結論:ドンペリの種類は、白(ヴィンテージ)とロゼ、そしてさらに長く熟成させてから出荷するP2・P3に分かれます。 ドン・ペリニヨンは、良い年のぶどうだけで造る単一年のシャンパーニュです。年号のないものは造られていません。 白とロゼの違いは色と品種の比重、P2・P3との違いは出荷までにどれだけ待ったかです。 同じ銘柄でも、熟成の期間が変わると香りの表情は大きく変わります。待った時間が、そのまま味の違いになります。
あわせて、シャンパンは、四つの言葉で選べます(種類の読み解き方)とシャンパンは、産地の名前です(スパークリングワインとの違い)もご覧ください。

ドンペリ、という名前は知られています。けれど「種類がいくつあって、どう違うのか」を説明できる方は、意外と少ないのではないでしょうか。
調べてみると、出てくるのは買取価格や通販の一覧が中心です。何がどう違うのか、飲むとどこが変わるのかという話にはなかなか行き当たりません。
この記事では、ドンペリの種類を「色」と「熟成の長さ」という二つの軸で整理します。 値段の目安も添えますが、順位をつけるためではありません。どれを選ぶと何が手に入るのかが分かるようにするためです。
なお、シャンパーニュそのものの読み解き方はシャンパンは、四つの言葉で選べますにまとめています。甘辛・色・ぶどうの構成・年号という四つの軸の話は、そちらをご覧ください。本記事は、ドン・ペリニヨンという一つのメゾンに絞ります。
ドン・ペリニヨンとは、どういうシャンパーニュか
名前は、17世紀の修道士から
ドン・ペリニヨンという名前は、ドン・ピエール・ペリニヨンという人物に由来します。
公式の沿革によれば、1668年、彼はオーヴィレール修道院の管理責任者に任命されました。 シャンパーニュ地方の修道院です。「ドン」は、修道士への敬称にあたります。
よく「彼がシャンパーニュを発明した」と語られますが、これについては慎重に扱うべきだと考えています。発明者であるという記述は、公式には確認できません。 俗説として広まった面が大きいようです。ワインづくりの改良に深く関わった人物である、という理解にとどめておくのが無理のないところでしょう。
メゾンとしてのドン・ペリニヨンは、現在、モエ ヘネシー(LVMH)のワイン&スピリッツ部門に属しています。日本では「モエ・エ・シャンドンが造る最上位」と説明されることもありますが、公式サイトはドン・ペリニヨンを独立したメゾンとして扱っています。 この記事では、そちらの表記に合わせます。
すべてが「単一年」で造られます
ここが、ドン・ペリニヨンを理解する上でいちばん大事な一点です。
ドン・ペリニヨンは、単一年に収穫されたぶどうだけで造られます。 公式は「Vintage only」と明言しています。複数の年のワインを混ぜて味を一定に保つ、いわゆるノン・ヴィンテージの製品は造られていません。
シャンパーニュの世界では、これは珍しい姿勢です。一般的なシャンパーニュは、収穫年の出来不出来を複数年のブレンドで埋め、毎年同じ味を届ける設計になっています。年号のない瓶が基本で、年号入りは特別な年だけ。それが普通です。
ドン・ペリニヨンは、その逆を選んでいます。良い年と判断できなければ、その年は出さない。 公式も、品質を量より優先する姿勢として説明しています。
ちなみに、単一年であることと、品種を混ぜることは矛盾しません。公式は、ドン・ペリニヨンが常にアッサンブラージュ(複数の品種・区画のブレンド)であると述べています。一年のなかで、複数の畑と品種を組み合わせて一本をつくる。 混ぜないのは年であって、ぶどうではないのです。
公式の商品情報に記載されている品種は、シャルドネとピノ・ノワールの2種です。なお「ムニエを使わない」と公式が明言しているわけではないため、そこは断定を避けておきます。
ノン・ヴィンテージと年号入りの考え方そのものについては、シャンパンの種類の記事で詳しく扱っています。
ドンペリの種類は4つ ― 比較表
全体像を先にお示しします。値段は、いずれも目安としてご覧ください。
| 種類 | 色 | 出荷までの熟成の目安 | 味わいの傾向 | 値段の目安(税込) |
|---|---|---|---|---|
| ヴィンテージ(白) | 淡い黄金色 | 8年以上 | 柑橘や白い花の輪郭に、焼いた菓子の香りが重なる | 約39,000円 |
| ロゼ ヴィンテージ | 淡い銅色〜サーモンピンク | 12年以上 | 赤い果実の香りが前に出て、骨格がしっかりする | 約65,000円 |
| P2(プレニチュード2) | 濃い黄金色 | 約15年以上 | 香りの層が増え、ナッツや蜂蜜の方向へ向かう | 約80,000円 |
| P3(プレニチュード3) | さらに濃い黄金色 | 公式の記載を確認できず | さらに長い熟成を経た表情 | 公式の希望小売価格は非公表 |
熟成期間は、公式および日本の輸入元の発表に基づく記載です。値段は、2026年10月時点で発表されている希望小売価格をもとにした目安で、ヴィンテージの年によっても変わります。
ヴィンテージ(白)
ラインアップの基準となる一本です。正式な商品名は「ドン ペリニヨン ヴィンテージ ○○年」で、「ブリュット」は製品名ではなくラベル上の甘辛表示にあたります。
公式は、8年を下らない期間をかけて仕上げると説明しています。 瓶の中で、酵母と接したまま、暗いセラーでゆっくり変化していく時間です。
一般的なシャンパーニュの熟成期間と比べると、これは長いほうに入ります。年号入りのシャンパーニュに求められる最低熟成期間は3年とされますので、その倍以上を待っていることになります。
ロゼ ヴィンテージ
色のついた一本です。ロゼは、白よりも長く待たれます。公式は12年以上と説明しており、個別のヴィンテージでは約15年の熟成と案内されているものもあります。
ロゼ・シャンパーニュの造り方には、大きく二つの道があります。赤ワインを少量ブレンドする方法と、黒ぶどうの皮を短く漬けて色を移す方法です。どちらを選ぶかで、色の出方も味の方向も変わります。
味わいとしては、黒ぶどうの比重が上がるぶん、赤い果実の香りが前に出て、骨格がはっきりします。
私たちの店でも、冬に向かってボリューム感のある泡を楽しみたいとき、ロゼから乾杯を始めることがあります。 あるいは逆に、1杯目は通常のシャンパーニュで入り、最後に「締めのシャンパン」としてロゼを出す。その二通りの使い方をしています。ロゼは、夜のどこに置くかで表情が変わる泡です。
ロゼの造り方そのものについては、ロゼワインの記事で整理しています。
P2・P3 ― プレニチュードという考え方
ここが、ドンペリの種類を分かりにくくしている部分です。
P2・P3の「P」は、プレニチュード(Plénitude)の頭文字です。 日本語にすると「満ちた状態」「到達点」といった意味になります。
考え方は、こうです。シャンパーニュは、セラーで熟成を重ねるあいだ、ずっと一直線に良くなっていくわけではありません。ある時期に香りや質感がまとまり、次の時期にはまた別のまとまり方をする。 公式は、段階ごとに異なる到達点を迎える、と説明しています。
通常のヴィンテージとして出荷される8年以上の段階が、最初の到達点です。そこからさらに待って、次の到達点で出すのがP2。公式は約15年以上としています。P3は、そこからさらに長く待った段階です。
プレニチュードは「格上げ」ではありません
ここは誤解されやすいところなので、はっきりさせておきたいと思います。
P2やP3は、ヴィンテージの上位グレードではありません。 公式の説明は、段階ごとに香りや質感、余韻の現れ方が変化するというものです。優劣ではなく、表現の違いとして位置づけられています。
ぶどうは同じ年のものです。畑も、組み立ても同じ。違うのは、セラーで何年待ったかだけ。 同じ素材が、時間の長さだけで別の表情になる。それを並べて示すのが、プレニチュードという考え方です。
ですから「P2のほうが美味しい」とは、私たちは言いません。若い段階の輪郭の鋭さが好きな方もいれば、長く待った香りの層が好きな方もいます。好みの話です。
なお、P3については注意が必要です。公式サイトの現行製品ページにP3の掲載が確認できず、熟成年数についても公式の記載を確認できませんでした。 特別な年にのみ出る、稀少なリリースという扱いのようです。「P3は25年以上の熟成」といった数字が流通していますが、公式で裏が取れないため、この記事では断定しません。

いちばん高いのは、どれか
よく検索される問いです。順に整理します。
公式の現行ラインアップのなかでは、P2がもっとも高い位置にあります。 2026年10月時点の希望小売価格では、P2が約80,000円、ロゼ ヴィンテージが約65,000円、ヴィンテージ(白)が約39,000円という順です。いずれも税込の目安です。
一方、市場に出回る価格でいちばん高くなるのはP3です。 ただしこれは希望小売価格ではありません。公式の製品ページに掲載がなく、希望小売価格も公表されていないため、流通しているのは二次流通や並行輸入の相場です。数十万円から百万円規模の提示例が見られますが、これは「定価」ではないという点を押さえておいてください。
つまり、答えは聞き方によって変わります。正規に買える現行品のなかで最上位はP2。市場価格で最高額になるのはP3。そういう構造です。
ちなみに、限定ラベルや大きなサイズの瓶は、中身が同じでも価格が変わります。アーティストとの限定版や、マグナム以上の瓶です。価格差が、そのまま中身の差を表しているわけではないということも、あわせて覚えておくと見通しがよくなります。
どれを選ぶか ― 場面から考える
値段の順ではなく、何をしたいかで選ぶのが、いちばん失敗が少ないと考えています。
| 場面 | 向いているもの | 理由 |
|---|---|---|
| 贈り物(相手の好みが分からない) | ヴィンテージ(白) | 基準となる一本で、受け取る側が扱いやすい |
| 記念日の食卓で、料理と合わせる | ロゼ ヴィンテージ | 骨格があり、肉料理まで受けられる |
| 生まれ年・節目の年を贈る | その年のヴィンテージ | 単一年なので、年を選ぶ意味がはっきりする |
| 熟成の違いを知りたい | ヴィンテージとP2を並べる | 同じ素材で、待った時間だけが違う |
生まれ年を選べるのは、単一年で造られているからこその利点です。 ノン・ヴィンテージが基本の世界では、この選び方はできません。年号入りのシャンパーニュだけが持つ使い方で、贈り物としての意味がはっきり立ちます。生まれ年のワインを選ぶときの考え方は、生まれ年のワインの記事にまとめました。
ひとつ、申し上げておきたいことがあります。ドンペリには、夜の店で高額に供されるお酒という印象がついています。けれど、これはシャンパーニュです。 単一年のぶどうを、長い年月をかけて仕上げたワインであり、料理と合わせて楽しむためのものです。その前提で選んだほうが、払った金額に見合うものが返ってきます。
贈るときの温度と開け方だけ、最後に添えておきます。泡は6〜8℃が目安です。 氷と水を半々にしたクーラーで、20〜30分ほど。開けるときは、コルクではなく瓶のほうを回してください。詳しくはシャンパンの開け方をご覧ください。
熟成の違いは、並べると分かります
ここまで熟成の話をしてきましたが、文章で読んで分かることには限りがあります。
8年待った泡と15年待った泡が、どう違うのか。 それは、香りを嗅ぎ比べればはっきりします。けれど一杯ずつ、別の日に飲んでいては、記憶のなかで比べることになってしまいます。記憶は、思っているより頼りになりません。
私たちがシャンパーニュだけを並べる会を開いたときは、9種類を順に出しました。最初はキリッとすっきり、酸味の効いたものから始め、徐々にボリューム感を上げていく配置です。 年代物は、ノン・ヴィンテージのものから順に進んで、最後のほうに置きました。熟成の味わいを、順番そのもので体験していただくためです。
参加された方からは、「一気にそれだけの種類のシャンパンを飲む経験をすることが少ないので、すごく嬉しかった」という声をいただきました。
一杯ずつでは分からない違いも、隣に並べればはっきりします。 若い泡の柑橘のような輪郭と、年月を重ねた泡のナッツや蜂蜜のような広がり。並べると、そのあいだに何が起きたのかが、言葉を介さずに分かります。
11月17日の[シャンパーニュと泡を巡る夜]では、2007年の古酒を含む泡6種を並べます。ブラン・ド・ブラン、ブラン・ド・ノワール、ロゼ、やや甘口。ペアリングのフルコースとともにお出しします。乾杯の一杯を、いつも「泡で」とだけ頼んでいる方にこそ、来ていただきたい夜です。

まとめ
ドンペリの種類は、二つの軸で整理できます。
- 軸のひとつは色です。白(ヴィンテージ)とロゼ ヴィンテージ
- もうひとつの軸は、出荷までに待った年数です。それがP2・P3という呼び方になります
- すべて単一年のぶどうで造られます。年号のないドン・ペリニヨンは造られていません
- ただし品種と区画は混ぜます。公式の商品情報にある品種はシャルドネとピノ・ノワール
- 熟成の目安は、ヴィンテージが8年以上、ロゼが12年以上、P2が約15年以上
- P3の熟成年数は、公式の記載を確認できませんでした。稀少なリリースという扱いのようです
- 希望小売価格の目安は、ヴィンテージ約39,000円、ロゼ約65,000円、P2約80,000円(税込)
- P3は公式の希望小売価格が非公表で、市場価格が最も高くなります
- プレニチュードは格上げではありません。段階ごとの表現の違いとして設計されています
- 名前の由来は17世紀の修道士。ただし「彼が発明した」という記述は公式には確認できません
種類の違いは、結局のところ「どれだけ待ったか」に行き着きます。待った時間は、香りの層になって戻ってきます。次に一本を選ぶときは、値段の順ではなく、何年待たれた瓶なのかを見てみてください。
次のアクション
ドンペリの種類が整理できると、次に気になるのは「熟成すると、実際に何がどう変わるのか」だと思います。
その答えは、並べて飲むのがいちばん早い道です。 Na Team Lab は、恵比寿駅から徒歩8分、ふだんは1日1組の貸切レストランです。その卓を使って、テーマを立てたワイン会を開いています。基本は8席で、満席の回から締め切ります。
ワインを選び、料理をつくるのは、オーナーシェフの川原壯太です。年間約2,000種のワインを試飲し、毎回の構成を組み立てています。
11月17日(火)20:00 の[シャンパーニュと泡を巡る夜]では、ブラン・ド・ブラン、ブラン・ド・ノワール、ロゼ、2007年の古酒、やや甘口など、泡6種をペアリングのフルコースとともにお出しします。会費は17,800円(税込)です。ご予約は TableCheck で承っており、開催7日前までなら別の日に振り替えていただけます。
飲み放題の飲み会でも、出会いを目的にした会でもありません。ワインと料理が好きな方が、ひとつのテーブルを囲む夜です。
この回の詳細は、シャンパーニュと泡を巡る夜(11月17日)にまとめています。
まず自分の好みを知りたい方は、無料のワイン診断から始めてみてください。酸が好きか、果実味が好きか。全30問、5分ほどで合う品種が出ます。
よくある質問
ドンペリでいちばん高いのはどれですか?
公式の現行ラインアップではP2(プレニチュード2)が最上位で、希望小売価格は約80,000円(税込)が目安です。さらに長く熟成させたP3は公式の希望小売価格が公表されておらず、市場では数十万円以上で取引されることがあります。
P2とP3の違いは何ですか?
違いは、出荷までにセラーで待った年数です。P2は約15年以上と公式が説明しています。P3はさらに長い段階ですが、熟成年数の公式記載は確認できませんでした。中身のぶどうは同じ年のもので、どちらが優れているという関係ではありません。
ワインに詳しくなくても、ひとりで参加できますか?
参加者は半数以上がおひとりです。知識は要りません。これまで100回以上開いてきましたが、「参加するのは初めてで緊張していたのですが、とても楽しいお時間過ごすことができました」という声をいただいています。会費は予約時のお支払いなので、当日は手ぶらでお越しいただけます。
ドンペリの白とロゼの違いは何ですか?
違いは色と品種の比重、そして熟成の長さです。ロゼは黒ぶどうの比重が上がるぶん赤い果実の香りが前に出て、骨格がはっきりします。出荷までの熟成も、白(ヴィンテージ)の8年以上に対し、ロゼは12年以上と公式が説明しています。
ドンペリに年号のない(ノン・ヴィンテージの)ものはありますか?
ありません。ドン・ペリニヨンは単一年に収穫されたぶどうだけで造られ、公式も「Vintage only」と明言しています。良い年と判断できなければ、その年は出さないという姿勢です。そのため、生まれ年や節目の年を選んで贈ることができます。
一杯の違いを、料理とともに確かめる。
少人数のワイン会で、グラス、温度、料理との関係を実際に比べます。

