卓の上に、抜栓した数本のワインとグラスが並び、

人が集まり始めている前の、静かな時間

ワインパーティーの卓に並んだ数本のボトルと人数分のワイングラス

会の出来は、乾杯の前にほとんど決まっています

友人を呼んでワインパーティーを開こう、と思い立ったとします。そこで最初に手が止まるのは、たいてい「何本買えばいいのか」です。多すぎれば余り、少なければ途中で足りなくなる。グラスの数も、料理も、終わる時刻も、すべてそこから連鎖して決まっていきます。

私は出張料理人として、年間200件を超える食卓に伺ってきました。恵比寿では毎月ワイン会も企画しています。その経験から言えるのは、会の出来を決めているのは、当日の盛り上げ方ではなく、開く前に決めた数だということです。

SUMMARY

結論:ワインパーティーを開くときは、人数に対して本数を決め、泡・白・赤の順に出し、グラスは一人1脚から用意します。 本数はお一人あたり0.7本が目安で、10名の会なら7本になります。 会場は、自宅、持ち込み料が無料の貸切レストラン、会場を借りて料理人を呼ぶ形の3つから選びます。 17名さまからはビュッフェ形式になり、20〜30名ならワインは14〜21本が目安です。 この記事では、開く側の数の設計と、東京で参加できる会の探し方の両方を整理します。

あわせて、ワイングラスを形から選ぶワインペアリングの組み立て方もご覧ください。

結論 ワインパーティーは、人数と本数とグラスの3つで決まる

ワインパーティーという言葉は幅が広く、4人で囲む食卓から、30名の立食まで同じ名前で呼ばれます。それでも、設計の入口は共通しています。

  • 人数:先に決める。ここがすべての起点になります
  • 本数:お一人あたり0.7本が目安。10名なら7本です
  • グラス:一人1脚が最低ライン。飲み分けたい会なら、注ぐ杯数の分だけ脚が要ります

この3つが決まると、料理の型も、会場の候補も、所要時間も自動的に絞られます。逆に、3つを決めないまま店を探し始めると、あとから条件が合わずに組み直すことになります。

主催するなら、まず人数から決める

ワインパーティーに用意したボトル
人数から必要な本数と料理を組み立てる。

人数ごとの目安を、一枚の表にまとめました。本数は「人数×0.7本」を計算し、小数点を切り上げた数字です。6名なら5本、8名なら6本、10名なら7本を用意します。飲まない方がいる場合や会の長さによって、実際の本数は調整してください。

人数ワインの本数種類の順番グラス料理の型所要時間
6〜8名5〜6本泡1・白2〜3・赤2一人1脚から着席のコース2時間半
10名7本泡2・白2・赤3一人1脚から着席のコース2時間半
16名12本泡3・白4・赤5一人1脚から着席のコース2時間半
20〜30名14〜21本泡から白、赤へ人数分ビュッフェ2時間半

所要時間を2時間半としたのは、私たちのワイン会が19:00〜21:30の枠で開かれることが多いためです。この長さだと、乾杯から締めまでが自然に収まり、二次会に向かう方の足も止めません。

グラスについて、ひとつ補足させてください。グラスが変わると、同じワインの味が変わります。ボウルの大きさで香りの開き方が変わり、飲み口の厚さで舌に触れる印象が変わるためです。私は、コースのどの皿にどのグラスを当てるかまで含めて、ペアリングの設計だと考えています。前半の繊細な皿には小さめのグラスで輪郭を立たせ、メインの肉には大きなグラスで香りを開かせる。1本のワインが、グラスの使い分けだけで2皿にまたがれることもあります。

ご家庭で6脚も8脚も揃えるのは、現実的ではありません。ですから、まずは一人1脚。型で飲み分けたくなったら、その時点で会場側に脚数を相談するのが良い順序だと思っています。

大きさの異なるワイングラスが2脚並び、同じワインが注がれている

  • グラスの型で味わいが変わる、という説明が視覚的に理解できる
  • 「脚数の設計」という抽象的な話に具体を与える

ワインパーティーで使う、大きさの異なる2脚のワイングラス

同じ一本でも、グラスを替えれば寄せる方向が変わります

パーティーワインの選び方

泡から始めて、白、赤へ

パーティーワインを何にするか迷ったら、順番から考えると決めやすくなります。泡から始めて、白へ、赤へ。これはワイン会一般の作法ですが、理にかなっています。泡は到着した方から順に注げるので、全員が揃わなくても会を始められます。そして口の中を軽く整えてくれるため、次の一杯の輪郭がはっきりします。

10名の会で7本なら、泡2本・白2本・赤3本という配分が組みやすい形です。人数が増えたら泡も増やし、遅れて来られる方の分を確保しておきます。

価格帯を揃えるという考え方

もうひとつ、意外と効くのが価格帯を揃えることです。1本だけ極端に高いワインを混ぜると、その一杯が基準になってしまい、ほかの6本が薄く感じられます。同じ帯で揃えたほうが、7本それぞれの個性が立ちます。

主役の一本を用意したいときは、価格で差をつけるのではなく、出す位置で差をつけるのが良い方法です。締めの一本として最後に開ける。そのために取っておいた、と伝える。それだけで、卓の空気は変わります。

持ち寄りにするかどうか

持ち寄りは、会費を抑えられて、会話のきっかけも増える良い形です。ただし、無条件におすすめはしません。全員が赤を持ってきてしまう、価格帯が大きくばらつく、抜栓の順番が決まらない。この3つが、持ち寄りでよく起きることです。

避ける方法は単純で、主催者が枠を決めておくことです。「泡を1本、白を2本、赤を2本にしたいので、白の担当をお願いします」と先に割り振る。それだけで、当日の卓は整います。

会場は3つから選ぶ

自宅で開く

いちばん自由が利きます。時間の制約がなく、費用も抑えられます。難しいのは、主催者が最後まで台所に立つことになる点です。10名を超えると、料理を出しながら会話に加わるのは、現実的ではなくなってきます。

持ち込み料が無料の店を貸し切る

セラーの一本や、いただいたまま開けられずにいる一本がある方には、この形が向いています。東京のレストランでは、持ち込み料は1本あたり2,000〜5,000円が想定される相場で、無料で受ける店は多くありません。10名で7本持ち込めば、それだけで1万4千円から3万5千円が上乗せされる計算になります。

Na Team Lab の恵比寿の店は、持ち込み料が無料で、本数の制限もありません。6〜8名さま、一日ひと組の完全貸切で、コースはお一人15,000円(税・サービス料込)。コース代金のほかに、席料やチャージ料、貸切料をいただくことはありません。持ち込むワインのリストを事前に共有いただければ、その日限りのワインに合わせてコースを設計します。

会場を借りて、料理人を呼ぶ

9名さまを超えたら、この形が現実的になります。会場は、会の規模と目的に合わせて手配できます。音楽を流せる場所、夜景を楽しめる場所。20〜30名が入る会場もお選びいただけます。

料理は、着席のコースが6〜16名さま(お一人15,000円〜/ワインペアリング付は22,000円)、17名さま以上はビュッフェ形式(お一人8,000円〜)です。会場が変わっても、ワインの持ち込み料が無料で、本数に上限がない条件は変わりません。会場費は場所と日程によって変わるため、個別にご案内しています。

貸切のダイニングに、持ち込まれた数本のワインが並べられ、

シェフがコースの一皿を仕上げている

  • 「持ち込み料が無料の店を貸し切る」という選択肢が具体的に伝わる
  • ワインに合わせて料理を設計する、という説明を裏づける

持ち込みワインに合わせてコースを仕立てる恵比寿の貸切ダイニング

リストを先にいただければ、その一本に料理を寄せられます

東京でワインパーティーに参加するなら

開くのではなく、まず参加してみたいという方も多いはずです。東京のワインパーティーを検索すると、ショップ主催、レストラン主催、サークル、婚活型、セミナー型と、同じ名前で中身の異なる会が並びます。

見分ける手がかりは、募集ページの書き方にあります。料理型の会は、料理とワインの内容が先に書かれています。婚活型の会は、年齢の条件や男女比が先に来ます。どちらが良いという話ではなく、目的が違うだけです。ワインを飲みに行くつもりで婚活型に入ると、お互いに居心地が悪くなります。

20名のビュッフェという形

私たちが港区で受けることの多い形が、20名前後のビュッフェです。港区は Na Team Lab の出張料理で最も案件数が多いエリアで、麻布台ヒルズレジデンスをはじめ、タワーレジデンスのパーティールームに伺うことが少なくありません。

20名という規模は、着席のコースには収まらず、かといって最初から最後まで立ち続けるには長い時間です。ビュッフェ形式なら、料理を取りに行く動線が生まれ、その途中で人が入れ替わります。座って話し込む方、卓の前で立ち話をする方、その両方が同じ部屋に共存します。着席では席順が会話を固定してしまい、立ちっぱなしでは体力が持ちません。20名前後の会でこの形が選ばれる理由は、そこにあると考えています。

料理は30名で10品ほどが目安ですが、決まったメニューは持っていません。若い男性が多い会なら炭水化物を厚くし、ワインを主役にしたい会なら量より質で組みます。主催者と相談して決めるのが基本です。ワインは20〜30名で14〜21本、30名なら21本。グラスは人数分をお持ちします。

なお、タワーレジデンスのパーティールームを使う場合は、防災センターに許可を取って搬入します。手続きがあるぶん、当日は少し早めに現地へ入るようにしています。

タワーレジデンスのパーティールームで、ビュッフェの卓を囲む20名ほどの集い

  • 20名規模のワインパーティーの空気感が具体的に伝わる
  • 座る人と立つ人が同じ部屋に共存する過ごし方が理解できる

タワーレジデンスで開かれた20名規模のワインパーティーのビュッフェ

動線が生まれると、会話の相手が自然に入れ替わります

立食の会で、料理が温かい理由

立食のワインパーティーで、多くの方が諦めているのが料理の温度です。並んだ大皿が冷めていくのは仕方がない、と思われています。けれど、これは仕方のないことではなく、運ぶのか、その場で仕立てるのかという設計の差です。

私たちは、恵比寿の店で仕込みを済ませてから会場へ伺います。現地でやるのは、火入れと仕上げと盛り付けです。そして、すべてを最初に出し切りません。火が使える環境であれば、温かいものは第2陣として、会の途中で作りたてをお出しします。火が使えない会場なら、保温できる設備を持参します。

これは技術というより、段取りの話です。食材も、器も、グラスも、必要な道具はすべてこちらで携えて伺います。だから主催者の方は、当日、台所に立つ必要がありません。お客様の手をわずらわせる工程は、ひとつもありません

ワインパーティーを開く側にとって、いちばんの贅沢は、自分がその会を楽しめることだと思っています。何本開けたかでも、何品出したかでもなく、卓を囲んでいた時間をちゃんと覚えていられること。数の設計は、そのためにあります。

Na Team Lab の出張料理、恵比寿の貸切、毎月の恵比寿ワインパーティーについては、公式LINEにてご案内しています。人数と日取り、開きたい会の輪郭だけでも構いませんので、お聞かせください。

まとめ

  • ワインパーティーは、人数・本数・グラスの3つを先に決めると、料理も会場も所要時間も自動的に絞られます
  • 本数はお一人あたり0.7本が目安。10名なら7本、立食の20〜30名なら14〜21本です
  • 順番は泡から白、赤へ。価格帯は揃えて、主役の一本は出す位置で差をつけます
  • グラスは一人1脚から。型で飲み分けたい会は、注ぐ杯数の分だけ脚数を用意します
  • 会場は、自宅/持ち込み料が無料の貸切レストラン/会場を借りて料理人を呼ぶの3択です
  • 17名さまを超えるとビュッフェ形式。火が使える会場なら、温かいものは作りたてで第2陣に出せます

よくある質問

ワインパーティーの会費の相場はどのくらいですか?

一般的には5,000〜20,000円の幅があります。Na Team Lab のワイン会は1回15,000〜30,000円で、相場より上に位置します。料理とワインの質にそのまま充てているためで、同じ関心を持つ方が集まりやすい会になっています。

ワインパーティーに一人で参加しても大丈夫でしょうか?

これまで開いた会では、7割近くがお一人でのご参加でした。私たちはお一人で来られることを前提に会を組み、自己紹介の時間を設けるなど、話しやすい場づくりをしています。参加者は30〜40代が多く、男女比はおおむね半々で、60代の方もいらっしゃいます。

ワインパーティーの服装に決まりはありますか?

私たちの会にドレスコードはありません。ただ、実際には少し綺麗目の装いでお越しになる方が多いです。気負う必要はありませんので、お手持ちの服で構いません。香りの強い香水だけは、ワインの香りに重なるため控えるのが一般的な作法とされています。

Na Team Lab オーナーシェフ 川原壯太
ABOUT NA TEAM LAB Na Team Lab|株式会社Na Team

東京・恵比寿を拠点に、出張料理・店舗貸切・料理教室・ワイン会を展開。料理、ワイン、空間、その日の時間までを設計し、食を通して心に残る体験をつくっています。

執筆:(オーナーシェフ)。年間200件を超える出張料理・会食の経験をもとに、現場の視点をお伝えします。

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一杯の違いを、料理とともに確かめる。

少人数のワイン会で、グラス、温度、料理との関係を実際に比べます。

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