職場の方が定年を迎える。送別会の幹事を任された。
ここで多くの幹事が手を止めます。相手は数十年勤めた方です。年度末の異動の送別会と同じ段取りでいいのか。案内状はどう書くのか。花束はいつ渡すのか。そして何より、その方が主役として気持ちよく過ごせる会になるのか。
私は東京・恵比寿で一日ひと組の店を営みながら、ご自宅やタワーレジデンスのパーティールームにも伺っています。法人の会で、挨拶や花束の贈呈が入る夜を、料理の側から何度も支えてきました。この記事では、定年退職の送別会の実務を順に整理したうえで、主役が全員と話せる会にするための会場と料理の考え方をお伝えします。
結論:定年退職の送別会は、「退職を祝う会」という名前で開くと、送り出す寂しさより感謝が前に出ます。 開く時期は退職日の1〜2週間前、平日の夕方が多く、式次第は開会・挨拶・乾杯・歓談・花束と記念品・本人の挨拶・締めの順です。 主役が一人ひとりと話せるよう、16名さままでなら着席のコース、20〜30名ならビュッフェ形式の貸切が向きます。 案内状の書き方、挨拶の順番、花束を渡すタイミング、会場と料理の選び方まで、順に整理します。
送別会か、退職を祝う会か
最初に決めるのは、日程ではありません。会の名前です。
同じ内容の会でも、名前が変わると当日の空気が変わります。
- 送別会 ― 送り出す会。別れが主題になる
- 退職を祝う会 ― 節目を祝う会。感謝が主題になる
- 定年を迎える◯◯さんを囲む会 ― 人が主題になる
異動や転職の送別会であれば、「送別会」で過不足ありません。けれど定年退職は、会社を離れるだけでなく、ひとつの職業人生が区切りを迎える日です。「送る」という言葉だけでは、その重さが収まりきりません。
案内状の表題を「退職を祝う会」にするだけで、集まる人の言葉選びが変わります。「お疲れさまでした」ではなく「ありがとうございました」から始まる挨拶が増える。たったそれだけのことですが、主役の方の表情が違ってきます。
名前を決めるときに一度だけ、主役ご本人に確かめておくといいことがあります。大きな会にしたいか、小さな会にしたいかです。長く勤めた方ほど「大げさにしないでほしい」とおっしゃることがあります。その希望を先に聞いておけば、招く範囲の判断がぶれません。
いつ開き、誰を招くか

時期は、退職日の1〜2週間前が目安です。
退職日の当日は、本人の挨拶回りや引き継ぎが詰まっています。当日にそのまま会を開くと、主役がいちばん疲れた状態で席に着くことになります。1〜2週間前であれば、引き継ぎの山を越えつつ、まだ職場に本人がいる時期です。
曜日と時間帯は、平日の夕方が多い形です。法人の会のご依頼は、平日の夜か土日が中心という実感があります。業務時間内に開く形も設計としては可能ですが、実際には終業後に集まる会がほとんどです。
招く範囲は、三つの輪で考えると整理しやすくなります。
1. 同じ部署の現役メンバー ― ここは全員に声をかける
2. 過去に同じ部署で働いた人、他部署の関係者 ― 主役に名前を挙げてもらう
3. 退職した元同僚、社外の関係者 ― 主役の希望があれば
2番目が、定年退職の会に特有の輪です。四十年近く勤めた方であれば、現在の部署より、昔いた部署のほうに縁の深い人がいます。主役に「呼びたい人はいますか」と一度だけ聞く。これが、定年の会でいちばん喜ばれる段取りだと感じています。
人数が20名を超えてきたら、会場の形を先に決めてください。着席でひと皿ずつ出す形は16名さままでが現実的で、17名さま以上はビュッフェ形式が向きます。ここは後ほど詳しくお伝えします。
案内状に書くこと
案内状に入れる項目は、六つです。
1. 会の名前 ― 「◯◯さん 退職を祝う会」
2. 日時 ― 開始時刻と、終了のおおよその時刻
3. 場所 ― 名称、住所、最寄り駅からの所要時間
4. 会費 ― 金額と、集め方(事前振込か当日か)
5. 出欠の締切 ― 日付で明記する
6. 幹事の連絡先 ― 氏名と連絡手段
文面は、長くする必要がありません。短いほうが読まれます。
◯◯部の◯◯さんが、本年◯月末をもって定年を迎えられます。
つきましては、長年のご功績に感謝をお伝えする会を下記のとおり開きます。
ご多用の折とは存じますが、ぜひご出席ください。
この三行に、六つの項目を箇条書きで添えれば十分です。「送別」という言葉を使わず「感謝をお伝えする会」と書くと、最初に決めた会の名前と文面がそろいます。
ひとつだけ付け足すなら、寄せ書きやメッセージの回収についての一行です。当日に色紙を回すと、回り切らないまま会が終わります。案内状の時点で「メッセージを◯日までに幹事へお送りください」と書いておけば、当日は渡すだけになります。
案内状の文例そのものは、招待状は、当日の段取りを先に配る紙で場面別に整理しています。
式次第と、挨拶の順番
会の流れは、次の形が基本です。全体で2時間を見込みます。
| 時刻 | 進行 |
|---|---|
| 開始15分前 | 受付開始。着いた方から飲み物をお渡しする |
| 0:00 | 開会の挨拶(幹事) |
| 0:05 | 主催者の挨拶(部門長など) |
| 0:10 | 乾杯 |
| 0:15 | 歓談 |
| 1:00 | 花束・記念品の贈呈、寄せ書きを渡す |
| 1:15 | 本人の挨拶 |
| 1:30 | 歓談 |
| 1:50 | 締めの挨拶、集合写真 |
| 2:00 | お開き |
挨拶の順番は、一般的には役職の順に並べます。開会は幹事、主催者の挨拶は部門長、乾杯はその次の立場の方、締めは部門長に戻る、という形が多く見られます。ただしこれは慣例であって、決まりではありません。主役といちばん長く働いた人に締めを頼むという選び方も、定年の会には合います。
幹事の挨拶は、場を開けて、閉じるだけで足ります。長く話す必要はありません。送別会全体の進め方と挨拶の組み立てについては、送別会とは、送り出すための時間割であるで詳しく書いています。
花束・記念品・寄せ書きのタイミング
贈呈は、歓談が十分に進んだあと、本人の挨拶の直前に置きます。
理由は二つあります。ひとつは、本人の挨拶の流れが自然になること。花束を受け取った直後にマイクを向けられると、話す言葉が自然に出てきます。もうひとつは、花束を持ったまま過ごす時間を短くできることです。早い時間に渡すと、主役は花束を抱えたまま二時間を過ごすことになります。
贈呈の段取りで決めておくことは、三つです。
- 渡す人 ― 若手から渡すか、同期から渡すかを先に決める
- 渡す順番 ― 花束、記念品、寄せ書きの順が収まりやすい
- 置き場所 ― 受け取ったものを置くテーブルを用意しておく
花束は、当日に会場へ直接届けてもらうのが確実です。Na Team Lab では、記念日のサプライズでお花を事前にお預かりして、演出のタイミングに合わせてお出しする運用をしています。会場をご一緒する場合は、同じ形でお預かりできます。
記念品そのものの選び方には、この記事では踏み込みません。ただ一点だけ申し添えると、その日に持ち帰る重さは考えておいてください。電車で帰る方に、重い置物と花束を同時に持たせることになります。
主役が全員と話せる会場と料理
ここからが、料理の側からしかお伝えできない部分です。
定年退職の会で、主役がいちばん望んでいることは何か。その日集まった一人ひとりと、ひと言ずつ話すことです。四十年分の相手が一つの部屋にいる夜は、もう二度とありません。
ところが、会場の形によっては、それが叶わないことがあります。
主役が食べられない会と、食べられる会
立食で名刺交換がある会では、主催者が食べられないことが実際によくあります。動き続けるので、料理にたどり着けません。対応として、別に取り分けておくこともあります。
定年退職の会でも、同じことが起きます。主役が一人ひとりに呼ばれて部屋を歩き回り、気づけば何も口にしていない。会が終わってから「結局、座れなかったね」と言われる。これは、料理の問題ではなく提供形式の問題です。
一方で、形を変えると構造が変わります。歓送迎会でお受けした会では、六本木のタワーマンションのパーティールームで20名の会を、フルコースを大皿でお出しする形にしました。着席で、参加者が大皿から取り分けていく形です。
このとき、主役にも他の参加者とまったく同じように料理が届きました。 席が決まっていて、周りが取り分けてくれるからです。取り分けるという所作そのものが、主役を食卓に留めます。
20〜30名の会であれば、完全な着席は難しくなります。その場合でも、主役の席だけは固定するという形が取れます。主役が席にいて、話したい人がそこへ来る。回るのは参加者のほうです。この形にしておくと、主役は座ったまま全員と話せて、料理も口にできます。
料理を出すタイミングも、進行に合わせて動かします。前半に多めに出しておき、贈呈や挨拶の進み具合をその場で見ながら残りを出す。進行表どおりに出すのではなく、会の呼吸に合わせて出す。これは店の側が引き受けるべき仕事です。
挨拶も、贈呈も、料理を食べている途中に差し込まれるのが通常です。つまり「食事の時間」と「進行の時間」は分かれていません。重なっています。幹事の方にお願いしたいのは、進行表を精密に作ることではなく、乾杯と締めの時刻だけを決めて共有しておくことです。
節目の年のワインという演出
もうひとつ、定年の会でお受けできることをお伝えします。
Na Team Lab では、節目の年のワインをお探しして手配することができます。生まれ年、結婚記念の年、お付き合いが始まった年。記念日のご依頼では、この形でワインを組むことが実際にあります。
定年退職の会であれば、その方が入社した年です。四十年前の一本を開けて、乾杯する。年号を読み上げるだけで、場の空気が変わります。
年によっては手に入りにくいものもありますので、ご相談は早めにいただけると探す時間が取れます。年の選び方そのものについては、生まれ年のワインは、年号より産地で選ぶで考え方を書いています。
ワインは、持ち込み料が無料で、本数の制限もありません。 ご自身で探された一本を持ち込んでいただく形でも、まったく問題ありません。これは恵比寿の店で開く場合も、別の会場を手配する場合も変わりません。
主役の好きな料理をコースに組み込むこともできます。「あの人はいつも蕎麦の話をしていた」というような、周りが知っている好物をひと皿入れておく。手の込んだ演出よりも、こちらのほうが主役には届きます。
人数と会場、費用の目安
人数によって、形が変わります。
| 人数 | 会場 | 料理の形式 | お一人あたり |
|---|---|---|---|
| 6〜8名さま | 恵比寿の店(一日ひと組の完全貸切) | 着席コース | 15,000円〜/ペアリング付 22,000円 |
| 9〜16名さま | 出張料理、または手配会場 | 着席コース | 15,000円〜/ペアリング付 22,000円 |
| 17〜30名さま | 手配会場 | ビュッフェ | 個別見積もり |
表示価格は、税・サービス料・出張費すべて込みです。1回のご依頼につき90,000円からお受けしています。会場の場所代は会場と日程によって変わるため、ご相談のうえで個別にお伝えしています。
30名規模のビュッフェであれば、10品ほどをお出しすることが多い形です。ただし参加者の顔ぶれと会の性格によって変わりますので、決まったメニューをお出しするのではなく、幹事の方とご相談しながら組み立てます。量は、少し余るくらいを見込んで持参します。立食の料理の考え方については、立食パーティーの料理、本当の正解は「品数」ではなく「温度」だったで整理しています。
法人のご利用であれば、見積書・請求書・領収書の発行に対応しています。インボイス(適格請求書)にも対応済みで、請求書の宛名を分けることもできます。社内の稟議のために、正式な発注の前に見積書だけ先にお出しすることもできます。支払い方法と請求書払いの条件は、ご予約時にご確認ください。
ご相談は、2週間前までが目安です。早く決まっているほど、対応できることは増えます。人数変更の期限・追加対応の可否・キャンセル条件は、ご予約時にご確認ください。出欠の締切は、予約先の人数確定期限より前に置いてください。
まとめ
定年退職の送別会について、整理します。
- 最初に決めるのは日程ではなく会の名前。「退職を祝う会」にすると感謝が前に出る
- 時期は退職日の1〜2週間前、平日の夕方。当日は本人がいちばん疲れている
- 招く範囲は、主役に「呼びたい人はいますか」と一度聞く
- 案内状は六項目。寄せ書きは当日に回さず、案内状の時点で回収しておく
- 贈呈は歓談のあと、本人の挨拶の直前。花束を抱えたまま過ごす時間を短くする
- 主役の席を固定して、参加者のほうが回る形にすると、主役が全員と話せて料理も口にできる
- 節目の年のワインを手配できる。持ち込み料は無料で、本数の制限もない
四十年を送る会に、完璧な進行表はいりません。主役がその日、何人と話せたか。会が終わったあとに残るのは、それだけだと思っています。
退職を祝う会のご相談は、公式LINEから
日程と人数、それから「主役がどんな方か」をひと言添えてお送りいただければ、会場と料理をあわせてご案内します。人数が固まっていない段階のご相談も承っています。
Na Team Lab の貸切や出張料理の詳細については、公式LINEにてご案内しています。
よくある質問
定年退職の送別会の費用は、誰が負担するのですか?
会社の行事として開く場合は会社の負担、有志が集まる形であれば参加者で分けるのが一般的です。Na Team Lab では、幹事の方が事前にまとめてお振り込みいただく形、当日に個別会計をする形、当日に一括でお支払いいただく形のいずれにも対応しています。集め方を先に決めておくと、当日の受付が静かに進みます。
主役のご家族も招いてよいのでしょうか?
職場の会にご家族を招くかどうかは、主役のご希望を先に確かめるのが安全です。ご家族を交えた席を別に設けたいという場合は、ご自宅に伺う出張料理という形もあります。移動の負担がなく、途中で休める環境が家にはある、という点を喜ばれる方が多くいらっしゃいます。
再雇用で引き続き勤める場合も、送別会を開くものですか?
勤務が続く場合は「送る会」という名前が合わなくなりますので、「定年を迎えた節目を祝う会」として開く形が自然です。会の名前を変えるだけで、挨拶の言葉選びも、当日の空気も変わります。
ご依頼の前に、料理を確かめる体験ランチ。
法人ケータリングをご検討中の方へ、恵比寿の店舗で料理をご体験いただけます。担当者様・役員の方々もご一緒に。1〜8名様 / お一人様15,000円(税込)・ドリンク込み / 約2時間・完全予約制。完全予約制・開始時間はご都合に合わせて調整。
法人ケータリングの体験ランチ
ご依頼前に、担当者様・役員の方を交えて。
1〜8名様・お一人様15,000円(税込)・ドリンク込み体験ランチの詳細を見る

