地に残しておきます。運ぶのではなく、その場で仕立てる。 屋外でも、そこは変わりません。
屋外では、生ものを避けます
温度と切り離せないのが、食材の選び方です。
屋外では生ものに注意が必要になりますので、できるだけ避けてお出ししたいというのが私たちの方針です。夏のご依頼でも同じように、生ものや、現地で火入れをしないもの、鮮度が落ちやすい魚介類は、極力避けるようにしています。
つまり屋外の会では、現地で火を入れる料理に構成を寄せることになります。これは制限のように見えますが、実際には温度の設計と方向が一致します。現地で火を入れる料理は、仕上げの時刻を動かせるからです。
なお、牡蠣やレバーのように細心の注意を要する食材は、屋内外を問わず、こちらから提案することはしていません。お出しした料理の残りをお持ち帰りいただくこともしていません。手を離れたあとの温度と時間は、管理ができないためです。
雨を、どう抱えるか
屋外の会で、最後まで残る問題が雨です。
とれる形のひとつは、雨天の場合を見越して、室内で対応できる会場も並行して押さえておくことです。降ったら、そちらへ移る。会そのものは成立します。
ただし、この形には会場費がその分増えるという現実がついてきます。押さえた室内会場を使わなかった場合も、費用は発生します。これを取るかどうかは、主催される方の判断になります。会場を扱う立場であれば、この選択肢と費用を早い段階で並べて示しておくことが、当日の混乱をいちばん減らすと考えています。
料理の側でできるのは、どちらに転んでも成立する形にしておくことです。
- 現地で火を入れる料理の比率を上げておく(仕上げの場所を移せます)
- 冷蔵の置き場所を、屋外と室内の両方で想定しておく
- 料理の置き場所を分散できる形にしておく(移動しても行列が生まれにくくなります)
私たちは、食材、器、グラス、カトラリー、必要な調理道具を持参します。会場に火や水道がない場合は、調理機材も含めて持ち込みます。厨房ごと持っていく形をとっているので、場所が変わることそのものには対応できます。決めておくべきなのは、移る先があるかどうかです。
季節で変わるのは、料理よりも先に条件です
屋外の会は、季節によって「先に決めること」が変わります。夏なら暑さ対策、冬なら寒さ対策。ここは、はっきり分けて考えています。
| 季節 | 先に決めること | 料理側の判断 |
|---|---|---|
| 春 | 雨と風への備え。気温の制約はゆるみます | 屋外にいる時間を長めに取りやすい季節です |
| 夏 | 暑さ対策と、冷蔵をどこに確保するか | 生ものや鮮度の落ちやすい魚介は避け、現地で火を入れる料理に寄せます |
| 秋 | 日が落ちる時刻。会の後半の冷え込み | 温かい料理を、会の後半に置きます |
| 冬 | 寒さ対策。温度が落ちる速さ | 仕上げの場所を席の近くに。温かい料理の比率を上げます |
夏と冬は、守るものが反対を向きます。夏は温度を上げないための設計、冬は落とさないための設計になります。春と秋は気温の制約がゆるむぶん、判断の軸が雨と風、そして日が落ちる時刻に移ります。
いずれの季節でも、決める順番は変わりません。条件を決めてから、料理を決めます。
屋外に、厨房を持っていく
ここまでを料理を出す側の言葉でまとめると、ガーデンウェディングとは、厨房ごと屋外へ移す仕事です。
私たちは、レストランの厨房から飛び出して、お客様が選んだ場所に伺うことを仕事にしています。恵比寿に一日ひと組・八席のレストランを構えながら、年間200件を超える出張に伺ってきました。伺う先は、ご自宅、別邸、会員制の空間、タワーレジデンスのパーティールーム。場所が変わっても、9つの原則は変わりません。
屋外の実績としては、バーベキュー形式のご依頼を受けています。テラスなどの屋外についても、冷蔵設備をしっかり準備できていれば、問題なく対応できます。火はカセットコンロで簡易的に対応でき、電源はレンタルを含めたご相談になります。40〜60名さまの会も、会場との兼ね合いを見てスタッフを補充する形で組み立てます。
会場を扱う方、プランナーの方からのご相談もいただいています。内容としては、料理を提供していく中でどんな順番にするのか、どんな内容にするのか、予算をどう組むのか。この三つが中心です。屋外の会場をお持ちで、料理側の設計から一緒に組み立てたいという場合は、そのままご相談いただければと思います。
費用
屋外の会でよくいただくのが、人数別の費用感のご質問です。目安は次のとおりです。
| 人数 | 形式 | お一人あたり | 総額の目安 |
|---|---|---|---|
| 6〜16名さま | 着席コース | 15,000円〜 | 90,000円〜 |
| 6〜16名さま | 着席コース+ワインペアリング | 22,000円 | ― |
| 40名さま | ビュッフェ形式 | 8,000円〜 | 320,000円〜 |
| 60名さま | ビュッフェ形式 | 8,000円〜 | 480,000円〜 |
表示している価格には、税・サービス料・出張費がすべて含まれます。 当日になって別の項目が加わることはありません。1回のご依頼につき、90,000円からを最低のラインとしています。
会場費は含まれません。雨天用に室内会場を並行して押さえる場合や、電源をレンタルする場合の費用も、会場側の条件によって別に発生します。屋外の会では、この料理以外の費用が室内より増えます。見積もりを組むときは、料理と会場条件を分けて並べておくと、判断がしやすくなります。
ご相談は、2週間前までにいただけると余裕をもって組み立てられます。対応エリアは基本的に東京都内で、都外や遠方も別途ご相談を承っています。開催日から7日以内のキャンセルは、料金の100%を頂戴することが多くなります。人数が増える場合は、前日のご連絡でも対応できます。
まとめ
ガーデンウェディングの料理について、要点を整理します。
- 屋外の料理は、温度・時間・天候を決めてから品数を決めます。 順番を逆にすると、当日に出せない料理が出てきます
- 屋外提供の成立条件は、冷蔵設備を準備できるかどうかです。保冷バッグ、冷凍、移動式冷蔵庫を、現場の条件に合わせて使い分けます
- 火はカセットコンロで簡易的に対応できますが、電源は難しく、レンタルを含めたご相談になります
- 着席コースは6〜16名さま、17名さま以上はビュッフェ形式です。料理を先に出しておく設計のため、進行が押しやすい屋外とビュッフェは相性のよい組み合わせです
- 雨天は、室内会場を並行して押さえる形が取れます。 ただし会場費が増えるため、そこは主催される方の判断になります
屋外の会は、決めることが多い分、決まってしまえば当日は静かに進みます。会場をお持ちで、料理側の設計から一緒に考えたいという方は、人数と日取り、そして会場の設備条件だけお聞かせください。そこから、その場所に合う形を組み立てます。
Na Team Lab の出張料理の詳細や、ご相談は公式LINEにてご案内しています。
よくある質問
ガーデンウェディングでバーベキュー形式は可能ですか?
屋外のご依頼としてバーベキュー形式は承っています。屋外で火を扱う形にも対応できます。火はカセットコンロで簡易的に対応できますので、会場の火気の可否と置き場所を事前に確認したうえで組み立ててまいります。
屋外で料理が傷まないか心配です。どのように対応していますか?
冷蔵設備をしっかり準備できていれば、屋外でも問題なく対応できます。保冷剤を入れた保冷バッグ、冷凍での持ち込み、移動式冷蔵庫を、現場の条件に合わせて使い分けます。生ものは避け、現地で火を入れる料理に構成を寄せます。
40〜60名の屋外の会でも依頼できますか?
会場との兼ね合いを見て、スタッフを十分に補充する形で対応できます。17名さま以上はビュッフェ形式となり、お一人8,000円からが目安です。料理を先に出しておく設計のため、屋外の進行にも合わせやすい形になります。
ご依頼の前に、料理を確かめる体験ランチ。
法人ケータリングをご検討中の方へ、恵比寿の店舗で料理をご体験いただけます。担当者様・役員の方々もご一緒に。1〜8名様 / お一人様15,000円(税込)・ドリンク込み / 約2時間・完全予約制。完全予約制・開始時間はご都合に合わせて調整。
法人ケータリングの体験ランチ
ご依頼前に、担当者様・役員の方を交えて。
1〜8名様・お一人様15,000円(税込)・ドリンク込み体験ランチの詳細を見る

