表彰式の懇親会を任された担当者の方から、いちばん多くいただくご相談はこれです。

「式がどれくらい押すか読めないのですが、料理は大丈夫でしょうか」

正直な話をすると、式典はほぼ押します。表彰の人数が増える、来賓の挨拶が伸びる、写真撮影に時間がかかる。予定どおりに終わる式に出会うことは、あまりありません。

ですから、押さないように祈るのではなく、押しても崩れない形で組むしかありません。表彰式のケータリングで考えるべきことは、料理の内容よりも先に、料理をいつ、どの状態で卓に置いておくかという段取りのほうです。

この記事では、表彰式のあとの懇親会について、形式の選び方、人数別の料理量と費用の目安、式次第との接続、受賞者への配慮、会場の確認点までを、法人の会を設える側の視点で整理します。式の進行そのものや司会原稿については触れません。料理と会場の話に限定します。

SUMMARY

結論:表彰式のケータリングは、式が押すことを前提に、料理を先に出しておく設計にすると崩れません。 大人数のビュッフェ形式では、開場前に料理が揃っている状態をつくります。この形なら、進行の読めない会でも料理の側に問題が出にくくなります。 品数は30名で10品ほど、70名規模で15種ほどが目安です。17名さま以上はビュッフェ形式でお一人8,000円から、6〜16名さまは着席コースでお一人15,000円からを目安にしています。 表彰式では、会場・料理・ドリンク・当日のサービスを一つの窓口にまとめられるかが、担当者の負担を大きく左右します。

あわせて、立食料理を温度から考えると法人ケータリングの選び方もご覧ください。

表彰式のあとに、懇親会を開く理由

表彰式は、それ自体で完結する式典です。名前が呼ばれ、賞状が渡され、拍手が起きる。ここまでで、目的の半分は達成されています。

では、なぜそのあとに懇親会を開くのか。理由は二つに整理できます。

ひとつは労いです。表彰は、壇上に上がった方への評価です。ですが成果は、その方ひとりで出たものではありません。懇親会は、壇上に上がらなかった方まで含めて場を共有するための時間になります。

もうひとつは部署を越えた交流です。日常の業務では接点のない人同士が、同じ卓に立つ機会はそう多くありません。式典という理由があるからこそ、普段話さない相手と話せます。

私たちが法人の会に伺うなかで感じるのは、この二つ目の価値が想定より大きいということです。実際に、それまでマンネリ化していた社内イベントに料理人が入ったことで、社内の反応がとてもよかったというお声をいただいた案件もありました。式の中身を変えなくても、そのあとの時間の質が変わると、会全体の印象が変わります。

なお、社外の方を招かない会は、席次や格式に配慮する相手がいません。そのぶん、話しやすい空間づくりに振り切れます。招く相手が社内だけの場合、格式より温度を優先する設計が取りやすくなる、というのが料理人の側から見た見立てです。

立食・半着席・着席の選び方

イクラの小さなタルトを手に取る実写写真
拍手のあとにも取りやすいひと口料理の一例です。実際の表彰式の記録ではありません。

形式は三つに分かれます。どれを選ぶかは、人数と会場と、その式で何をしたいかで決まります。

形式人数の目安会場向く式
立食17名さま以上ホール、貸切スペース、パーティールーム全社表彰、周年式典。交流を主目的とする会
半着席20〜60名程度着席用の卓を一部だけ置ける会場受賞者・役員の卓を設けたい会
着席コース6〜16名さま個室、小規模な貸切表彰対象が少数の会。役員表彰、部門内の表彰

判断の分かれ目は、はっきりしています。受賞者と役員の卓を用意するかどうかです。

卓を用意するなら、半着席か着席になります。用意しないなら立食です。ここを先に決めると、会場の広さも料理の形も、続けて決まっていきます。

立食は、人が自由に動き、話しながら食べる場に料理を添える形です。着席コースは、料理の順序と温度で時間のリズムをつくる形です。この二つは価格の高い低いではなく、設計思想の異なる別のサービスです。 17名さまを超えると、一皿ずつお出しする形は物理的に成立しにくくなりますので、その帯からはビュッフェ形式でご提案しています。

人数別の料理量と費用の目安

ここからは数字の話です。ただし最初に、いちばん大事なことをお伝えします。

品数に決まった正解はありません。 Na Team Lab には「基本このメニューで提供します」という固定メニューが存在しません。参加される方の属性と、会のコンセプトと、予算に合わせて組み替えます。

そのうえで、これまでの案件から確定している目安が二つあります。30名規模で10品ほど。70名規模では15種ほどです。70名の案件で品数を増やしたのは、人数が多かったため種類を多く用意する必要があったからです。

この二点から、人数別の目安を置くとこうなります。

人数品数の目安形式料理のお一人あたり
20名さま8〜10品ビュッフェ形式8,000円〜
50名さま12〜13品ビュッフェ形式8,000円〜
100名さま15品以上ビュッフェ形式8,000円〜

※ 品数は30名で10品・70名で15種という2つの実例から置いた目安です。参加される方の属性と会のコンセプトで変わりますので、主催者の方と相談して決めます。

総額は、お一人8,000円〜で計算した場合の目安として、20名さまで160,000円から、50名さまで400,000円から、100名さまで800,000円からになります。なお、6〜16名さまの着席コースはお一人15,000円から、ワインペアリングをお付けする場合はお一人22,000円です。1回のご依頼につき90,000円からを最低ラインとしています。表示価格には、税・サービス料・出張費がすべて含まれます。

市場の相場と、あわせて見る

ケータリングという言葉には、実は三つの異なる形式が入っています。一般的な目安として整理すると、次のようになります。

形式お一人あたりの目安料理の状態
配達型(オードブル・デリバリー)1,500〜3,000円仕上げた料理を届ける
会場仕上げ型(ビュッフェ)5,000〜10,000円現地で仕上げ・盛り付け
着席コース型15,000円〜一皿ずつその場で提供

品数を横に広げるか、中心に一皿を置くか

予算配分で迷われたときに、私がお伝えしていることがあります。

ビュッフェではローストビーフをお出しすることが多いのですが、これはすぐになくなります。 メイン料理は、参加された方の反応が明らかに上がります。

つまり予算を品数に散らすより、中心に一皿を置いたほうが場が動くことがあります。品数が一品少なくても、拍手のあとに切り分ける肉があるかどうかで、会の温度は変わります。

なお、石垣島の美崎牛をお出しすることもあります。年間300頭しか出荷されず、都内では3店舗にのみ卸されているものです。ビュッフェの場合はローストビーフにしてお出しすることが多いのですが、希少なものですので、常時ご用意できるとはお約束できません。ご相談の段階でお伝えします。

式次第から逆算して、料理を出す時刻を決める

ここが、表彰式のケータリングでいちばん重要な設計です。

表彰式は、開場、式、乾杯、歓談、締めという順に進みます。このうち料理が関わるのは乾杯以降ですが、料理を並べ始める時刻は、乾杯ではなく開場から逆算します。

大人数の会は、先に出し切る

人数の多いビュッフェ形式では、参加者が到着する前に料理が揃っている状態をつくります。70名規模の式典でも、この形で組みました。

先出しにする理由は、進行が読めないからです。料理を先に出しておく設計にしておけば、当日の進行が押しても料理の側に問題が出にくくなります。 式が20分伸びたからといって、厨房で待機している料理の状態が悪くなることがありません。

品数を10品とした場合、出し方には二つのパターンがあります。最初から10品すべて出し切る全出しと、5品を出して途中で残り5品を補充する分割です。どちらを選ぶかは、会の性質と進行と人数で変えます。表彰式のように進行が読めない会では、全出しが機能します。

着席コースなら、乾杯のあとに順に出す

表彰の対象が少数で、6〜16名さまの着席コースを選ばれた場合は、話が変わります。この形では、一皿ずつお出しする順序と温度が、そのまま時間のリズムになります。

Na Team Lab は料理とワインを9つの原則で組み立てていますが、そのうちのひとつが「コースのリズム」です。軽いものから重いものへ、変化と起伏をつけて進めていく設計です。この設計は、一皿ずつのタイミングが守られてはじめて意味を持ちます。

ですので着席コースの場合は、式の終了時刻をできるだけ確定させてから組み立てます。読めない場合は、立食か半着席をご提案します。

人が集中する場所を、分散させる

人数が多く、料理に人が集中する場合は、配置を2か所に分けることもあります。1か所に固めると、行列と滞留が生まれます。

式典のあとの懇親会は、開始直後に人が一斉に動きます。動線を分けておくと、最初の10分の混雑がほどけます。

受賞者と来賓への配慮

表彰式には、ほかの会にはない特徴があります。その日いちばん労われるべき人が、いちばん動かされるという点です。

受賞者は、席に着いた直後から声をかけられます。写真を求められ、挨拶に立ち、お礼を言って回る。気がつくと、卓の皿は手つかずのまま冷えています。

これは主催者側にも同じことが起きます。私たちがお伺いしてきた会では、主催された方が食べられないケースがやはり多くあります。対応として、別途取り分けて置いておくこともあります。

ただ、これは対処であって解決ではありません。主催される方に伺うと、「料理を食べたい」というよりも「招いた方々と話したい」という気持ちのほうが強いことが多いのです。であれば、その場をつくることに専念していただいたほうがよいと考えています。

だから私たちは、料理やドリンクがなくならないように、サービスごとお預かりする形でお受けしています。補充や配膳を気にせず、受賞された方と話す時間に使っていただくためです。

来賓の方については、取り分けやすい形を意識します。名刺を交わす場面がある会では、手が塞がることが最大の障害になります。手で持って食べられる形や、ひと口で完結する大きさにしておくと、会話と食事が両立します。

会場の選び方と、持ち込みの確認点

会場は三つの選択肢に分かれます。

  • 社内:移動がなく、費用を抑えられます。ただし火と水道の条件を確認する必要があります
  • ホテル・式場:設備は整っていますが、料理の持ち込みができないことが多くあります
  • 貸切スペース・パーティールーム:持ち込みができる会場が多く、形式の自由度が高くなります

法人のご依頼で実際に多いのは、三番目です。とくに、会社が借りているタワーマンションのパーティールームでの会をよくお受けしています。オフィスそのものは火や水道がない場合が多いため、依頼自体が少ないという実情があります。

ただし、オフィスへ食事をお運びする形や、オードブル形式でのご提供は経験があります。現地で調理する場合は、必要な機材を持参して対応します。

確認しておきたい三点

会場を押さえる前に、この三つだけ確認していただけると段取りが早く進みます。

1. 料理の持ち込みが可能か(ホテル・式場では制限があることが多い)

2. 搬入経路と時間帯(タワーマンションでは、台車を使う搬入に裏口やサービス用エレベーターが別に用意されていることが多い)

3. 終了時刻と撤収の制約(時刻に厳しい制約がある場合は、その時刻に合わせて撤収を組みます)

なお、パーティールームをお使いになる場合は、防災センターに許可を取ってから対応します。手続きに時間がかかることがありますので、当日は少し早めに現地入りしています。

会場そのものについても、ご相談をいただくことがあります。過去の周年式典では、会場の手配、料理、ドリンク、当日のサービスの手配まで一括でお受けした案件がありました。手配先が分散すると担当者の負担が増えますので、まとめてご相談いただく形もご案内しています。

拍手のあとに、温かい皿を出すために

ご相談は、2週間前までにいただけると余裕をもって組み立てられます。

ただし表彰式のような式典では、社内の稟議や会場の押さえが先に動きます。2か月前にご相談いただけると、会場の選択肢を含めて一緒に考えられます。日程が確定していない段階でのご相談でも構いません。

ご相談の際に伺うのは、人数、式の開始と終了の予定時刻、会場、受賞者の卓を設けるかどうか、アレルギーや苦手な食材です。参加される方の属性を事前に共有いただけると、量の見積もりの精度が上がります。若い方が多い会では食べる量が変わりますので、そこも含めてお聞かせください。

なお、量は少し多めに余裕を持って持参しています。少し余るくらいをイメージして用意するのが、私たちの基本の組み方です。

書類と支払いについて

法人のご依頼では、見積書・請求書・領収書を発行しています。適格請求書(インボイス)にも対応済みで、請求書の宛名分割も可能です。社内稟議のために正式発注の前に見積書がほしい、というご相談も承っています。

お支払いは請求書払いに対応しています。初回は事前振込または当日支払い、2回目以降は月末締め・翌月末払いも可能です。

なお、接待交際費として計上できるかどうかについては、御社の経理方針と税理士の判断によりますので、こちらから断定はいたしません。

人数の変更について

式典では、直前まで参加人数が動きます。

人数が増える場合は、前日のご連絡でも対応可能です。人数が減る場合は、キャンセルポリシーに沿った取り扱いになります。開催日から7日以内のキャンセルは、料金の100%を頂戴することが多い運用です。

法人のご依頼は、平日の夜または土日の開催が中心です。業務時間内の会は、実際にはあまり多くありません。時間外に集まっていただく以上、来てよかったと思える設計が要ると考えています。

まとめ

表彰式のケータリングについて、要点を整理します。

  • 式は押すものと考えて組み立てます。 大人数のビュッフェ形式では、開場前に料理を揃えておく先出しの設計にすると、進行が押しても料理の側に問題が出にくくなります
  • 形式の分かれ目は、受賞者と役員の卓を用意するかどうかです。 用意するなら半着席か着席、しないなら立食。17名さまを超えると一皿ずつの形は成立しにくくなります
  • 品数の目安は30名で10品ほど、70名規模で15種ほど。 ただし固定メニューはなく、参加される方の属性と会のコンセプトで組み替えます
  • 料理はお一人8,000円から(17名さま〜のビュッフェ形式)、6〜16名さまの着席コースはお一人15,000円から。 税・サービス料・出張費込みです
  • 予算は、品数を横に広げるより中心に一皿を置くほうが場が動くことがあります。 ローストビーフはすぐになくなります
  • 受賞者と主催者は、いちばん食べられない立場になります。 料理とドリンクのサービスごとお預かりすることで、話す時間に使っていただけます
  • 会場は持ち込みの可否・搬入経路・終了時刻の三点を先に確認してください。 会場そのものからのご相談も承っています

表彰式は、一年のうちで社員の方をいちばん正面から労う日です。その日の料理が、式のあとの時間をどう過ごせるかを決めます。

人数と、式の開始と終了の予定時刻だけお聞かせいただければ、そこから形をご提案します。法人ケータリングの詳細やご相談は、公式LINEにてご案内しています。

よくある質問

表彰式のケータリングは、何か月前に相談すればよいですか?

2週間前までにご相談いただければ組み立てられます。ただし社内の稟議や会場の押さえがある式典では、2か月前のご相談が動きやすいと考えています。日程が確定していない段階でのご相談でも構いません。

アルコールの手配もお願いできますか?

お受けしています。過去には、会場・料理・ドリンク・当日のサービスまでを一括でお任せいただいた案件がありました。手配先が分散すると担当者の負担が増えますので、まとめてご相談いただく形をご案内しています。

式が押してしまったら、料理はどうなりますか?

大人数のビュッフェ形式では、開場前に料理を揃えておく先出しの設計にしています。そのため進行が押しても料理の側に問題が出にくくなります。終了時刻に制約がある会では、その時刻に合わせて撤収まで組み立てます。

Na Team Lab オーナーシェフ 川原壯太
ABOUT NA TEAM LAB Na Team Lab|株式会社Na Team

東京・恵比寿を拠点に、出張料理・店舗貸切・料理教室・ワイン会を展開。料理、ワイン、空間、その日の時間までを設計し、食を通して心に残る体験をつくっています。

執筆:(オーナーシェフ)。年間200件を超える出張料理・会食の経験をもとに、現場の視点をお伝えします。

私たちの理念・会社情報を見る →
掲載実績・参加者の声を見る →


ご依頼の前に、料理を確かめる体験ランチ。

法人ケータリングをご検討中の方へ、恵比寿の店舗で料理をご体験いただけます。担当者様・役員の方々もご一緒に。1〜8名様 / お一人様15,000円(税込)・ドリンク込み / 約2時間・完全予約制。完全予約制・開始時間はご都合に合わせて調整。

▶ 出張料理を頼む前に読む(一覧)

TOP

Na Team Lab|東京・恵比寿

Na Team Labをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む

0