立食パーティーに招かれて、会場の入口で一度立ち止まる。着席の会食なら席に着けば始まりますが、立食にはその合図がありません。皿はどう持つのか、どこに立つのか、料理はいつ取りに行くのか。所作のことが気になって、肝心の会話に身が入らない。

立食パーティーのマナーは、右手を空けておくことに尽きます。 皿とグラスを左手にまとめ、右手は食事と握手と名刺のために残しておく。この一点を守ると、残りの作法は自然とついてきます。

この記事では、皿とグラスの持ち方、料理を取る順番と量、荷物と立つ位置を整理します。そのうえで、料理を出す側から見た立食パーティーの実際と、主催される方のための設計の話までお伝えします。

SUMMARY

結論:立食パーティーのマナーは、右手を空けておくことに尽きます。 皿は手のひらに乗せて親指で縁を押さえ、グラスは脚を親指と人差し指で挟む。右利きの方なら、この二つを左手にまとめます。 料理は一度に2〜3品、多くても3〜5品まで。冷たいものから温かいものへ、軽いものから重いものへと取ると、皿の上で味が混ざりません。 荷物と上着はクロークへ預けてください。両手が自由になるだけで、立食パーティーの動きはずいぶん楽になります。

あわせて、立食パーティーの料理と会の進行を考えるもご覧ください。

押さえるのは、三つだけです

細かな所作をいくつも覚える必要はありません。次の三つで、当日はおおむね困りません。

1. 皿とグラスは、左手にまとめて持つ(右利きの場合)

2. 料理は一度に2〜3品、多くても3〜5品まで

3. 荷物と上着は、クロークへ預ける

三つはいずれも、両手の自由を確保するための作法です。立食の会で起きる困りごとは、ほとんどが「手が足りない」ことから生まれます。皿を持ったまま名刺を出せない。グラスを持ったまま握手ができない。取り分けようとして皿を傾けてしまう。

逆に言えば、手が空いていれば、多少の所作の揺れは問題になりません。順に見ていきます。

皿とグラスの持ち方

手でつまめるイクラの小さなタルトの実写写真
立食でも取りやすいひと口料理の一例。特定のパーティーの記録ではありません。

いちばん不安の多い部分から始めます。

皿は、手のひらに乗せる

皿は指先でつまむのではなく、手のひらに乗せます。 親指で縁を軽く押さえ、残りの4本の指で裏側を支えると安定します。指先で持つと手首に負担がかかり、長く持っていられません。

グラスは、脚を挟む

ワイングラスやシャンパングラスは、脚(ステム)を親指と人差し指で挟むように持ちます。 ボウルの部分を手で包むと、手の熱が中身に伝わります。白ワインや泡のように冷やして出すものは、温度が味の一部です。

もっとも、脚を持つ理由を知っていることと、そうしなければならないことは別の話です。この点は記事の最後でもう一度触れます。

二つを左手にまとめる

右利きの方であれば、皿とグラスを左手に重ねて持ち、右手を空けておくのが一般的です。皿を手のひらに乗せ、その皿の縁とグラスの脚を一緒に挟む持ち方ができると、片手で両方を支えられます。

慣れないうちは、無理に重ねなくて構いません。グラスを一度テーブルに置いて、料理を取ってから戻るほうが安全です。

料理を取る順番と、一度に取る量

料理の取り方には、量と順番の二つの軸があります。

量は、皿の4分の3まで

一度に取るのは2〜3品が目安とされ、多くても3〜5品までという説明もあります。数字に幅があるのは、料理の大きさによって変わるからです。実務的には、皿の面積の4分の3くらいまでにとどめると、持ったまま歩いても崩れません。

足りなければ、新しい皿で取りに戻れば済みます。一度に山盛りにする必要はありません。

順番は、冷たいものから温かいものへ

取る順番は、冷たい料理から温かい料理へ、味の軽いものから重いものへと進めるのが一般的です。これはコース料理の順序と同じ考え方です。

理由は単純で、皿の上で味が混ざらないようにするためです。冷製の前菜と煮込み料理を同じ皿に並べると、ソースが流れて互いの輪郭を消してしまいます。順に取って、皿を替えていけば、それぞれの料理が意図された味のまま届きます。

私たちが料理を並べるときも、この順序を前提に配置を考えています。手前から奥へ、あるいは左から右へ、取る順に並ぶように置く。料理台の並び自体が、順番の案内になっています。

荷物、立つ位置、会話の回り方

残りの三つを、短く整理します。

荷物と上着はクロークへ

大きな荷物と上着は、会場のクロークへ預けてください。 両手が自由になると、皿を持つ動作も名刺を出す動作も楽になります。手元に残すのは、小さなバッグひとつで足ります。

立つ位置は、料理台から少し離れる

料理を取ったら、料理台から離れて食べるようにしてください。これは作法としてというより、会場の動線の話です。人が集まる場所の前で立ち止まると、後ろに列ができます。

会話は、ひとつの輪に留まりすぎない

立食形式が選ばれるのは、席が固定されないからです。同じ方と長く話し続けるのも悪くはありませんが、席がない利点は、動けることにあります。ひと区切りついたら、別の輪へ移る。それが立食の設計に沿った過ごし方です。

料理を出す側から見た立食パーティー

ここからは、会場で料理を出している側の景色をお伝えします。上位の記事にはあまり書かれていない部分です。

料理台は、二か所に分けることがあります

人数が多く、料理に人が集中しそうな会では、料理台を二か所に分けて配置することがあります。一か所に固めると、そこだけに行列と滞留が生まれるからです。

ですので、会場に入ったとき、料理が置かれている場所を一度見渡してみてください。混んでいないほうの台に、同じ料理が並んでいることがあります。

料理は、途中で足されることがあります

品数を10品とした場合、出し方には二通りあります。最初から10品すべてを並べる形と、5品を出して、途中で残りを足していく形です。どちらを選ぶかは、会の性質と進行、人数によって変えています。

後者の会では、後半に出てくる皿があります。最初に全部取り切ってしまうと、そこに出会えません。一度は料理台へ戻ってみてください。

足りなくなることは、いちばん避けています

量については、少し余るくらいを目安に持参しています。「思ったより男性が増えてしまった」「よく食べる方が多かった」という会は実際にあり、予備を出し切ることもあります。

ですから、遠慮して控えていただく必要はありません。私たちが怖いのは余ることではなく、足りないことです。

主催された方は、たいてい食べていません

これは毎回のように目にする景色です。主催された方は、ほとんど食べられません。 挨拶をして、紹介をして、料理の残りを気にして、気づいたら会が終わっている。

ただ、私たちが聞いてきた限り、主催された方が望んでいるのは料理ではありません。その場で人と話すことです。だから私たちは、料理とドリンクが切れないようにする役割ごと預かります。補充と配膳をこちらで持てば、主催された方は会話に集中できます。

主催される方へ ― 作法に頼らない料理の出し方

ここまでは、招かれた側の話でした。もし、あなたが会を開く側であれば、考える順番はひとつ変わります。

ゲストに作法を求めるのではなく、作法が要らない料理を出すという考え方です。

名刺交換のある会では、手が塞がることが最大の障害になります。そこで私たちは、手で持てるフィンガーフードと、ひと口で食べきれる大きさに切った料理を軸に組み立てます。ナイフで切り分ける必要がなければ、片手で足ります。片手で足りれば、右手は名刺のために残ります。

品数の目安は、30名規模で10品程度です。ただし、これは出発点にすぎません。若い男性が多い会では炭水化物を厚めに、ワインを楽しむ会では量より質に寄せて組み替えます。固定のメニューは持たず、会ごとに設計し直すのが私たちのやり方です。

立食形式は、17名さまから承っています。お一人8,000円からを目安に、50名規模までお受けしています。器も道具も持参し、片付けまで済ませて引き上げますので、会場に残るものはありません。

そして、作法は求められたときにだけ渡すもの

最後に、ひとつだけお伝えしておきたいことがあります。

私は、お客様がグラスのボウルを握っていても、こちらから声をかけることはありません。作法を尋ねられたときには「こうすると味が変わりません」とお伝えします。けれども、求められていない注意はしないようにしています。

この記事に書いたことも、同じ性質のものです。覚えておくと少し楽になる、という程度の知識です。皿の持ち方を間違えたからといって、会が台無しになることはありません。会の値打ちは、その夜に誰と何を話したかで決まります。

まとめ

立食パーティーのマナーについて、要点を整理します。

  • 押さえるのは三つです。 皿とグラスを左手にまとめる、料理は一度に2〜3品から3〜5品まで、荷物と上着はクロークへ
  • 皿は手のひらに乗せ、親指で縁を押さえます。 グラスは脚を親指と人差し指で挟むと、手の熱が中身に伝わりません
  • 取る順番は、冷たいものから温かいものへ、軽いものから重いものへ。 皿の上で味が混ざらなくなります
  • 料理は途中で足されることがあります。 最初に取り切らず、一度は料理台へ戻ってみてください
  • 主催される方は、たいてい食べていません。 だから私たちは、補充と配膳の役割ごとお預かりしています
  • 会を開く側であれば、作法を求めるより、作法が要らない料理を出すほうが早く届きます

立食の会を開くご予定があれば、人数と会の趣旨だけお聞かせください。その会に合う品数と出し方を、こちらから組み立ててご提案します。

Na Team Lab のパーティ・ケータリングの詳細や、ご相談は公式LINEにてご案内しています。

よくある質問

立食パーティーで、お皿に取る料理は何品くらいが目安ですか?

一度に取るのは2〜3品、多くても3〜5品までが目安とされています。皿の4分の3くらいまでにとどめると、持ったまま歩いても崩れません。足りなければ、新しい皿で取りに戻れば済みます。

温かい料理を取り逃さないコツはありますか?

料理の出し方には、最初に全品を並べる形と、途中で補充していく形があります。後者の会では、後半に出てくる皿があります。最初に取り切らず、一度は料理台へ戻ってみてください。

主催する側として、ゲストが食べやすい料理はどんなものですか?

手で持てるフィンガーフードと、ひと口で食べきれる大きさに切った料理です。名刺交換のある会では、手が塞がることが最大の障害になります。切り分けの要らない形にしておくと、会話が止まりません。

Na Team Lab オーナーシェフ 川原壯太
ABOUT NA TEAM LAB Na Team Lab|株式会社Na Team

東京・恵比寿を拠点に、出張料理・店舗貸切・料理教室・ワイン会を展開。料理、ワイン、空間、その日の時間までを設計し、食を通して心に残る体験をつくっています。

執筆:(オーナーシェフ)。年間200件を超える出張料理・会食の経験をもとに、現場の視点をお伝えします。

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