生後100日が近づいて、お食い初めの日取りを決めようとしたところで、手が止まってはいないでしょうか。

儀式そのものは、調べればすぐに出てきます。鯛を焼き、一汁三菜を並べ、歯固めの石を用意して、食べさせる真似をする。どのページにも、ほぼ同じことが書かれています。

止まるのは、その手前と、その先です。誰が食べさせる役をやるのか。費用は誰が持つのか。祖父母には、どんな服装で来ていただくのか。 そして、儀式が終わったあと、集まった大人は何を食べるのか。

私は出張料理人として、年間200件を超える食卓に伺ってきました。ご家族の節目の席にお招きいただくことも少なくありません。この記事では、お食い初めを自宅で開くときに決めることを、役・費用・服装・食事の順に整理します。儀式の手順は、表で十行にまとめました。

SUMMARY

結論:お食い初めは、生後100日前後に自宅で行う形が最も一般的です。 お食い初め(百日祝い)は、一生食べるものに困らないようにと願う儀式で、一汁三菜の祝い膳と歯固めの石を用意します。儀式そのものは、招いた中で最年長の同性の祖父母が「養い親」として食べさせる真似をする形で、十分ほどで終わります。費用は主催する両親が持ち、祖父母はお祝いを包むのが一般的とされています。 当日の課題は、儀式ではありません。集まった大人6〜8名の食事を、どう用意するかにあります。作る、取り寄せる、料理人に来てもらう。方法は三つです。

赤ちゃんの生活リズムに合わせる考え方は初節句の食事会で、三世代が集まる席の整え方は喜寿祝いの食卓でも紹介しています。

お食い初めとは ― 生後百日、一汁三菜、歯固めの石

お食い初めは、赤ちゃんが一生、食べるものに困らないようにと願う儀式です。百日祝い(ももかいわい)、箸初め、真魚初めなど、地域によってさまざまな呼び名があります。

いつ行うのか

生後100日前後に行うのが一般的とされています。地域によっては110日目、120日目に行う習わしもあり、日にちの取り方には幅があります。

100日ちょうどにこだわる必要はありません。祖父母の予定に合わせて近い週末に移すご家庭も多く、母体の回復を優先して少し遅らせることも、よくある選び方です。

何を用意するのか

祝い膳の骨格は、一汁三菜です。

  • 鯛(尾頭付きの焼き魚)
  • 赤飯
  • 蛤の吸い物
  • 煮物
  • 香の物、または酢の物

これに、歯固めの石を添えます。丈夫な歯が生えますように、という願いを込めた小石で、お宮参りの神社で授かる、境内の石をお借りして後日お返しする、川原で拾って煮沸するなど、用意の仕方はいくつかあります。

なぜ自宅で行う形が多いのか

お食い初めを自宅で行うご家庭が多いのは、生後100日という時期そのものに理由があります。

首がすわるかどうかという赤ちゃんを連れて外に出るのは、それだけで一仕事です。授乳の間隔、おむつ、ベビーカーの動線。移動が短ければ短いほど、当日の負担は軽くなります。加えて、儀式は写真に残す前提の行事です。自宅であれば、明るい時間を選んで、時計を気にせず整えられます。

もちろん、お食い初めをレストランや料亭で行う選び方もあります。その場合は、個室があるか、祝い膳に対応しているか、ベビーベッドや授乳の場所があるか、撮影をしてよいかの四点を、予約の前に確かめておくと安心です。

お食い初めは誰がやるのか ― 養い親という役

お食い初め後に家族で囲む料理の皿
儀式のあとも、両親と祖父母がそろって食卓に座れる段取りを整えます。

お食い初めで「誰がやる」と検索されるとき、多くの方が探しているのは、食べさせる真似をする役のことです。

養い親とは

この役を担う人を、養い親(やしないおや)と呼びます。その場に集まった中で、赤ちゃんと同性の最年長者が務めるのが習わしとされています。男の子であれば祖父、女の子であれば祖母にあたります。

赤ちゃんを膝に抱き、箸を持ち、料理を口元へ運ぶ真似をする。長寿にあやかるという意味が込められた役です。

現代の実際

とはいえ、両家の祖父母が揃う席で「最年長は誰か」を決めるのは、少し気を使う場面でもあります。父方と母方で年齢が近いこともありますし、遠方でどちらかしか来られないこともあります。

厳密に年齢順で決めなければならない、という決まりはありません。両家に一度ずつ役を回す、祖父母が辞退された場合は父母が担う。実際には、そうした形も珍しくありません。大切なのは作法の正確さより、その場の誰もが自然に赤ちゃんに触れられることだと考えています。

役を先に決めておくと、写真が変わります

ご家族の集まりに伺っていて感じるのは、役が決まっていない席は、写真の構図が決まらないということです。

誰が抱くのかが決まっていないと、皆が少しずつ譲り合います。その結果、赤ちゃんは最後まで母親の腕の中にいて、母親だけが一度も座れない。よくある光景です。

食べさせる役、抱く役、撮る役。この三つを前日までに決めておくだけで、当日の動きはずいぶん軽くなります。

お食い初めは、誰が払うのか

かつては、母方のご実家が祝い膳を整えるという慣習もありました。現在は、赤ちゃんの両親が主催者として費用を持つのが一般的とされています。祖父母を「招く」形をとる以上、招いた側が持つ、という考え方です。

祖父母の側は、お祝いを包むという形で参加されることが多いようです。

費用の内訳と、誰が持つのが一般的か

項目内容誰が持つのが一般的か
祝い膳鯛・赤飯・吸い物・煮物・香の物主催する両親
大人の食事集まった6〜8名分の食事主催する両親
歯固めの石神社で授かる、または川原で拾う主催する両親
赤ちゃんの祝い着色付きの祝い着、袴ロンパースなど祖父母から贈られることもある
記念撮影出張撮影、写真館での撮影主催する両親、または祖父母からのお祝いで
お祝い現金・品物祖父母から両親へ

金額の目安については、地域やご家庭によって幅が大きく、私たちから相場を申し上げることはいたしません。 決め方の順序だけをお伝えしています。

なお、祖父母の側から「食事はこちらで持たせてほしい」と申し出があることもあります。その場合も、当日に伝票をめぐって譲り合いが始まらないよう、前もって決めておくほうが、席は軽くなります。

お食い初めの服装 ― 祖父母・両親・赤ちゃん

お食い初めの服装で最も検索されているのは、祖父母の服装です。招かれる側として、どこまで整えるべきか迷われるのだと思います。

立場と会場でみる服装の目安

立場自宅で行う場合レストラン・料亭で行う場合
赤ちゃん白いセレモニードレス、色付きの祝い着、袴ロンパース同じ。汚れに備えて着替えを一枚
両親襟のあるシャツ、きれいめのワンピースジャケット、セットアップ、和装
祖父母ジャケット、ブラウスとスカート、和装は控えめにスーツ、ワンピース、和装

原則は、二つだけです

服装の細かい正解は、地域やご家庭によって異なります。迷ったときは、次の二つを軸にすると決まりやすくなります。

  • 赤ちゃんより格を上げない。 主役は赤ちゃんです
  • 両家で格を揃える。 片方が和装、片方が普段着では、写真に差が出ます

赤ちゃんは、生後100日の節目に、白い産着から色付きの衣装に替える「色直し式」という習わしにならって装うことがあります。ここが最も格の高い装いになるよう、まわりを組み立てると考えると、迷いが減ります。

自宅の場合に、もうひとつ加わる条件

自宅でお食い初めを行う場合、服装にはもう一つ実務的な条件が加わります。その服で、赤ちゃんの世話ができるかです。

抱っこをすれば肩に吐き戻しがつくこともありますし、授乳やおむつ替えで何度も立つことになります。締めつけの強い装いは、当日の負担になります。

祖父母への案内では、「平服でお越しください」とだけ伝えると、両家で解釈が分かれます。「私たちはこういう服装で迎えます」と具体的に伝えておくほうが、温度差は起きません。

当日の手順を、十行に畳む

お食い初めの作法は、細かく書き出せばいくらでも長くなります。ただ、当日に必要な流れは十行に収まります。

順番すること
1祝い膳と歯固めの石を、赤ちゃんの前に並べる
2赤ちゃんを、養い親の膝に乗せる
3ご飯 → 吸い物 → ご飯 → 魚 → ご飯 → 吸い物 の順に、箸を口元へ運ぶ真似をする
43の流れを、三回くり返す
5箸の先を歯固めの石に触れさせる
6その箸を、赤ちゃんの歯ぐきにそっと当てる
7丈夫な歯が生えますようにと願う
8記念の写真を撮る
9借りた石は清めて、後日、神社へお返しする
10赤ちゃんを寝かせ、大人の食事に移る

ここまでで、およそ十分です。

作法は地域やご家庭によって違いがあります。ご実家に流儀があるようでしたら、先に伺っておくのがいちばん早い方法です。順番の細部を調べ続けるより、当日どなたも困らない形に落ち着かせることを優先して差し支えないと考えています。

料理を用意する三つの方法

ここから先が、お食い初めを自宅で開くときの本題です。

先に、はっきり分けておきたいことがあります。お食い初め膳は、赤ちゃんのための膳です。 一人分しかありません。集まった大人6〜8名が食べるものは、それとは別に用意することになります。

用意の方法は、三つあります。

方法費用手間大人の食事の質片付け
手作りする抑えられる前日の仕込みと当日の調理作り手の力量と、当日の余力しだいすべて残る
仕出し・宅配を取り寄せる中くらい受け取りと盛り付け冷めた状態が前提。時間が経つほど落ちる容器の処理と皿洗いが残る
料理人に来てもらう高い事前の打合せのみその場で仕立てるため、温度と火入れが保たれる残らない

どれが優れているという話ではありません。何を差し出して、何を受け取るかの違いです。

手作りする

最も費用を抑えられる方法です。鯛の焼き加減や赤飯の炊き上がりまで、自分の手で整えたいというお気持ちも、よくわかります。

ただし、生後100日の赤ちゃんを抱えながら、前日の仕込みと当日の調理を担うことになります。買い出し、盛り付け、そして祖父母が帰られたあとの洗い物まで含めて考えると、当日いちばん動くのは、いちばん休むべき人になりがちです。

仕出し・宅配を取り寄せる

お食い初め膳は、仕出しや通販で取り寄せることができます。鯛と歯固めの石までひと揃いになったものもあり、儀式の準備はこれでほぼ完結します。

注意したいのは、取り寄せて解決するのは赤ちゃんの膳までだという点です。大人の食事は、別に手配することになります。オードブルを追加で頼む方法もありますが、届いた時点から時間が経つほど、味も見栄えも落ちていきます。

料理人に来てもらう

三つ目が、料理人が自宅に来て、その場で仕立てる方法です。

費用はいちばんかかります。そのかわり、買い出しも調理も片付けも発生しません。大人の食事が、そのまま一夜のコースになります。祝い膳を象徴として一品置き、あとは祖父母が心から楽しめる料理で組むという考え方が取れるのも、この方法です。

お食い初めで本当に迷うのは、大人の食事です

ご家族の祝いの席にお招きいただくとき、私が打合せで最初に見ているのは、料理のことではありません。その家で、いつも台所に立っているのは誰かです。

それは、たいてい自然に伝わってきます。人数を数えてくださる方、アレルギーを把握されている方、私に連絡をくださる方。その方が、いつも準備を引き受けてこられた人です。

お食い初めの場合、その人は多くの場合、生後100日の赤ちゃんの母親です。

産後100日というのは、身体がまだ戻りきっていない時期です。夜はまとまって眠れず、日中も自分の時間はほとんどありません。その状態で、両家の祖父母を迎え、祝い膳を整え、大人6〜8名分の食事を出し、片付ける。行事の重さは、儀式そのものではなく、この部分に集中しています。

そして、台所に立った人は、席にいません。写真にも写りません。両家が集まった百日目の記録に、いちばん動いた人が写っていない。私は、それをもったいないことだと思っています。

私が考えているのは、その人を席に戻すことです。

Na Team Lab は、コースを「リズム」で組み立てます。軽いものから重いものへ、変化と起伏をつけて時間を進める設計です。ただし乳児のいる席では、この起伏を時計に合わせません。皿を出す間合いは、料理の都合ではなく、その日の赤ちゃんの都合で決めます。 眠っていれば遅らせ、機嫌がよければ続ける。私は、それを台所から見ています。

百日目の食卓に、料理人が来るという選び方

自宅でお食い初めを開くと決めたとき、残る課題は準備の重さだけです。ここを外す方法をお伝えします。

ご用意いただくものは、ありません

私たちが伺う場合、食材はすべて持参します。買い出しも、前日からの仕込みも必要ありません。当日はキッチンをお借りして、その場で仕立てます。

器・グラス・カトラリー・必要な調理道具も、すべて携えます。6名分、8名分の器が家庭の食器棚で足りないという問題は、起こりません。そして、片付けまで済ませて引き上げます。 祖父母が帰られたあとに、洗い物は残りません。

費用の考え方

Na Team Lab の出張料理の料金は、次のとおりです。

  • 着席コース:6〜16名さま/お一人 15,000円〜
  • 着席コース+ワインペアリング:6〜16名さま/お一人 22,000円
  • 1回のご依頼につき、最低 90,000円〜
  • 17名さま以上は、ビュッフェ形式でお一人 8,000円〜

表示価格には、税・サービス料・出張費がすべて含まれます。 当日に別の項目が加わることはありません。

お食い初めの席では、この人数条件がちょうど重なります。ご両親お二人と、両家の祖父母四名で、ちょうど6名さま。 そこに兄弟姉妹や近い親族が加わっても、多くの場合16名さまの枠に収まります。

ご相談をいただく目安は2週間前までです。対応エリアは基本的に東京都内で、都外や遠方も別途ご相談に応じています。アレルギーや苦手な食材は、事前の打合せで人数分すべて伺います。授乳や撮影、儀式の進行に合わせて、皿を出す間合いを調整いたします。

まとめ

お食い初めを自宅で開くために決めることを、整理します。

  • お食い初めは、生後100日前後に行う儀式です。 110日、120日とする地域もあり、日にちには幅があります
  • 食べさせる役は、最年長の同性の祖父母(養い親)が務めるとされています。 ただし現代では、両家で分け合う形も、父母が担う形も自然です
  • 費用は、主催する両親が持つのが一般的とされています。 祖父母はお祝いを包む形で参加されることが多いようです
  • 祖父母の服装は、赤ちゃんより格を上げず、両家で格を揃える。 この二つを軸にすると決まります
  • 儀式そのものは、十分ほどで終わります。 手順を調べ続けるより、当日どなたも困らない形にすることを優先して構いません
  • 本当の課題は、集まった大人6〜8名の食事です。 作る、取り寄せる、料理人に来てもらう。この三択が、当日の重さを決めます
  • 6名さまから、お一人15,000円〜。 税・サービス料・出張費込みで、金額は事前に確定します

お食い初めをどう整えるか決めかねていらっしゃるなら、まずはご家族の顔ぶれと、赤ちゃんのふだんの一日をお聞かせください。何時ごろに眠り、何時ごろに機嫌がよいのか。そこから、その日にふさわしい形を一緒に考えます。

Na Team Lab の出張料理の詳細や、ご相談は公式LINEにてご案内しています。

よくある質問

お食い初めの日にちは、生後100日ちょうどでなくてもよいですか?

生後100日前後が目安ですが、地域によっては110日や120日に行う習わしもあり、日にちには幅があります。祖父母の予定に合わせて近い週末に移すご家庭も多くあります。母体の回復と集まりやすさを優先して差し支えないとされています。

お食い初めの写真は、誰が撮るのがよいですか?

撮る人をあらかじめ一人決めておくことをおすすめします。決まっていないと、当日いちばん動いている親御さんが写真に残りません。台所に立つ人をつくらない段取りにしておくと、家族全員が写った一枚が残ります。

儀式の途中で赤ちゃんが寝てしまったら、どうすればよいですか?

眠ってしまっても、やり直す必要はありません。食べさせる真似は形式ですので、起きている短い時間に済ませ、あとは大人の食事に移って構いません。自宅であれば、時間の枠に追われずに待つことができます。

Na Team Lab オーナーシェフ 川原壯太
ABOUT NA TEAM LAB Na Team Lab|株式会社Na Team

東京・恵比寿を拠点に、出張料理・店舗貸切・料理教室・ワイン会を展開。料理、ワイン、空間、その日の時間までを設計し、食を通して心に残る体験をつくっています。

執筆:(オーナーシェフ)。年間200件を超える出張料理・会食の経験をもとに、現場の視点をお伝えします。

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ご家族のお祝いの前に、料理を確かめる体験ランチ。

お食い初めや記念日など、ご自宅での出張料理をご検討中の方へ。1〜8名様で料理とシェフの対応をご体験いただけます。1〜8名様 / お一人様15,000円(税込)・ドリンク込み / 約2時間・完全予約制。完全予約制・開始時間はご都合に合わせて調整。

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