「専属シェフ」と検索して、この記事にたどり着かれたのではないでしょうか。

検索結果を眺めていると、似た言葉が三つ並びます。専属シェフ、プライベートシェフ、出張シェフ。ときには「お抱えシェフ」という言い方も出てきます。どれも料理人に来てもらうことを指しているようで、どこが違うのかが書かれていません。

わかりにくいのには理由があります。日本には、この三つを区別する業界としての定義が存在しないからです。

私は出張料理人として、年間200件を超える食卓に伺ってきました。その現場では、同じ内容のご依頼が、お客様によって三通りの呼び方をされます。この記事では、その三つを契約という一本の軸で整理します。

SUMMARY

結論:専属シェフとは、特定のご家庭や企業と継続してお付き合いする料理人のことです。 一回ごとにお呼びするのが出張シェフ、その両方をまとめて指す総称がプライベートシェフ。日本には業界としての定義がなく、この三つは現場でも混ざって使われています。 違いは料理の中身ではなく、契約のかたちにあります。単発は一回いくらという考え方で、6名さまから90,000円〜。継続は求められる内容をお伺いしたうえでご提案する形です。 この記事では、三つの呼び名を契約と料金の観点から整理します。

三つの呼び名は、契約のかたちで分かれます

先に結論をお伝えします。三つの違いは、料理の中身ではありません。シェフとの関わり方が、一回きりか、続いていくか。その違いです。

出張シェフ ― 一回ごとにお呼びする形

出張シェフは、その一度のためにお呼びする料理人を指します。

記念日、両家の顔合わせ、自宅での接待。目的があり、日付があり、その日のためにシェフが伺う。終われば、いったん関係も区切られます。次にお会いするかどうかは、そのときに決めればよい。

日本でいちばん流通しているのは、この形です。食材も器も道具も持ち込み、その場で仕立てて、片付けまで済ませて帰る。呼ぶ側にとっては、単発の買い物として完結するわかりやすさがあります。

専属シェフ ― 継続してお付き合いする形

専属シェフは、特定のご家庭や企業と継続的な関係を結んでいる料理人を指します。

ここで多くの方が引っかかるのが、「専属」という言葉の重さです。雇用契約を結び、給与を払い、その人の生活ごと引き受ける。そういう話に聞こえます。

けれど、実際にはそうとは限りません。雇わなくても、継続の関係は成り立ちます。

毎月お伺いする。季節ごとにお伺いする。人を招くたびにお声がけいただく。そうした形でも、シェフの側は「あの家の食卓」を継続して預かることになります。呼ぶ側からすれば、それは十分に専属です。

プライベートシェフ ― 二つをまとめて指す総称

プライベートシェフは、この二つをまとめて指す言葉として使われます。

もともとは、レストランではなく個人のために料理をする人という意味合いの言葉です。そのため単発でも継続でも、どちらにも当てはまります。三つの中でいちばん広く、いちばん曖昧な呼び名です。

つまり、こう整理できます。

  • 出張シェフ:一回ごとにお呼びする形
  • 専属シェフ:継続してお付き合いする形
  • プライベートシェフ:その両方を含む総称

三つは並列の選択肢ではありません。大きな傘がひとつあり、その下に単発と継続があるという構造です。

なぜ日本では、呼び名が混ざるのか

鍋の湯に、手でスパゲッティを入れているところ
呼び名が変わっても、鍋の前ですることは同じです。

三つの言葉が整理されないまま流通しているのには、背景があります。

ひとつは、日本にこの職能を定義する業界団体がないことです。調理師免許は料理人であることを示しますが、「専属かどうか」は資格ではありません。名乗り方は、それぞれの事業者に任されています。

もうひとつは、言葉の輸入のされ方です。英語圏には private chef と personal chef という区別があります。住み込みに近い形と、通いで複数の家庭を担当する形とを、別の言葉で呼び分けるものです。この使い分けが日本語に入ってくるとき、どちらも「プライベートシェフ」に溶けました。

結果として、同じサービスが三つの名前で売られています。どれが正しいかを調べても、答えは出てきません。

ですから、言葉から入るのをやめることをおすすめします。呼び名ではなく、ご自身の使い方から逆算する。一度きりなのか、続いていきそうなのか。決めるべきはそこだけです。

料金の考え方は、単発と継続で別物です

呼び名の話が実務に効いてくるのは、料金を尋ねるときです。単発と継続では、金額の出し方そのものが違います。

単発は、一回いくらで確定します

Na Team Lab の出張料理は、次の形でご案内しています。

  • 着席コース:6〜16名さま/お一人 15,000円〜
  • 着席コース+ワインペアリング:6〜16名さま/お一人 22,000円〜
  • 1回のご依頼につき、最低 90,000円〜

表示価格には、税・サービス料・出張費がすべて含まれます。 当日に別の項目が加わることはありません。

継続は、金額表ではなくヒアリングから始まります

継続のご相談になると、私たちは金額表をお出ししません。

理由は単純で、求められているものが、お客様ごとに違いすぎるからです。毎月ご友人を招く方と、四半期に一度ご家族で集まる方と、来客のたびにお声がけくださる方では、必要な設計がまったく異なります。

ですから継続をご希望の場合は、まず何を求めていらっしゃるかをお伺いします。どのくらいの頻度で、どんな顔ぶれで、どんな夜にしたいのか。それを聞いたうえで、こちらから形をご提案する。そういう順番になります。

定額のプランや契約期間をあらかじめ用意していないのは、不親切に見えるかもしれません。ただ、聞く前に値段を決めてしまうと、その値段に合わせて中身を削ることになります。私たちは、その順序を取りません。

毎月伺うお客様から、教わったこと

ここからは、私自身の話をさせてください。

Na Team Lab には、毎月ご依頼くださるお客様が何組かいらっしゃいます。契約書を交わして始まった関係ではありません。一度お伺いして、また呼んでいただいて、いつのまにか毎月になっていたという形です。

継続の強みは、臨機応変さです

続けてお付き合いするようになって、いちばん変わったのは融通の利き方でした。

わかりやすいのは人数です。単発のご依頼では、6名さまからという下限をお願いしています。器も食材も人も動かす以上、そこは動かしにくい線です。

けれど継続のお客様には、回ごとの人数の増減を、ある程度お受けしています。 今月は四名になった。来月は急に十名になりそうだ。そうしたご連絡をいただいても、こちらで吸収します。

これができるのは、その家の台所を知っているからです。どの棚に何が入っているか、火口はいくつか、皿を並べる動線はどうなっているか。一度目には確かめながらやっていたことが、三度目には前提になります。 そのぶんの余白を、人数の振れ幅に回せる。

継続の価値は、割引ではありません。同じシェフが同じ台所を知っていることそのものです。

単発から始まって、続きになる

これまでの傾向を申し上げると、継続に至る道筋はほぼ一本です。

単発でご依頼をいただき、それがリピートになり、やがて継続になる。

最初から「専属でお願いしたい」とおっしゃる方は、多くありません。多くの方は、記念日や来客のためにまず一度お呼びになります。そこで台所の様子や、こちらの仕事の仕方をご覧になって、二度目のご連絡をくださる。

もちろん、最初から継続を前提にご相談いただくことも可能です。ただ私は、一度お会いしてから決めていただくほうが、お互いにとって確かだと考えています。料理は相性の仕事です。文章では確かめられないことが、一夜あればわかります。

どちらを選べばよいか

整理すると、判断の分かれ目はひとつです。その日のためか、これからのためか。

単発が向いているのは、次のような場合です。

  • 記念日や誕生日など、その一夜そのものが目的のとき
  • 両家の顔合わせのように、一度きりの席を整えたいとき
  • 大切な会食で、その日だけ確実に整えたいとき

継続が向いているのは、次のような場合です。

  • 定期的に人を招く習慣がすでにあるとき
  • 毎回のメニュー設計を、任せてしまいたいとき
  • 人数や日程が読みきれず、融通の利く相手が必要なとき

まとめ

専属シェフ、プライベートシェフ、出張シェフ。三つの呼び名について、要点を整理します。

  • 違いは料理の中身ではなく、契約のかたちです。一回ごとか、続いていくか。それだけが分かれ目です
  • 専属シェフは継続、出張シェフは単発、プライベートシェフは両方を含む総称という構造になっています
  • 日本にはこの三つを区別する業界定義がありません。 呼び名から入っても答えは出ないため、ご自身の使い方から逆算してください
  • 雇用契約を結ばなくても、継続の関係は成り立ちます。 毎月お伺いする形でも、その家にとっては専属です
  • 単発は一回90,000円〜、お一人15,000円〜(6〜16名さま・税・サービス料・出張費込)。継続はヒアリングのうえでご提案する形になります
  • 継続の価値は割引ではなく、同じシェフが同じ台所を知っていることにあります

呼び名を決めてからご相談いただく必要はありません。どんな夜にしたいかをお聞かせいただければ、それが単発の形か、続いていく形かは、こちらで整理してご提案します。

Na Team Lab の出張料理の詳細や、継続でのご相談は、公式LINEにてご案内しています。

よくある質問

専属シェフとプライベートシェフは、どう違うのですか?

専属シェフは特定のご家庭や企業と継続してお付き合いする料理人を指し、プライベートシェフはその総称として使われることが多い言葉です。日本には業界としての定義がなく、同じ意味で使われる場合もあります。

個人で専属シェフを雇うことはできますか?

雇用契約を結ばなくても、継続してご依頼いただく形で同じ関係を築くことができます。Na Team Labでは、単発のご依頼を重ねるうちに継続へ移られる方が多く、最初から継続を前提としたご相談も承っています。

継続してお願いする場合、料金はどうなりますか?

単発のご依頼は1回90,000円〜、コースはお一人15,000円〜(6〜16名さま・税・サービス料・出張費込)です。継続の場合は、求められる内容をお伺いしたうえでご提案しますので、別途ご相談ください。

川原壯太(Na Team Lab シェフ)
AUTHOR 川原 壯太 Na Team Lab シェフ

恵比寿のレストランを拠点に、年間200件を超える出張料理・会食を手がける。5味のバランスやペアリングなど「9つの原則」に基づいて食卓を設計し、料理教室・ワイン会も主宰。

Instagram @nateam.kawahara


まず一度、単発で試してください。

継続してお付き合いするかどうかは、一度お迎えいただいてから決めていただくのがいちばん確実です。単発のご依頼は1回90,000円〜、コースはお一人15,000円〜(6〜16名さま・税・サービス料・出張費込)。器もグラスもカトラリーも携えて伺い、片付けまで引き受けます。継続をご検討の場合は、求められる内容を伺ったうえでご提案します。

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