お盆に、親戚が集まる。正月にも、また集まる。

日取りが決まった時点から、頭のどこかで献立を数え始めている方は多いと思います。初日の夜は何を出すか。翌日の昼はどうするか。二日目の夜まで同じものは出せない。買い出しは何回に分けるか。冷蔵庫に入りきるだろうか。

「お盆 親戚 集まり 料理」と検索して、この記事にたどり着いた方も、おそらく同じところで止まっています。レシピは調べればいくらでも出てきます。それでも解決した気がしないのは、探しているものがレシピではないからです。

この記事では、まずその悩みが本当はどこにあるのかを整理します。そのうえで、定番でまわす方法、買って済ませる方法、そして一日だけ手放すという方法を、順にお伝えします。

SUMMARY

結論:お盆や正月の親戚の集まりの料理は、「全部の食事を工夫する」より「山場の一日だけ手放す」ほうが現実的です。 悩みの正体は、一食あたりの量ではありません。二日三日と続く、その連続にあります。そしてその負担は、毎回同じ人にかかっています。 定番の作り置きも、仕出しや宅配も有効です。ただしどれを選んでも、作る人が席を外す前提は変わりません。 親戚が最も集まる一日だけ出張シェフに任せるという選び方なら、いつも台所に立つ方も、最初から最後まで卓に着いていられます。 Na Team Lab では6〜16名さま・お一人15,000円〜で承っており、年末年始も対応しています。

親戚の集まりの料理、悩みの正体は「量」ではなく「連続」

大皿を何枚か作るだけなら、たいていの方は乗り切れます。人数が増えても、一食であれば対応できる。実際、記念日や誕生日の食事を家で用意することに、大きな負担を感じている方は多くありません。

けれども帰省シーズンは違います。一食ではなく、何食も続くからです。

初日の夜、二日目の朝、二日目の昼、二日目の夜。滞在が三日に及べば、用意する食事は七回や八回になります。しかも同じものは出しにくい。前日の残りをそのまま出すわけにもいかない。買い足しに出れば、その時間も献立の合間から捻出することになります。

つまり、問題は一食あたりの重さではなく、回数にあります。「何を作るか」より前に、「何回作るか」という問題が横たわっている。ここを分けて考えないまま献立だけを探すと、いくらレシピを集めても、気持ちは軽くなりません。

そしてもうひとつ、あまり口に出されない構造があります。

その七回や八回を、毎回同じ人が担っているということです。

親戚の集まりについて書かれた文章を探していくと、レシピサイトよりも、質問掲示板のほうに切実な声が集まっていることに気づきます。「嫁いで初めてのお盆で、期間中の献立に悩んでいる」といった投稿です。そこで語られているのは、料理の技術ではありません。役割が固定されていることへの戸惑いです。

料理が苦手なわけではありません。人をもてなすのが嫌なわけでもありません。ただ、集まりのあいだじゅう自分だけが台所にいる、という状態が何年も続いています。

献立の問題として悩んでいるつもりでも、本当に重いのはそちらのほうだった、ということが起こります。

定番でまわす|作り置きできるもの、出せば喜ばれるもの

大皿に盛りつけられた前菜
大皿でまわすと、取り分けの手が減ります。

そのうえで、まずは現実的な工夫から見ていきます。多くの家庭が自然に行き着いている方法には、やはり理由があります。

考え方として有効なのは、献立を「料理の種類」ではなく「手のかかる時点」で分けることです。おおまかに三つに分かれます。

  • 前日までに作り置きできるもの:煮物、マリネ、和え物など。時間が味を進めてくれるもの
  • 卓の上で完成するもの:鍋、手巻き寿司、しゃぶしゃぶなど。仕上げを食べる人に委ねられるもの
  • 出すだけでよいもの:刺身の盛り合わせ、果物、口取りなど。手を加えずに卓へ運べるもの

このうち二つ目が、集まりの席では特に働きます。

鍋や手巻き寿司が親戚の集まりで重宝されるのは、味が万人向けだからというだけではありません。調理の最後の工程が、食べる人の手に渡っているからです。作る人が卓に着いたまま食事が進む。つまり、役割がその一食だけ分散します。

同じ理由で、大皿の料理も理にかなっています。各自が取り分ける形にすると、盛り付けと配膳の手間がまとめて消えます。人数が読めないときにも対応しやすい。

献立を組むときは、この三つを一日の中に混ぜてみてください。作り置きだけで固めると前日が潰れます。卓上で完成するものばかりでは、三日間で飽きが来ます。一食の中に、手のかかる時点の違うものを同居させる。これが、連続する食事を組むときの基本的な設計です。

ただし、ここまでの工夫にはひとつ共通する限界があります。

どれだけ上手に組んでも、作る人がいなくなるわけではないということです。負担は軽くなります。けれども買い出し、下ごしらえ、配膳、そして片付けまで含めた全体を眺めれば、その中心にいる人は変わりません。

買って済ませる|仕出し・宅配の使いどころ

そこで次の選択肢が出てきます。作らずに、買う。

仕出しの折詰、寿司の出前、宅配のオードブル。実際、この分野の検索結果には宅配サービスが並んでいます。帰省シーズンに「作らない」という選択が広く受け入れられている証拠だと思います。私も、有効な手段だと考えています。

使いどころは、はっきりしています。

  • 品数を並べたい日。一皿ずつ作ると膨大になるものを、一度に揃えられます
  • 人数が直前まで読めない日。数量を後から足しやすい形態です
  • 作る側が完全に手を離したい一食。とくに到着直後や、見送りの前

一方で、限界も正直に書いておきます。

ひとつは、冷めていることが前提だという点です。配送を挟む以上、揚げたてや焼きたての状態では届きません。冷めてもおいしいように設計された料理が中心になるため、料理の幅はどうしてもそこに収まります。温かいものを卓に出したければ、結局は誰かが台所に立つことになります。

もうひとつは、量が読みにくいことです。「三〜四人前」といった表記は、実際の食べる量とずれることがあります。年配の方と育ち盛りのお子さんが同じ卓にいる集まりでは、なおさら予測が難しくなります。足りなければ気まずく、余れば翌日の食卓を圧迫します。

そして、これも先ほどと同じですが、受け取りと片付けは残ります。容器を開け、盛り替え、食後に洗って分別する作業は残ります。作る工程は消えても、その前後は消えません。

自宅で人を迎えるときの選び方については、自宅という、いちばん落ち着く場所で。ケータリングという『食卓の設え』を考えるでも整理しています。

一日だけ、全部任せるという選択

ここからが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。

帰省の三日間を、すべて同じ方法で乗り切ろうとする必要はありません。親戚が最も集まる一日だけを切り出して、その一食だけを完全に手放す。そういう組み方ができます。

初日は作り置きでまわす。最終日は宅配で軽く済ませる。そして全員が揃う中日の夜だけ、シェフを呼ぶ。三日間の設計として、これは十分に現実的です。

Na Team Lab の出張料理は、6〜16名さま・お一人15,000円〜で承っています。ワインペアリングをお付けする場合は、お一人22,000円です。この料金には、食材費、出張費、機材費、人件費、そして後片付けまで含まれています。細かく積み上げていく方式ではなく、お一人あたりいくらという形でお伝えしています。料金の考え方については、出張シェフの料金を全込みで示す理由に詳しく書きました。

親戚の集まりというテーマでは、この「後片付けまで含まれる」という一点が、思っている以上に効きます。大人数の食事でいちばん重いのは、食べ終わったあとだからです。

依頼される理由は、料理ができないからではありません

私は出張料理人として、年間200件を超える食卓を預かってきました。記念日や会食のご依頼が多いのですが、ご家族が集まるタイミングでのご依頼もあります。年末年始に、忘年会と新年会を兼ねてという形で伺ったことがありますし、お盆のタイミングで作りに行ったこともあります。

そうしたご依頼をいただくとき、理由としていちばん多いのは、実はこういうものです。

普段は私が料理していたけれど、準備や片付けも考えると大変で……

料理ができないから頼む、というご依頼はほとんどありません。むしろ、普段からご自分で作っている方からのご依頼が多いのです。腕の問題ではなく、負担の問題として相談をいただいている。

その方は、今年も作れます。去年も作ったのですから、作れないはずがありません。ただ、作れることと、毎年それを引き受け続けることは、別の話です。

だから私は、この提案を「豪華にしましょう」という話だとは思っていません。その日だけ、台所に立つ人を卓に座らせるという話だと考えています。

お子さんが同席していても大丈夫です

親戚の集まりには、上は年配の方から下は小さなお子さんまで、世代の違う方が同じ卓につきます。

お子様向けのメニューをお作りしたこともあります。これまででいちばん小さかったお客様は、2歳のお子さんでした。コースの流れの中で、そのお子さんに合う一皿をご用意する形です。苦手なものやご体調のことは、事前にご相談いただければ組み込んで設計します。

高齢のご両親の家に集まる場合|実家の台所でも成立する理由

親戚が集まる場所は、自宅とは限りません。多くの場合、ご実家です。

そうなると、心配なことが出てきます。実家の台所は古い。コンロは二口しかない。作業する場所が狭い。オーブンもない。人数分の食器やグラスは、そもそも揃っていない。そんな場所にシェフを呼んで、本当に成り立つのだろうか、と。

結論から申し上げると、成り立ちます。

足りないものは、すべて持ち込みます

食器、カトラリー、グラス。必要なものはすべてこちらで持ち込みます。

ご実家に人数分の皿が揃っていなくても問題ありません。コース料理では皿が何度も変わりますが、そのすべてを持参します。ワインをお出しする場合のグラスも同様です。「食器が足りないから、うちでは無理だ」という理由で諦める必要はありません。

極端に言えば、IHが1口あればコースは作れます

設備についても、想像されているほど多くを必要としません。

極論を言えば、IHが1口あればフルコースを仕立てられます。

これは技術の話というより、段取りの話です。恵比寿の店で事前に仕込みを済ませてから伺うため、ご実家の台所で行うのは主に仕上げの工程になります。火が必要な場面は限られますし、こちらで持ち込む機材で補える部分もあります。

ですから、台所の広さや設備を理由にためらわれる必要はありません。むしろ、そうした条件の場所こそ、家で作ろうとすると負担が大きくなります。年配のご両親の台所で、慣れない道具を使って七回分の食事を用意することを思えば、その一日を預けてしまうほうが、全員にとって楽なことがあります。

どんな場所へ伺っているかについては、出張シェフとは|料金・シーン・選び方まで、はじめての方への完全ガイドでも触れています。

正月なら、おせちを組み直すという手もあります

お正月には、お盆とはまた違った悩みがあります。

三が日、おせちが続くという問題です。

おせちは保存性を高めるために味付けが濃く、方向性も似通っています。元日は嬉しくても、二日目、三日目と重なるうちに、卓の空気が少しずつ静かになっていく。かといって、残っているものを捨てるわけにもいきません。

こうしたとき、私はよくこんなご提案をしています。

  • おせちをベースにしたフレンチのコースに組み直す
  • おせちの素材を少しイノベーティブに仕立て直す
  • おせちとワインのペアリングを設計する

三つ目は、意外に思われるかもしれません。けれども、おせちの一品一品は素材と味の輪郭がはっきりしていて、ワインと向き合わせやすい食べ物です。

Na Team Lab では、料理とワインの関係を同調対比という二つの軸で考えています。同じ方向の香りや味を重ねるのが同調、あえて逆を組んで互いを引き立たせるのが対比です。9つの原則のうちの二つですが、これはフレンチやイタリアンに限った考え方ではありません。

黒豆の甘さに何を合わせるか。数の子の塩気と食感をどう受け止めるか。昆布巻きの旨味を、どの方向に伸ばすか。同じおせちが、グラスの中身によってまったく違う表情を見せることがあります。

毎年同じものを、違う体験に変える。そういう組み直し方が、お正月にはあります。

ご相談は、日取りが決まったころに

三が日ぜんぶを任せる必要はありません。親戚が最も集まる一日だけ、シェフに任せる。

その日だけは、いつも台所に立つ方も、最初から最後まで卓にいられます。人が話しているのを聞きながら、自分も同じ料理を食べて、同じところで笑う。毎年の「当たり前」を、一日だけ外してみる。それだけで、集まりの景色は変わります。

年末年始も対応しています。いつまでにという締切は設けておらず、ご希望の日程と私どもの予定が合えば伺えます。ただ、帰省シーズンはご予約が重なりやすいので、日取りが決まったころにご相談いただけると、調整がしやすくなります。

ご相談やお見積もりは、公式LINEで承っています。まだ日程が固まっていない段階でも構いません。

まとめ

お盆や正月の親戚の集まりの料理について、整理します。

  • 悩みの正体は「量」ではなく「連続」:一食ではなく、二日三日と続くことが負担の本体です
  • その奥にあるのは役割の固定:七回や八回の食事を、毎回同じ人が担っています
  • 定番は「手のかかる時点」で分ける:作り置き・卓上で完成するもの・出すだけのものを一食に混ぜます
  • 仕出しや宅配は有効、ただし限界もある:冷めている前提であること、量が読みにくいこと、片付けは残ること
  • 一日だけ手放すという選び方:山場の一食だけを出張料理に預ける。6〜16名さま・お一人15,000円〜、後片付けまで込みです
  • 実家の台所でも成立する:食器もグラスもすべて持ち込み、IHが1口あればコースを仕立てられます
  • 正月はおせちを組み直せる:フレンチへの再構成や、おせちとワインのペアリングという選択肢があります

親戚の集まりの料理を考えるとき、献立表の枠を全部埋めようとすると、どうしても行き詰まります。埋めなくてよい枠がひとつあると思っていただくだけで、組み方はずいぶん変わるはずです。

よくある質問

お盆や年末年始でも、出張シェフに依頼できますか?

ご依頼いただけます。早めにご相談いただければ、年末年始も含めて対応しています。いつまでにという明確な締切は設けておらず、ご希望の日程と予定が合うかどうかで決まります。帰省シーズンはご予約が重なりやすいため、日取りが決まった段階でのご相談をおすすめしています。

親戚の集まりに呼ぶ場合、何人から頼めますか。料金はいくらですか?

6〜16名さま、お一人あたり15,000円〜が目安です。ワインペアリングをお付けする場合は22,000円となります。食材費・出張費・機材費・人件費に加えて、後片付けまで含まれた料金です。集まりの席では片付けの負担が大きいため、この点をご案内すると安心される方が多くいらっしゃいます。

実家の台所が狭くても、コース料理は出せますか?

出せます。恵比寿の店で事前に仕込みを済ませてから伺うため、現地での作業は仕上げが中心です。極端に言えば、IHが1口あればフルコースを仕立てられます。食器やカトラリー、グラスもすべて持ち込みますので、ご実家の食器が人数分揃っていなくても問題ありません。

川原壯太(Na Team Lab シェフ)
AUTHOR 川原 壯太 Na Team Lab シェフ

恵比寿のレストランを拠点に、年間200件を超える出張料理・会食を手がける。5味のバランスやペアリングなど「9つの原則」に基づいて食卓を設計し、料理教室・ワイン会も主宰。

Instagram @nateam.kawahara


三日間のうち、一日だけ手放す。

ぜんぶを任せる必要はありません。いちばん人数が多い日、いちばん気を遣う日。その一日だけこちらが引き受ければ、作る人も卓につけます。実家の台所でも、器から携えて伺います。

TOP

Na Team Labをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む