作り置きは浅い清潔な容器に小分けして速やかに冷却・冷蔵し、室温に長く置きません。温め直しは中心まで十分に。要冷蔵の前菜とケーキは提供直前まで冷蔵してください。
ビストロやワインバーで、メニューに「パテ」と書かれている。頼んでみたら、茶色い塊が薄く切られて出てきた。パンとピクルスが添えられている。おいしかったけれど、あれが何だったのかは分からないまま帰ってきた。
そして家で「パテ とは」と調べると、検索結果の半分が壁や車の補修材の話になっています。この記事は、料理のパテの話です。
パテとは何か。種類は何があるのか。隣に並んでいるテリーヌとは何が違うのか。どう食べて、何を合わせるのか。作り手の側から順に書いていきます。
最後に、作る側から見たパテの難しさにも触れます。パテには、ほかの料理にない構造上の制約があります。
結論:料理のパテとは、肉やレバーを刻んで香辛料と合わせ、型に詰めて焼いたフランスの料理です。 代表的なものは三つあります。田舎風のもの、生地で包んで焼いたもの、なめらかなレバーのペーストです。 現在の日本では、テリーヌとほぼ同じ意味で使われることも多くなっています。 薄切りにしてバゲットとピクルス、粒マスタードを添え、軽めの赤ワインと合わせるのが基本の食べ方です。
パテとは、型に詰めて焼いた肉料理です
料理のパテは、肉やレバーを細かくして香辛料と混ぜ、型に詰めて焼いたフランスの料理です。
材料は、豚肉やレバーが基本になります。そこに塩と香辛料、つなぎを合わせて練り、型に詰める。焼いて冷まし、固まったところを薄く切り分けて出します。
ここで押さえておきたいのは、切り分けて出す前提で作られているということです。鍋で仕上げてすぐ皿に移す料理とは、設計が違います。型の中で固まったあと、断面を見せる。だから中に入れる具の大きさや並べ方まで、作る段階で決めておく必要があります。
もうひとつ。パテは冷たい状態で出すのが基本です。前菜として、最初のグラスと一緒に出てくることが多い理由はここにあります。コースの前菜は、短い余韻で軽やかに次へ移る役割を持っています。パテは、その役割にちょうど収まる料理です。
パテの三つの種類

代表的なものを三つ挙げます。店のメニューで見かけるのは、だいたいこのどれかです。
| 名前 | 作り | 見た目と味わい |
|---|---|---|
| パテ・ド・カンパーニュ | 豚肉とレバーを粗く刻み、型に詰めて焼く | 断面が粗い。素朴で力強い |
| パテ・アン・クルート | 具を生地で包んで焼く | 外側に焼けた生地の層がある |
| レバーパテ | レバーを裏ごしして、なめらかに仕上げる | ペースト状。パンに塗って食べる |
パテ・ド・カンパーニュ
いちばんよく見かけるのが、これです。カンパーニュは「田舎」という意味で、田舎風のパテを指します。
豚肉とレバーを粗く刻んで作りますので、断面に肉の粒が見えます。そのざらりとした食感と、レバーの苦味がパテらしさの核です。なめらかさを狙う料理ではありません。素朴さをそのまま出す作りです。
パテ・アン・クルート
クルートは「皮」や「生地」を指します。具を生地で包んで焼いたパテです。
切り分けると、外側に焼けた生地の層があり、中に肉の層が見えます。断面が美しい料理として知られていて、具の並べ方で模様を作ることもあります。手がかかるぶん、専門店や本格的な店で出てくることが多くなります。
レバーパテ
レバーを裏ごしして、なめらかに仕上げたものです。ペースト状ですから、切り分けるのではなく、パンに塗って食べます。
カンパーニュと比べると、粒がなく、口当たりが軽い。レバーの香りがまとまって出てきます。瓶詰や小さな器で売られているものは、たいていこの形です。
テリーヌとの違いは、呼び分けの歴史にあります
メニューでパテの隣に並んでいるのが、テリーヌです。ここの違いを聞かれることが多いので、整理しておきます。
もともとテリーヌは器の名前でした。蓋のついた深い型のことをテリーヌと呼び、その型で作ったものをテリーヌと呼ぶようになりました。一方のパテは、中身の作り方を指す言葉でした。
ですから、本来は重なり合う言葉です。テリーヌ型で焼いたパテは、パテでもありテリーヌでもある。そして現在の日本では、テリーヌとほぼ同じ意味で使われることも多くなっています。
実務的な区別としては、こう考えておくと分かりやすくなります。
- パテ:中身の作り(刻んだ肉を練って詰める)を指す言葉
- テリーヌ:型を指す言葉から広がり、型で固めたもの全体を指す
テリーヌには、野菜だけのものや、魚のものもあります。野菜や魚のパテもあり、名称だけで材料を断定はできません。ここでは肉を使う代表的なパテを扱います。そこが、いまの使い分けのいちばん分かりやすい線です。テリーヌについてはテリーヌとは、器の名前ですに詳しく書きました。
食べ方と、添えるもの
出てきたパテを、どう食べるか。基本の形があります。
薄切りにして、バゲットとピクルス、粒マスタードを添える。 これが基本です。
順番としては、まずパテだけを少し口に入れてみてください。肉の味と、レバーの苦味、香辛料の香りが分かります。そのあと、バゲットに乗せて食べる。パンが入ると、脂の重さが散って食べやすくなります。
ピクルスと粒マスタードは、酸の役割です。パテは脂を含んでいますから、そのままだと後半で重くなります。そこへ酸が入ると、口がリセットされて、次の一口が新鮮に感じられます。これは単なる相殺ではなく、互いを引き立たせる関係です。
ですから、ピクルスを「飾り」だと思って残さないでください。あれは設計の一部です。脂と酸の関係については対比のペアリング|違うからこそ、一つになるにまとめました。
家で市販のパテを食べる場合も、同じ形で足ります。バゲットがなければ、薄く切ったパンを軽く焼いてください。ピクルスの代わりに、らっきょうや玉ねぎの酢漬けでも役割は果たせます。
合わせるワインは、軽めの赤から
パテに合わせるなら、軽めの赤ワインから試してみてください。
理由は、重さの同調です。軽い料理には軽やかなワイン、骨太の肉料理にはフルボディの赤を合わせる。パテは肉料理ですが、量としては前菜の一皿です。重い赤を持ってくると、グラスのほうが料理を押してしまいます。
もうひとつ、パテには香辛料の香りと、レバーの苦味があります。渋みの強いワインを合わせると、苦味と渋みが足し算になって重くなります。タンニンの穏やかなものを選ぶと、そこが衝突しません。
どの品種がよいかは、パテの作りと添えものによって変わります。ここでは「軽めの赤」という方向までをお伝えします。赤ワインの重さや産地による違いを知りたい方はピノ・ノワールは産地で変わるをご覧ください。チーズと合わせる場合の考え方はワインとチーズに書きました。
作る側から見たパテは、直せない料理です
ここからは、作り手の側の話です。パテとテリーヌには、ほかの料理にない制約があります。
型に詰めて固めてしまうと、あとから味を直せないのです。
鍋で作る料理なら、煮ながら味を見て、塩を足せます。ソースなら、酸が強ければバターで丸められます。けれどパテは、焼いたり冷やしたりする前の、詰める直前の段階でしか味の調整ができません。そこを過ぎたら、もう手が入りません。
ですから、失敗の出方も決まってきます。私が見ている失敗は三つです。
- 固まらない、崩れる:肉の結着、脂の割合、加熱や冷却などの条件を確認する
- 食感が悪くなる:火を入れすぎている
- 味がぼやける、ぶれる:味見の段階で調整できず、味がぶれた
三つ目が、パテという料理の構造そのものから出てくる失敗です。腕の問題ではなく、料理の設計上そうなっています。
パテ・ド・カンパーニュは、肉のたんぱく質の結着と加熱で形を保ちます。ゼラチンを必ず加える料理ではありません。ゼラチンを使って冷やし固める料理は、その配合に従ってください。肉の割合、練り方、加熱、冷却をそれぞれ確認することが安定につながります。
どちらが上という話ではありません。安定と繊細さのトレードオフです。
火入れについては、食材によって変わるため、一概には言えません。肉の種類、入れた具、型の大きさで変わります。中心温度を確かめる場合は、厚生労働省が示している食肉の加熱条件にのっとってください。家庭では最も厚い部分を中心温度計で測り、中心75℃以上を1分間以上保つことを確認してください。焼き時間・色・弾力・肉汁だけでは安全性を判断できません。低温調理器の設定温度と肉の中心温度も別です。
低い温度でじっくり火を入れる技法としては、コンフィも考え方が近い部分があります。コンフィとは、浸して低温で火を通す技術ですもあわせてご覧ください。
記念日や年末の前菜として
パテは、人が集まる日の最初の一皿に向いています。切り分けて出せますし、提供直前まで冷蔵しておけます。
Na Team Lab では、出張料理を承っています。ご自宅やオフィスにシェフが伺って、コース料理をお出しする形です。仕込みは事前に店で済ませてから伺いますので、会場に着いてから約1時間で会食を始められます。料金はお一人¥15,000〜(コースのみ)、22,000円(コース+ワインペアリング)で、9万円以上から伺っています。6名さま〜16名が標準で、17名以上は提供形式をご相談ください。食材費、出張費、機材費、人件費、後片付けまで含んだ料金です。
ご自身で作れるようになりたい方には、恵比寿で料理とワインの教室も開いています。シェフが実演し、参加された方は見て味わう形式です。各回8名、1回6,000〜12,000円(税込・ドリンク込み)、入会金なしの1回完結です。基本は12時から約2時間。開催日時・テーマ・料金は回ごとに予約ページでご確認ください。スーパーで手に入る食材と家庭のIHを基本に、季節の特別な食材を使う回もあります。 フレンチの会ではソースと火入れを扱います。
出張料理の詳細は出張料理のページ、教室は料理教室のページにございます。ご相談は公式LINEでも承っております。
まとめ
パテは、名前がひとつでも中身が三つに分かれる料理です。
- 料理のパテとは、肉やレバーを刻んで香辛料と合わせ、型に詰めて焼いたものです
- 代表は三つ。パテ・ド・カンパーニュ/パテ・アン・クルート/レバーパテ
- もともとテリーヌは器の名前。いまの日本では、ほぼ同じ意味で使われることも多くあります
- 野菜や魚のパテもあるため、名称だけで材料は断定できません
- 食べ方は、薄切りにしてバゲットとピクルス、粒マスタードを添える
- ピクルスと粒マスタードは飾りではなく、脂を切る酸の役割です
- 合わせるワインは、軽めの赤から。渋みの強いものは苦味と衝突します
- 作る側から見ると、型に詰めたあとは味を直せない料理です
次にメニューで「パテ」を見かけたら、断面を見てみてください。粒の粗さと脂の入り方で、どの種類なのかが分かります。
よくある質問
パテはどのくらい日持ちしますか?
市販のものは、瓶やパッケージの表示を確かめてください。保存の条件で変わりますので、日数を一律に申し上げることはできません。家で作ったものは早めに食べきってください。切ってから置くと断面から乾きますので、使う分だけ切り分けるのがおすすめです。
パテは家でも作れますか?
作れます。まずは型の大きさに合った検証済みの配合を選び、肉の結着と中心までの加熱を確認します。注意していただきたいのは、型に詰める直前にしか味の調整ができない点です。詰める前に少量を焼いて味を見てから、本体を詰める。その順序にすると、味のぶれを避けられます。
パテとリエットの違いは何ですか?
一般には、リエットは肉を脂と一緒に煮込んでほぐし、脂で固めたものとされています。パテのように型で固めて切り分けるのではなく、瓶や器に入れて、パンに塗って食べます。パテ・ド・カンパーニュのような断面はありません。
理由まで持ち帰れる、八席の料理教室。
恵比寿の厨房で、塩と火入れを実演と一皿から学べます。

