「出張シェフを頼みたい」。そう考えて検索をはじめた方から、同じような戸惑いを聞くことがあります。
あるサービスには「5〜10品を作り置きしてお届けします」と書いている。別のサービスには「当日、目の前でコースを仕立てます」と書いている。どちらも出張シェフを名乗っているのに、書かれている中身がまるで違う。比べようにも、比べる軸が見つからない。
この戸惑いには、はっきりした理由があります。出張シェフという一語が、性格の異なる二つの仕事を同時に指しているからです。この記事では、その二つを分けて見るための地図をお渡しします。
結論:出張シェフには「作り置き型」と「コース型」の二つがあり、まったく別のサービスです。 作り置き型は、冷めた状態や再加熱したあとにおいしくなるよう設計し、日常の食卓を軽くします。 コース型は、当日その場で火入れと仕上げを行い、お出しした瞬間を味のピークに置きます。 違いは技術の優劣ではなく、おいしさのピークをどこに置くかという設計思想です。 Na Team Lab では両方をご用意しています。目的から選んでいただければ、迷うことはありません。
「出張シェフ」という一語が二つの仕事を指しています
ひとつは、作り置き型です。シェフがご家庭の日常の料理をまとめて作り、保存できる形でお届けする。数日間の食事をあらかじめ用意しておく仕事です。家事代行や出張家庭料理と呼ばれることもあります。
もうひとつは、コース型です。約束した日時にシェフが伺い、その場で火を入れ、一皿ずつ仕上げてお出しする。出張料理やケータリングと呼ばれる領域です。
この二つは、同じ「料理を作る」という行為でありながら、目的も、料理の性格も、料金の組み立て方も違います。読者の方が混乱するのは当然で、混乱の原因は読み手の側にはありません。言葉の側にあります。
Na Team Lab では、この両方をご用意しています。ですから私たちは、どちらかをおすすめする立場にはありません。申し上げられるのは、目的が違えば選ぶ型も変わる、ということだけです。
作り置き型 ― 日常の食卓を少し軽くする仕事

作り置き型で作るのは、ご指定のお料理、または普段そのご家族が召し上がっているようなお料理です。
実際にいただくご相談で多いのは、次のような形です。
- 「これを作ってほしい」という、具体的なメニューのご指定
- 「冷蔵庫に余っている食材で作ってほしい」というご相談
- 旬の食材でお任せ、あるいはご予算の範囲内でご指定
一回につき5〜10品をお作りします。主菜・副菜・常備菜のバランスで組み立て、真空パックやお弁当箱でお届けする形です。その日のうちに召し上がらない分は、冷蔵または冷凍で保存していただけます。ご利用の頻度は、月1回・月2回・週1回・週2回の定期プランからお選びいただけます。
ここで、ひとつ正直に申し上げておきたいことがあります。作り置きだと、どうしても家庭料理に近くなります。
これは技術を出し惜しみしているわけではありません。冷めた状態、あるいは温め直したあとにおいしいことが前提になるため、選べる料理も、組み立て方も自然と決まってくるのです。逆に言えば、家庭の食卓に無理なく収まることが、この型の目指すところです。
日常を華やかにするのではなく、日常を少し軽くする。 作り置き型の役割は、そこにあります。
コース型 ― その日を設える仕事
コース型は、当日、目の前で火入れと仕上げを行います。
この一点が、料理の質を決めています。レストランと同じクオリティが成立するのは、シェフがその場にいて、食べる方が席に着いているタイミングに合わせて仕上げているからです。器もグラスもカトラリーも持参し、片付けまで引き受けます。ご自宅の食卓に、レストランと同じ形式をそのまま置く形とお考えください。
Na Team Lab の出張料理は、6〜16名さまの着席コースが基本です。17名さまを超えると、一皿ずつの着席コースは物理的に成立しにくくなるため、ビュッフェ形式でご提案しています。大皿でお出しし、現地で仕上げと盛り付けを行う形です。
対応エリアは基本的に東京都内で、都外や遠方も別途ご相談に応じています。ご相談の目安は2週間前までです。アレルギーや苦手な食材は、ご相談時にお伝えいただければ、最大限の配慮で組み立てます。
これまでに招かれた場所は、ワイン好きのお客様のご自宅、不動産会社のショールーム、会員制バー、タワーレジデンスのパーティールームなど、さまざまです。どの場所でも、レストランと同じ9つの原則で料理を組み立てています。場所が変わっても、哲学は変わりません。
二つを分けているのは「おいしさのピーク」をどこに置くか
ここからは、私自身がこの二つをどう考えているかをお話しします。
料理には、いちばんおいしい瞬間があります。私はそれを「ピーク」と呼んでいます。作り置き型とコース型の違いは、このピークをどこに置いて設計するか、その一点に集約されます。
作り置きは、冷めておいしいこと。再加熱を前提に作ること。
お届けした料理を、ご家族がそれぞれの時間に温め直して口に運ぶ。その瞬間がピークになるように組み立てます。作った直後がいちばんおいしい料理は、この型には向きません。時間が経つこと、いちど冷えること、もういちど温まること。その過程を織り込んだうえで、おいしさが立ち上がるように設計します。
出張料理は、その瞬間にいちばんおいしい状態でお出しすること。
皿をテーブルに置いた、まさにその瞬間をピークに置きます。火から下ろすタイミング、盛り付けにかける時間、席までの数歩。すべてが逆算されています。だからシェフは当日その場にいる必要があるのです。
こう並べると、優劣の話に聞こえるかもしれません。私はそうは考えていません。ピークを後ろに置く設計が、ピークを手前に置く設計より易しい、ということはないからです。
冷めてからおいしい料理を作るには、冷めることを知っていなければなりません。それは、その場で仕上げる技術とは別種の設計です。作り置きは、手を抜いた出張料理ではありません。別の仕事です。
どちらを選べばいいか ― 目的から逆算する
判断そのものは、実はとてもシンプルです。
作り置きをしてほしいというご依頼には作り置きを、コース料理を目の前で仕上げてほしいというご依頼には出張料理を。 私たちが実際にお受けするとき、これ以上の判断はしていません。ご相談の時点で、目的はたいていはっきりしています。
整理すると、次のようになります。
| 見る軸 | 作り置き型 | コース型 |
|---|---|---|
| 目的 | 日常の食卓を軽くする | その日を設える |
| 料理の性格 | 家庭料理に近い | レストランクオリティ |
| 味の設計 | 冷めて・温め直しておいしい | 出したその瞬間においしい |
| 食べる場面 | 後日、それぞれの時間に | 当日、卓を囲んで同時に |
| シェフの所在 | 当日は同席しない | 当日、その場にいる |
| 使い方 | 定期的にくり返す | 一夜のために呼ぶ |
もし迷われたら、ひとつだけ問いを立ててみてください。
その料理を、誰が、どのタイミングで口に運ぶか。
ご家族が、後日それぞれの時間に召し上がるのであれば、作り置き型が合っています。招いた方々が、その場で同時に召し上がるのであれば、コース型です。人数の多寡でも、ご予算でもありません。食べる瞬間がどこにあるかで決まります。
料金の考え方
料金の組み立ても、二つの型で異なります。
作り置き型(出張家庭料理)の場合は、次のとおりです。
- 人件費:1回あたり10,000円
- 材料代:ライト5,000円 / スタンダード10,000円
- 交通費:実費
- 目安:15,000円〜/回(+交通費)
初回に限り、人件費は0円です。材料代と交通費のみでお試しいただけます。対応エリアは東京・神奈川を中心とし、その他の地域もご相談に応じています。
コース型(出張料理)の場合は、次のとおりです。
- 着席コース:6〜16名さま/お一人 15,000円〜
- 着席コース+ワインペアリング:6〜16名さま/お一人 22,000円〜
- ビュッフェ形式:17名さま〜/お一人 8,000円〜
- 1回のご依頼につき、最低 90,000円〜
表示価格には、税・サービス料・出張費がすべて含まれます。 当日に別の項目が加わることはありません。この考え方については、出張シェフの料金は「いくら」かで詳しくお話ししています。
ここでひとつ、お願いがあります。この二つの単価を、並べて比べないでください。
片方は一回あたりの金額で、もう片方はお一人あたりの金額です。数字の単位が違うだけでなく、そもそも設計思想が違います。一方は日常を数日ぶん軽くするための費用であり、もう一方は一夜を設えるための費用です。比べるべきは金額ではなく、その日にどちらが必要かという一点です。
まとめ
出張シェフの二つの型について、要点を整理します。
- 出張シェフという一語は、作り置き型とコース型という二つの仕事を指しています。 検索して情報が噛み合わないのは、この二つが混ざっているためです
- 作り置き型は、ご指定のお料理や普段ご家族が召し上がるものを、1回につき5〜10品お作りします。 真空パックやお弁当箱でお届けし、月1回から週2回までの定期プランがあります
- コース型は、当日その場で火入れと仕上げを行います。 6〜16名さまの着席コースが基本で、17名さま以上はビュッフェ形式です
- 二つを分けているのは、おいしさのピークをどこに置くかという設計思想です。 作り置きは再加熱した瞬間を、コースは皿を置いた瞬間をピークに置きます
- 作り置きは、手を抜いた出張料理ではありません。 冷めることを織り込んで組み立てる、別種の設計が要る仕事です
- 迷ったときは、その料理を誰がどのタイミングで口に運ぶかを考えてください。 後日それぞれの時間になら作り置き型、その場で同時になら、コース型です
どちらを選べばよいか決めかねていらっしゃるなら、まずはその日の目的をお聞かせください。どなたが、どのタイミングで召し上がるのか。そこから、ふさわしい形を一緒に考えます。
Na Team Lab の出張料理・出張家庭料理の詳細やご相談は、公式LINEにてご案内しています。
よくある質問
出張シェフの「作り置き」と「出張料理」は何が違いますか?
作り置きは、後日召し上がることを前提に、冷めた状態や再加熱したあとにおいしくなるよう設計します。出張料理は当日その場で火入れと仕上げを行い、お出しした瞬間を味のピークに置きます。目的が違うため、料理の性格そのものが変わります。
作り置きでは、どんな料理を作ってもらえますか?
ご指定のメニュー、または普段ご家族が召し上がっているようなお料理を想定しています。「これを作ってほしい」というご要望や、「冷蔵庫に残っている食材で」といったご相談も承っています。1回につき5〜10品をお作りします。
作り置きの料金はいくらですか?
人件費10,000円に、材料代5,000円または10,000円と交通費の実費を加えた、1回15,000円〜が目安です。初回に限り人件費は無料で、材料代と交通費のみでお試しいただけます。月1回から週2回までの定期プランをご用意しています。
その日、どちらが必要かで選んでください。
後日それぞれの時間に召し上がるなら作り置き型、その場で同時に召し上がるならコース型です。コース型の出張料理は6〜16名さまの着席で、器もグラスもカトラリーも携えて伺い、片付けまで引き受けます。どちらか決めかねていらっしゃるなら、その日の目的だけお聞かせください。ふさわしい形を一緒に考えます。
