「来週、◯◯さんの壮行会をやります」という連絡が回ってきた。
幹事を任された側は、そこで少し手が止まります。壮行会とは、送別会と何が違うのか。 同じように花束を用意して、挨拶を並べればいいのか。それとも、別の作り方があるのか。
言葉を調べると、辞書的な説明はすぐに見つかります。けれど「では当日どう進めるのか」までは、なかなか書かれていません。
私は東京・恵比寿で一日ひと組の店を営みながら、ご自宅やタワーレジデンスのパーティールームにも伺っています。法人の会を料理の側から支えてきた立場から、この記事では壮行会とは何かを整理したうえで、出発を祝う会にするための乾杯と料理の組み立て方をお伝えします。
結論:壮行会とは、転勤・海外赴任・留学・大会出場など、新しい場所へ向かう人を励まして送り出す会です。 会社を去る人を送る送別会とは違い、帰ってくることや活躍を前提にした前向きな会になります。 流れは開会・挨拶・乾杯・歓談・激励の言葉・本人の挨拶・締めの順で、全体で2時間が目安です。 乾杯はスパークリングワイン、料理に行き先の国の一皿を入れると、壮行会らしさが出ます。場面別の流れと挨拶の選び方も整理します。
壮行会とは
壮行会は「そうこうかい」と読みます。「壮行」は、旅立つ人の前途を祝い、励まして送り出すという意味です。
対象になる場面は、いくつかあります。
- 転勤・異動 ― 他の拠点へ移る人を送る
- 海外赴任 ― 海外の拠点へ向かう人を送る
- 留学・研修 ― 学びのために一定期間離れる人を送る
- 大会・試合への出場 ― 代表として出る人を送る
- 独立・新しい挑戦 ― 自分の道へ進む人を送る
この五つに共通しているのは、向かう先があるということです。
送別会は「ここから離れる」ことが主題になります。壮行会は「あちらへ行く」ことが主題です。同じ人を送る会でも、視線の向きが逆になります。
だから壮行会には、独特の明るさがあります。しんみりする必要がありません。むしろ、しんみりさせないことが幹事の仕事です。
私自身、高校から実業団までアーチェリーの競技を続け、大学在学中に全日本選手権を制しました。大会へ向かう側の立場で言えば、送り出されるときに受け取って力になるのは、結果についての言葉ではありません。これまでを見てくれていた人の、ごく短い一言です。壮行会に必要なものは、そこに尽きると思っています。
送別会・激励会・歓送迎会との違い

似た会を、表で整理します。
| 会の名前 | 主題 | 相手との関係 | 雰囲気 |
|---|---|---|---|
| 壮行会 | 向かう先 | 戻ってくる、または活躍を見届ける | 前向き |
| 送別会 | ここから離れること | 職場を離れる | 名残を惜しむ |
| 激励会 | 励ますこと | これから挑む人 | 鼓舞する |
| 歓送迎会 | 送ると迎えるの両方 | 入れ替わる人たち | 混合 |
送別会との違いは、何に焦点を当てるかです。送別会は別れとこれまでの感謝、壮行会はこれからの活躍への応援が中心です。組織に残るか、戻ってくるかだけで分かれるものではなく、二つの意味を兼ねる会もあります。送別会そのものの進め方は、送別会とは、送り出すための時間割であるに時間割の形でまとめています。
激励会との違いは、出発するかどうかです。激励会は、場所を移らない人にも開かれます。大きな商談の前、資格試験の前。壮行会は、物理的にどこかへ行く人に向けた会です。
歓送迎会との違いは、人数の向きです。歓送迎会は送る人と迎える人が同じ会に同席します。この構造では、どちらにも均等に光を当てる必要があるため、壮行会ほど一人に寄った会にはなりません。
名前に迷ったときは、「どこへ行くか」が言えるかどうかを確かめてください。言えるなら壮行会です。
場面別の流れ
基本の流れは、どの場面でも同じです。全体で2時間を見込みます。
| 時刻 | 進行 |
|---|---|
| 開始15分前 | 受付開始。着いた方から飲み物をお渡しする |
| 0:00 | 人数がある程度集まった段階で開会の挨拶 |
| 0:05 | 乾杯 |
| 0:10 | 歓談。料理が動き始める |
| 1:00 | 激励の言葉、贈り物があれば贈呈 |
| 1:15 | 本人の挨拶 |
| 1:25 | 歓談 |
| 1:50 | 締めの挨拶、集合写真 |
| 2:00 | お開き |
そのうえで、場面ごとに調整する点があります。
転勤・異動の場合。 赴任先の地名が決まっているので、そこに触れた進行にしてください。すでにその土地で働いた経験のある人がいれば、ひと言話してもらう。これが、どの演出よりも喜ばれます。
海外赴任の場合。 出発までの日程が詰まっているため、開く日を早めに固定することが最優先です。ビザや引っ越しの都合で、直前は動かせません。また、ご家族が同行される場合は、ご家族を招くかどうかを本人に確かめてください。
留学・研修の場合。 期間が決まっているので、戻る時期を会の中で口にするとよい形になります。「来年の春にまた」という一言があるだけで、別れの会ではなくなります。
大会・試合への出場の場合。 開催日が決まっているため、会はその数日前に置きます。前日は体調を優先してください。お酒についても、本人が飲まない前提で組むのが自然です。乾杯だけノンアルコールで合わせる形で、何の問題もありません。
挨拶の順番と、言葉の選び方
挨拶の順番は、一般的には次の形です。
1. 開会 ― 幹事が、会の趣旨と主役の向かう先をひと言で伝える
2. 送る側の挨拶 ― 上司または主役といちばん長く働いた人
3. 乾杯 ― その次の立場の方
4. 激励の言葉 ― 歓談のあと、同僚や後輩から
5. 本人の挨拶 ― 激励を受けたあとに話してもらう
6. 締め ― 開会をした人、または上席の方
順番そのものは慣例であり、決まりではありません。大事なのは本人の挨拶を最後から二番目に置くことです。本人が話したあとに長い挨拶が続くと、会の焦点がぼやけます。
言葉の選び方で、壮行会には避けたい表現があります。
- 「寂しくなります」 ― 送別会の言葉です。壮行会では本人が前を向きにくくなります
- 「体に気をつけて」だけで終わる ― 心配だけが残ります。期待を一緒に添えてください
- 「結果を出してこい」 ― 大会や試合の壮行会では、重くなりすぎることがあります
代わりに置きたいのは、具体的な場面に触れた一言です。「あの納期の週に残ってくれたことは忘れません」「初めて現場に来た日の顔を覚えています」。抽象的な励ましよりも、固有の記憶のほうが届きます。
本人の挨拶については、長くする必要がありません。これまでへの礼、向かう先でしたいこと、戻ったときの約束。この三つに触れれば十分です。
幹事の挨拶も同じで、場を開けて、閉じるだけで足ります。会の性格が明るいので、進行は短いほうが似合います。
出発を祝う乾杯と料理
ここからが、料理の側からしかお伝えできない部分です。
壮行会を「別れの会」にしないために、いちばん効くのは演出ではありません。乾杯の一杯と、料理の一皿です。
乾杯は、泡で
Na Team Lab のフルコースでは、基本的にシャンパーニュを選びます。お客様の多くがシャンパーニュを好まれるためです。
壮行会に泡が合うのは、理屈ではなく動きの問題です。グラスを高く掲げる所作が、泡のほうが自然に見えます。ビールでも日本酒でも乾杯はできますが、掲げたときに前を向く飲み物という点で、スパークリングワインには固有の強さがあります。
予算や時間帯によっては、クレマンやカヴァを選ぶこともあります。ランチの時間帯であれば、こちらのほうが軽やかに収まります。また、とっておきのクレマンをお出ししたい回というのもあります。これは「安い代わりの一本」ではなく、その一本を主役として出すという選択です。
最近は、イングリッシュスパークリングを好まれる方も増えてきました。そのトレンドに合わせてお出しする場合もあります。シャンパーニュとスパークリングワインの違いそのものについては、シャンパンは、産地の名前ですで整理しました。
飲み慣れていない方は、スパークリングワインとシャンパーニュの違いが分からないことも多いものです。それは当然のことですので、乾杯の前に銘柄の説明をする必要はありません。グラスが満たされていれば、それで足ります。
行き先の一皿、行き先のワイン
料理には、行き先に由来する一皿を入れてください。
フランスへ赴任する方であれば、フランスの地方料理を一皿。イタリアであればイタリアの一皿。国内の転勤であれば、その土地の食材を使った一皿。
これは、凝った演出ではありません。けれど会の中で「これは◯◯の料理です」とひと言添えるだけで、場の話題が行き先の話に移ります。壮行会でいちばん欲しいのは、この転換です。別れの話から、向かう先の話へ。料理が、話題を運んでくれます。
ワインも同じように使えます。Na Team Lab では、節目の年のワインをお探しして手配することができます。生まれ年、記念の年。記念日のご依頼では、この形でワインを組むことが実際にあります。
壮行会であれば、行き先の国や地域のワインです。ご相談いただければ、お探しします。年や産地によっては手に入りにくいものもありますので、早めにお声がけいただけると探す時間が取れます。
ワインは、持ち込み料が無料で、本数の制限もありません。 送る側の方々がそれぞれ一本持ち寄るという形でも、まったく問題ありません。恵比寿の店で開く場合も、別の会場を手配する場合も、条件は変わりません。
料理を出すタイミングは、進行に合わせて動かします。前半に多めに出しておき、激励の言葉や贈呈の進み具合をその場で見ながら残りを出す。挨拶も贈呈も、料理を食べている途中に差し込まれるのが通常です。食事の時間と進行の時間は、分かれていません。 幹事の方にお願いしたいのは、乾杯と締めの時刻だけを決めて共有しておくことです。
人数と会場、費用の目安
人数によって、形が変わります。
| 人数 | 会場 | 料理の形式 | お一人あたり |
|---|---|---|---|
| 6〜8名さま | 恵比寿の店(一日ひと組の完全貸切) | 着席コース | 15,000円〜/ペアリング付 22,000円 |
| 9〜16名さま | 出張料理、または手配会場 | 着席コース | 15,000円〜/ペアリング付 22,000円 |
| 17〜30名さま | 手配会場 | ビュッフェ | 個別見積もり |
表示価格は、税・サービス料・出張費すべて込みです。1回のご依頼につき90,000円からお受けしています。会場を手配する場合の場所代は、会場と日程によって変わるため、ご相談のうえで個別にお伝えしています。
壮行会は、主役が全員と話せる形にしておくと喜ばれます。向かう先についてひと言ずつ声をかけたい人が、それぞれにいるからです。16名さままでであれば着席のコースが組めますので、主役の席を固定して、話したい人がそこへ来る形が取れます。
法人のご利用であれば、見積書・請求書・領収書の発行に対応しています。インボイス(適格請求書)にも対応済みで、請求書の宛名を分けることもできます。社内の稟議のために、正式な発注の前に見積書だけ先にお出しすることもできます。支払い方法と請求書払いの条件は、ご予約時にご確認ください。
ご相談は、2週間前までが目安です。早く決まっているほど、対応できることは増えます。海外赴任や大会出場のように出発日が動かない会は、日程が決まった時点でお声がけいただくのがいちばん安全です。
まとめ
壮行会とは何か、整理します。
- 壮行会とは、新しい場所へ向かう人を励まして送り出す会。主題は「向かう先」
- 送別会との違いは関係が続くかどうか。転勤や赴任なら壮行会、退職なら送別会
- 名前に迷ったら「どこへ行くか」が言えるかどうかで判断する
- 海外赴任と大会出場は、開く日を早めに固定する。直前は動かせない
- 「寂しくなります」は使わない。具体的な場面に触れた一言のほうが届く
- 乾杯は泡で。料理には行き先の一皿を入れると、話題が前を向く
壮行会は、送る会ではありません。見送る側が後ろを向いていると、主役も前を向けません。幹事にできるいちばん大きなことは、会の空気を明るいほうに置いておくことだと、私は思っています。
壮行会のご相談は、公式LINEから
日程と人数、それから「どこへ向かう方か」をひと言添えてお送りいただければ、会場と料理をあわせてご案内します。行き先の料理やワインについてのご相談も承っています。
Na Team Lab の貸切や出張料理の詳細については、公式LINEにてご案内しています。
よくある質問
壮行会の会費は、誰がどのくらい負担するのですか?
会社の行事であれば会社の負担、有志の会であれば参加者で分けるのが一般的です。主役からは会費を取らない形が多く見られます。Na Team Lab では、幹事の方が事前にまとめてお振り込みいただく形、当日の個別会計、当日の一括払いのいずれにも対応しています。
壮行会で贈り物は必要ですか?
必須ではありません。贈る場合は、持ち運びのことを考えて軽いものを選んでください。海外赴任や留学であれば、荷物に入れられるかどうかが実務的な判断軸になります。花束を贈る場合は、当日に会場へ直接届けてもらうのが確実です。
本人の挨拶では、何を話せばよいのでしょうか?
長くする必要はありません。これまでへの礼、向かう先でしたいこと、戻ったときの約束の三つに触れれば十分です。成果を約束する必要もありません。送る側が聞きたいのは意気込みより、近況だと思います。
ご依頼の前に、料理を確かめる体験ランチ。
法人ケータリングをご検討中の方へ、恵比寿の店舗で料理をご体験いただけます。担当者様・役員の方々もご一緒に。1〜8名様 / お一人様15,000円(税込)・ドリンク込み / 約2時間・完全予約制。完全予約制・開始時間はご都合に合わせて調整。
法人ケータリングの体験ランチ
ご依頼前に、担当者様・役員の方を交えて。
1〜8名様・お一人様15,000円(税込)・ドリンク込み体験ランチの詳細を見る

