週末に予定がない。誘う相手を思い浮かべようとして、指が止まる。学生時代の友人は年に一度会うかどうかで、会っても話が続かない。同僚とは飲みに行くけれど、それは仕事の延長でしかない。

40代になって、ふとそう気づいた方に向けて、この記事を書いています。

先にお伝えしたいのは、これが人柄の問題ではないということです。40代で友達が減るのは、時間の使い方が変わった結果として起きます。時間の問題であるなら、時間の使い方を少し変えることで動かせます。

私は東京・恵比寿で八席のレストランを営みながら、毎月ワイン会を企画しています。その卓に着かれる方は、30〜40代が最も多い。この記事では、毎月人が集まる場を作っている側から見えていることを、順にお話しします。

SUMMARY

結論:40代で友達がいないと感じるのは珍しいことではなく、仕事と家庭で自分の時間が消えた結果です。 20代のように「同じ場所に長くいれば友人ができる」という仕組みが、この年代には残っていません。だからこそ、40代からの友達作りは場の選び方で決まります。 向いているのは、着席で食事があり、終わりの時間が決まっていて、一人での参加が普通の場です。月に一度、同じ顔ぶれに会える会であれば、家庭や仕事の予定とも折り合います。 連絡先の交換を前提にしない場のほうが、結果として続く関係が残ります。

関連する考え方は、ワイン会の流れ会の目的を見分ける視点でも紹介しています。

結論|40代で友達が減る背景には、自分の時間が減ることがあります

40代からの友達作りを考える前に、ひとつ確認しておきたいことがあります。

友達がいないと感じるのは、この年代では珍しいことではありません。理由は単純で、20代までの友人関係が「同じ場所に長くいること」で自動的にできていたからです。教室、部活、サークル、新入社員研修。同じ空間に週に何度も居合わせれば、関係は勝手に育ちます。

40代には、その仕組みが残っていません。職場では立場が上がり、若手と同じ距離では話せなくなります。家に帰れば家族の予定が先に入っています。自分の意思で予定を空けないかぎり、新しい人と繰り返し会う機会は生まれません。

つまり、40代の友達作りは受け身では起きないということです。人柄でも、話のうまさでもなく、構造の話です。構造の話であれば、対処のしかたも明確になります。同じ人に、繰り返し会える場を、ひとつだけ持つ。この記事の残りは、その場をどう選ぶかについてお話しします。

40代で友達が減っていく、3つの理由

料理とワインを囲むNa Team Labのテーブル
記事のテーマを、Na Team Labの実際の料理とワインから考えます。

自分の時間が消えるといっても、消え方には型があります。多くの方に共通するのは、次の3つです。

転職と、役職が変えた人間関係

30代後半から40代にかけて、転職や異動を経験する方は少なくありません。前の職場で毎日話していた相手とは、いなくなった翌月から連絡が減ります。

社内に残った場合も、事情は似ています。役職が上がると、評価する側と評価される側という線が引かれ、愚痴を言い合える相手が社内から静かに消えていきます。仕事上の関係は濃いのに、仕事を離れた関係が薄い。この状態が、40代にはよく起こります。

子育てと介護が、夜の時間を先に埋める

子どもの送り迎え、習い事、受験。あるいは親の通院の付き添い。夜と週末の時間は、自分の予定を立てる前にすでに埋まっています。

保育園や学校を通じた付き合いはできますが、多くは子どもを介した関係です。学年が変われば、会う理由もなくなります。役割としての人付き合いは、役割が終わると一緒に終わるという性質を持っています。

引っ越しで、生活圏そのものが変わる

住宅の購入や転勤で生活圏が変わると、それまで近いから会えていた相手とは会えなくなります。片道1時間の距離は、40代の体力と時間の中では小さくない負担です。

ここに、もうひとつの変化が重なります。学生時代の友人と、話が合わなくなる。独身と既婚、子どもの有無、働き方、住む場所。20年のあいだに前提が分かれると、共通の話題は思い出だけになります。それ自体は温かい関係ですが、日常を支える関係とは別のものです。

「友達がいない」ことの、何が問題なのか

ここで一度、この状態をどう捉えるかを整理しておきます。煽るつもりはありません。事実を短く置くだけにします。

内閣府の「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和6年 人々のつながりに関する基礎調査)」では、孤独感が「しばしばある・常にある」と答えた方が4.3%、「時々ある」が15.4%、「たまにある」が19.6%でした。合わせると、およそ4割の方が何らかの頻度で孤独感を感じていることになります。令和5年の同じ調査では、男性の30代・40代で「しばしばある・常にある」の割合が高いことも報告されています。

もうひとつ。社会的なつながりと寿命の関係を調べた大規模なメタ分析(Holt-Lunstad ら、PLoS Medicine、2010年)では、148の研究・30万人以上のデータから、つながりが強い人ほど生存率が高いという傾向が示されています。

脅しとして受け取る必要はありません。読み取っていただきたいのは、同じ状態にある方が相当数いるということ。そして、人とのつながりが趣味や娯楽と同じ棚ではなく、健康と同じ棚に置かれるものだということです。

運動や食事の習慣を整えるのと同じ感覚で、人と会う場をひとつ持つ。40代の友達作りは、そのくらいの温度でちょうどよいと考えています。

40代の友達作りが、20代と違う3つの点

同じ友達作りでも、20代とは条件がまるで違います。ここを取り違えると、合わない場所を選んでしまいます。

20代40代
時間夜も週末も空いている家庭と仕事で先に埋まっている
お金少ない。安さで場所を選ぶ質で選べる。回数は減る
体力深夜まで続けられる21時台で切り上げたい
求めるもの数と勢い。大勢と知り合う少数と深く。話が合うこと

表にすると、方向が逆であることがはっきりします。20代の友達作りは量の戦略でした。たくさんの場に顔を出し、そのうち何人かと合えばいい。

40代はそれができません。出られる回数が限られているからです。一回あたりの精度を上げるしかない。月に何度も出かけられないのであれば、月に一度の場所を慎重に選ぶ。量から質へ、選び方を切り替える時期に来ているとも言えます。

この年代に向く場の、4つの特徴

では、どんな場を選べばよいのか。毎月会を企画してきた中で、40代の方が無理なく話せているのは、次の4つを満たす場です。

ひとつめは、着席であること。席が決まっていると、隣の方と話す以外の選択肢がありません。逆説的ですが、この逃げ場のなさが助けになります。立ったままの場では、話しかける相手を自分で選び続けることになり、40代には思いのほか消耗します。

ふたつめは、食事があること。手元に皿とグラスがあると、会話が途切れても不自然になりません。話題も目の前にあります。この料理は何か、この一杯はどこのものか。共通の対象があるだけで、初対面の距離は縮みます。

みっつめは、終わりの時間が決まっていること。何時に終わるか分かっていれば、参加を決めやすく、家族にも説明ができます。終わりが見えている場のほうが、その時間内で話そうという力も働きます。

よっつめは、一人参加が普通であること。ここが最も大切です。二人組が中心の場に一人で行くと、輪の外に立つ時間が生まれます。反対に、参加者の多くが一人で来ている場では、一人であることが目立ちません。主催者が一人参加を前提に設計しているかどうかを、案内文から読み取ってください。自己紹介の時間があるか。席を主催側が決めているか。この2点が書かれていれば、放っておかれることはまずありません。

反対に、40代に向かない場の特徴

同じ基準を裏返すと、避けたほうがよい場も見えてきます。

  • 立ったままで、人数が多く、出入りが自由な場。一言も話さないまま終えられてしまう構造です
  • 年齢層が大きく下の場。話は合いますが、生活の前提が違うため、次に会う理由が生まれにくくなります
  • 連絡先の交換が前提になっている場。交換するかどうかの判断が、その場の目的を上書きしてしまいます
  • 何を目的にした集まりなのか、案内文から読み取れない場

誤解のないように付け加えます。立食形式そのものが合わないわけではありません。すでに何度か顔を合わせた方がいる場なら、立食のほうが多くの人と話せます。人数が多いぶん、出会う数も増えます。初めて一人で行く一回目には向かない、という話です。

連絡先も同じです。交換すること自体は自然な流れですが、それが会の目的として前面に出ている場では、話が合うかどうかより、つながることが先に来ます。40代が求めているのは、おそらくそちらではありません。

家庭との折り合いの、つけ方

家庭のある方にとって、外出そのものが交渉ごとになります。ここは現実的にお話しします。

鍵になるのは、予定が読めることです。月に一度と決まっていて、19:00に始まり21:30に終わる。今月の第何週の夜に、二時間半。そう言えるだけで、家族には伝えやすくなります。終わりの時刻が読めない集まりは、回数以上に負担として記憶されます。

私たちの会が二次会を主催しないのも、同じ理由からです。二次会は各自のご判断にお任せしていますが、会としては21:30で終わります。翌朝に響かず、家庭の予定にも食い込まない。40代が続けられる形は、この範囲にあると考えています。

もうひとつ。回数を増やさないことをおすすめします。週に一度どこかへ出かけるより、月に一度同じ場所へ戻るほうが、この年代には合っています。

30〜40代が最も多い、月に一度の会

ここまでの条件を満たす場のひとつとして、私たちが恵比寿で開いている会をご紹介します。

Na Team Lab は、東京・恵比寿にある一日ひと組・八席のプライベートレストランです。そこで毎月、テーマを変えてワイン会を企画しています。回ごとに案内ページを用意し、その夜のコンセプトを先に公開しています。

参加者について、実際のところをお伝えします。

  • 年齢層は30〜40代が最も多い。60代の方もいらして、幅は広めです
  • 男女比はおおむね半々
  • これまでの会で、7割近くがおひとりでのご参加
  • 開催は19:00〜21:30のパターンが多く、平日の回も土日の回もあります

一人でお越しになる方が多いのは、偶然ではありません。一人で来ていただくことを前提に、会を組んでいます。自己紹介の時間を設け、お互いの話が始まりやすい流れを作る。八席という規模を続けているのも、卓越しに声が届く距離を保つためです。人数が増えるほど、この距離は失われます。

会の目的も、はっきりさせておきます。この会は、ワインを楽しみたい方のための会です。恋愛や出会いを目的とした募集はしていません。婚姻状況で参加を分けてもいません。参加者同士のつながりが広がること自体は良いことだと考えていますが、会として仲介や紹介をすることはなく、連絡先の交換はそれぞれのご判断にお任せしています。

もうひとつ。不動産、ネットワークビジネス、保険など、明らかに営業を目的としたご参加はお断りしています。安心して卓に着いていただくために、ここは線を引いています。

形式は2つあります。コース形式は、ペアリングを中心にした少人数の会で、コースと共に6杯をお出しします。立食形式は人数が多く、ワインも10〜15本と多めになり、料理はビュッフェ形式です。初めて一人でお越しになるなら、コース形式のほうが話が続きやすいと思います。

服装にドレスコードはありません。少し綺麗目の装いの方が多いですが、気負わずにお越しください。

開催中のテーマと日程は、ワイン会のページでご案内しています。

  • ワイン会ページ:https://nateamlab.jp/wine-club/
  • 公式LINE:https://lin.ee/OsQpplY(ご質問・ご相談はこちらから)

まとめ

40代からの友達作りについて、この記事でお伝えしたことを整理します。

  • 40代で友達がいないのは普通のこと。人柄ではなく、時間の構造が変わった結果です
  • 減る理由は3つ。転職と役職、子育てと介護、引っ越しによる生活圏の変化
  • 孤独感を持つ方はおよそ4割。つながりは、娯楽ではなく健康と同じ棚のものです
  • 20代とは戦略が逆。量ではなく、一回あたりの精度で選ぶ年代です
  • 向く場の条件は4つ。着席、食事がある、終わりの時間が決まっている、一人参加が普通
  • 月に一度でよい。同じ場所に三回戻れば、話の続きができるようになります

友達を作ろうと意気込む必要はありません。同じ卓に、月に一度戻る。それだけで、関係は静かに積み上がっていきます。

この記事で参照した調査

  • 内閣府「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和6年 人々のつながりに関する基礎調査)」https://www.cao.go.jp/kodoku_koritsu/torikumi/zenkokuchousa/r6.html
  • 内閣官房「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和5年)調査結果のポイント」https://www.cao.go.jp/kodoku_koritsu/torikumi/zenkokuchousa/r5/pdf/tyosakekka_point.pdf
  • Holt-Lunstad J, Smith TB, Layton JB. Social Relationships and Mortality Risk: A Meta-analytic Review. PLoS Medicine, 2010. https://journals.plos.org/plosmedicine/article?id=10.1371/journal.pmed.1000316

よくある質問

40代の友達作りは、独身と既婚で行く場所を変えたほうがよいですか?

婚姻状況で分ける必要はありません。分けるべきなのは、何を目的にした会かという点です。ワインや料理のように関心を軸にした会であれば、独身の方も家庭のある方も同じ卓に着いています。目的が明示されている会をお選びください。

女性が一人で参加しても浮きませんか?

男女比が偏っておらず、一人参加を前提に設計されている会であれば浮きません。私たちの会でも、これまで7割近くの方がおひとりでお越しです。案内文に自己紹介の時間や席の決め方が書かれているかを、目安にしてみてください。

何回くらい会えば友達と呼べる関係になりますか?

回数そのものより、同じ場所で繰り返し会えるかどうかです。月に一度の会であれば、三回目あたりから前回の話の続きが始まります。一度きりの集まりを何か所も回るより、ひとつの場に戻るほうが近道だと考えています。

Na Team Lab オーナーシェフ 川原壯太
ABOUT NA TEAM LAB Na Team Lab|株式会社Na Team

東京・恵比寿を拠点に、出張料理・店舗貸切・料理教室・ワイン会を展開。料理、ワイン、空間、その日の時間までを設計し、食を通して心に残る体験をつくっています。

執筆:(オーナーシェフ)。年間200件を超える出張料理・会食の経験をもとに、現場の視点をお伝えします。

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