「今年の結婚記念日、何にする?」

そう聞いて、そのまま数日が過ぎる。気づけば当日が近づいていて、結局いつもの外食に落ち着くか、何もしないまま過ぎていく。そんな年を、何度か重ねてこられた方は少なくないと思います。

調べれば、記念日の過ごし方をまとめた記事はいくらでも出てきます。それでも決まらないのは、選択肢が足りないからではありません。選ぶ順番が決まっていないからです。

先に「何をするか」を考えると、毎年ふりだしに戻ります。先に決めるべきなのは、その年の暮らしの条件のほうです。お子さまが何歳か。預け先があるか。ご両親の体力はどうか。それが決まれば、場所はおのずと絞られます。

この記事では、結婚記念日に何をするかを外食・自宅・旅行の三つに整理したうえで、何年目に何をするかという節目の話、そしてご両親の記念日までを順に見ていきます。書いているのは、出張料理人として年間200件を超える食卓に伺ってきた者です。

SUMMARY

結論:結婚記念日の過ごし方は、外食・自宅・旅行の三つに大きく分かれます。 どれを選ぶかは好みの問題ではなく、その年の暮らしの条件で決まります。小さなお子さまがいる年は、預け先の段取りが必要な外食と旅行のハードルが上がり、自宅が現実的な選択肢として残ります。 自宅を選んだうえで特別な一夜にしたいときは、料理人を呼んで同じ食卓で祝うという形があります。外出の負担がないまま、記念日の食卓だけを非日常に変えられます。 この記事では、何年目に何をするかという節目の整理から、三つの選択肢の比較、ご両親の記念日の祝い方までをまとめます。

あわせて、還暦祝いの食事を家族で整える金婚式で五十年の食卓を囲むもご覧ください。

結婚記念日に何をするか 外食・自宅・旅行の三つに分かれます

結婚記念日の過ごし方は、突き詰めると三つしかありません。

  • 外食 レストランや料亭で食事をする
  • 自宅 家で食卓を整える
  • 旅行 宿を取って、日常から離れる

贈り物を選ぶ、写真を撮る、手紙を書く。そうした行為はどれも大切ですが、それらは三つのどれかの上に乗るものです。土台になるのは、その日どこで過ごすかという一点です。

そして、この三つは並列ではありません。年によって、選べるものと選べないものがはっきり分かれます。

たとえばお子さまが二歳の年に、二人で泊まりの旅行に出るのは簡単ではありません。逆にお子さまが独立した年に、あえて家にこもる必要もありません。同じ夫婦でも、その年の暮らしによって残る選択肢は変わります。

ですから、順番はこうなります。

1. その年の暮らしの条件を確かめる(お子さまの年齢、預け先、体力、繁忙期)

2. 残った選択肢の中から場所を決める

3. 決まった場所の中で、内容を組み立てる

内容から考え始めると迷いますが、条件から入ると、たいてい二択か一択まで絞れます。

何年目に何をするか 節目の名前と、向いている過ごし方

結婚記念日に家族で囲む食卓
その年の暮らしに合わせて、外食、自宅、旅行から場所を選びます。

結婚記念日には、年数ごとに名前がついています。一般には、贈られる素材が柔らかいものから硬く、価値の高いものへと移っていく形で整理されています。

年数名称一般に言われる意味向いている過ごし方
1年紙婚式まっさらな紙に、これから記していく気負わない外食
3年革婚式使うほど手になじむ革のように外食または旅行
5年木婚式根を張り、一本の木になっていく旅行
10年錫婚式錆びにくく、柔らかく形を変える外食または自宅
15年水晶婚式曇りのない透明さ自宅
20年磁器婚式年を経るほど価値が増す自宅
25年銀婚式磨くほどに輝きを増す家族を招く
50年金婚式変質せず、価値が残る子世代が主催する

節目の名称と素材の由来は、一般に知られている情報として整理したものです。諸説あり、由来を一つに絞ることはできません。

ただ、この表を眺めていると、ひとつのことに気づきます。前半の節目は外に出る過ごし方が、後半の節目は迎え入れる過ごし方が向いている、ということです。

理由は素材の意味ではなく、暮らしのほうにあります。結婚1年目から5年目は、まだ二人だけで動ける年が多くなります。10年目から20年目にかけては、お子さまが小さく、家を離れにくくなります。25年目を過ぎると、お子さまが手を離れ、今度はご両親の体力が気になり始めます。

「向いている過ごし方」の欄は、素材から導いたものではありません。その年数にいる夫婦が、たいてい何を抱えているかから導いたものです。

外食・自宅・旅行を比べる 費用・準備・子ども連れ・記憶の残り方

三つの選択肢を、実際に比べてみます。金額の多寡ではなく、その日に何が起きるかで並べたほうが、判断しやすくなります。

比較軸外食自宅旅行
準備の手間予約のみ買い出し・支度・片づけ宿と交通の手配
当日の自由度店の時間に合わせる時間を区切らなくてよい移動時間に縛られる
お子さまがいる年預け先の手配が要る同席させられる預けるか同行かの判断が要る
途中で休めるか休みにくいすぐ横になれる宿に入れば休める
記憶の残り方店の記憶として残る家の記憶として残る旅の記憶として残る
向いている年二人で動ける年お子さまが小さい年、体力に不安がある年節目の年、休みが取れる年

費用については、どの選択肢も幅が大きく、一律の目安を出すことに意味がありません。同じ外食でも10,000円の夜と50,000円の夜があり、旅行はさらに開きます。比べるなら、費用より「その日に自分たちが何をしなければならないか」で比べたほうが確実です。

この表で見ていただきたいのは、自宅の欄です。自宅は準備の手間だけが突出して重く、それ以外の軸ではすべて優位に立っています。逆に言えば、準備の重さを外せば、自宅がもっとも条件のよい選択肢になります。

自宅の記念日を特別にする四つの手

自宅を選んだとして、では何をすれば「いつもの夕食」と違う夜になるのか。四つの手があります。

手作りのディナーは、どこで崩れるか

まず、手作りという選択について。結婚記念日の手作りディナーを簡単に済ませたいという声は、検索の中にもよく現れます。作ること自体は、もちろん素晴らしい選択です。

ただ、私が構造として気になるのは、作った人だけが祝われないという点です。

献立を考え、買い出しに出て、下ごしらえをして、火にかけて、盛り付けて、出して、洗う。この工程を一人が担うと、その人は当日ずっと立っています。相手が席で待っている間、作り手は台所にいる。食べ終われば、また台所に戻る。

記念日の食卓で本当に価値があるのは、料理の完成度そのものより、二人が同じ時間、同じ卓に座っていることだと私は考えています。手作りが崩れるとすれば、味ではなく、この一点です。

もし作るのであれば、品数を絞ることをおすすめします。三品を丁寧に作って、あとは器と時間に手をかける。当日に火を使う工程を一つだけにしておくと、席を立つ回数が減ります。

卓の整え方は、足すより減らす

家の食卓が「いつも」に見えるのは、物が多いからです。

調味料、リモコン、郵便物、お子さまの学用品。それらが視界にあるだけで、卓は日常の顔に戻ります。整えるときにやることは、飾りを足すことではなく、いつもそこにあるものを外すことです。

そのうえで、加えるものは二つで足ります。ひとつは光です。天井の照明を落として、卓の上に低い光源を置きます。もうひとつは、グラス。普段使いより背の高いものを二脚出すだけで、卓の重心が変わります。

Na Team Lab のレストランでも、空間で最初に決めたのは照明でした。揺らぐ硝子のペンダントが、八席の卓の上に低く灯っています。光の高さを変えるだけで、同じ卓が別の場所になります。

ワインは、年で選ぶ

記念日のワインを選ぶとき、味わいから入ると迷います。年から入ると、迷いません。

結婚した年のヴィンテージを開ける。 これが、もっとも分かりやすい選び方です。奥さまの生まれ年、ご主人の生まれ年を並べて開けるという形もあります。その一本には、味わいの説明を超えた意味が乗ります。

自宅がこの選び方に向いているのは、持ち込みの制約がないからです。店で開けようとすると持ち込み料が発生することが多く、結果として予算の組み立てが変わってしまいます。家であれば、ずっと開けられずにいた一本を、その日のために開けられます。

Na Team Lab の出張料理では、持ち込み料はいただいていません。本数の制限もありません。グラスは約100脚を揃えていますので、一本ずつ違う形で受けることもできます。

料理人を呼ぶという四つ目の手

四つ目が、家に料理人を呼ぶという形です。

私たちは、料理を運ぶのではなく、その場で仕立てます。食材も、器も、グラスも、カトラリーも、調理道具も持参します。お使いいただくのは、キッチンの火と水と冷蔵庫だけです。終われば余韻だけを残して、すべて引き上げます。お客様の手は、ひと指も汚れません。

つまり、先ほどの表で自宅だけが重かった「準備の手間」の欄が、そのまま空きます。自宅の欠点を一つ外すと、残るのは自由度と休息と、家の記憶だけになります。

子どもと一緒に祝うなら、同じ食卓に座らせる

お子さまが小さいご家庭で、いちばんよく耳にする計画があります。「子どもを寝かせてから、二人で」というものです。

これは、なかなか成立しません。寝かしつけに一時間かかることもあれば、途中で起きてくることもあります。ようやく静かになった頃には、二人とも動く気力が残っていません。記念日が、寝かしつけの後始末になってしまいます。

現実的なのは、同じ食卓に座らせてしまう設計です。

私が実際に伺った会に、千代田区のタワーレジデンスのパーティールームで開かれた、ご両親とお子さまを含む昼のランチ会がありました。そのとき、お子さまには年齢に合わせたものを別にご用意しています。

当日に起きたのは、進行が止まることではありませんでした。お子さまは食べ終えると、併設のキッズルームへ遊びに行かれたのです。そして大人の方々は、その間フルコースを最後まで召し上がっていました。

ここから分かることが、ひとつあります。お子さまが同席する会で起きるのは「会が中断すること」ではなく、子どもだけが先に食事を離れるという分岐です。会そのものは、そこから続けられます。

成立の条件は、ひとつだけです。食べ終えたお子さまが移動できる、別の場所があること。

パーティールームでは、キッズルームがその役割を果たしていました。ご自宅であれば、子ども部屋や、リビングの一角がそのまま同じ働きをします。テレビの前でも構いません。要は、卓から離れられる場所があればよいのです。

ですから、お子さまがいる年の結婚記念日は、預け先を探すところから始めなくてよいことになります。同じ卓に座らせて、先に食べてもらう。それだけで、外出の負担なく記念日が成立します。

両親の結婚記念日を祝うとき 主催するのは子世代です

ここまでは、ご自身の結婚記念日の話でした。もうひとつ、別の立場があります。ご両親の結婚記念日を祝う側に回る年です。

25年目の銀婚式、50年目の金婚式。この二つは、一般にご本人ではなくお子さま世代が主催する行事とされています。実際、私が伺ってきた70代の方が主賓となる会でも、主催されているのはお子さま世代であることがほとんどでした。

なお、金婚式や銀婚式という名目でのご依頼を、私はまだお受けしたことがありません。書けるのは、近しい年代の会に伺ってきた経験までです。

その経験から申し上げると、この年代の会では、会場選びの軸が変わります。

若いご夫婦の記念日であれば、どこで食べるかは好みの問題です。しかし主役が70代になると、二つの条件が前に出てきます。

ひとつは、移動しなくてよいこと。年齢が上がるにつれて、移動そのものが負担になっていきます。

もうひとつは、疲れたときにすぐ休める環境があるかどうかです。家にはそれがあり、店にはありません。これは単なる距離の問題ではなく、会の途中で体力が尽きたときに逃げ場があるかどうかの差です。私は、この点が大きいと感じています。

実際、お客様から聞こえてくる声としてもっとも多いのは「家でゆっくりできた」というものです。

高齢の方が主賓の会では、こちらでも組み立てを変えています。塩味を抑えること。提供する量を調整すること。出す速さを調整すること。コースの全体像は変えず、お一人おひとりに合わせて中身を組み直します。会の最後には、記念撮影のお手伝いもしています。

記念日を、家で、誰にも気を遣わずに

自宅に料理人を呼ぶ、という選択肢の実務をまとめておきます。

Na Team Lab の出張料理は、お一人15,000円からのコース形式です。ワインペアリングをお付けする場合は、お一人22,000円になります。いずれも税・サービス料・出張費が含まれた金額です。

対応人数は6名さまから16名さままで。1回のご依頼につき、90,000円からを目安としています。

ご夫婦おふたりだけの記念日についても、承っています。5名さま以下の場合も、1回の会で90,000円に達するようであればお受けできます。この金額のことは、隠さずに先にお伝えしています。 そのうえでご検討いただくのが、いちばん健全だと考えているからです。

ご家族やご両親を招いて17名さまを超える会であれば、ビュッフェ形式でお一人8,000円からのご案内になります。

対応エリアは、基本的に東京都内です。都外や遠方も、別途ご相談に応じています。ご相談は2週間前までにいただけると、仕込みと段取りに十分な余地が生まれます。

お支払いは、当日の現金または事前のお振込です。事前にお振り込みいただければ、当日その場で会計は発生しません。ご両親を招く席で、誰が払うかを当日の話題にしなくて済みます。

場所が変わっても、9つの原則は変わりません。 恵比寿の八席で一日ひと組に向けて組み立てているものと、同じ設計をご自宅に持ち込みます。

まとめ

  • 結婚記念日に何をするかは、外食・自宅・旅行の三つに大きく分かれます。内容から考えるより、その年の暮らしの条件から場所を絞るほうが早く決まります
  • 節目には紙婚式・錫婚式・銀婚式・金婚式といった名称があります。前半の節目は外に出る過ごし方が、後半の節目は迎え入れる過ごし方が向いています
  • 三つを比べると、自宅は準備の手間だけが重く、自由度・休息・記憶の残り方では優位に立ちます。準備の重さを外せば、条件のよい選択肢になります
  • お子さまがいる年は「寝かせてから二人で」ではなく、同じ卓に座らせる設計が現実的です。食べ終えた子どもが移動できる別の場所があれば、会は続きます
  • ご両親の銀婚式・金婚式は、お子さま世代が主催する行事です。移動の負担と、疲れたときに休める場所があるかどうかが、会場選びの軸になります

次のアクション

結婚記念日は、毎年やってきます。だからこそ、毎年きちんと決めなくてよいのだと思っています。

外に出られる年は、出ればいい。出られない年は、家で整えればいい。その年の暮らしに合う場所を選べていれば、それでもう記念日は成立しています。

家で過ごすと決めた年に、食卓だけを非日常にしたいと思われたら、そのときにお声がけください。ご相談の段階では、開催予定の日と、おおよその人数の幅だけ分かれば十分です。

Na Team Lab の出張料理やレストランの詳細は、公式LINEにてご案内しています。

よくある質問

結婚記念日にプレゼントは必要ですか?

必須ではありません。年数ごとの記念日には紙・錫・銀といった名称がついており、その素材にちなんだ品を贈る習慣が一般に知られています。ただし近年は、物ではなく食事の時間そのものを選ぶご夫婦も多くいらっしゃいます。

結婚記念日の予定は何日前に決めればよいですか?

外食であれば、人気のある店ほど1〜2か月前の予約が安心です。自宅に料理人を呼ぶ場合、Na Team Lab では2週間前までのご相談をお願いしています。お子さまの預け先を手配される場合は、そこから逆算する形になります。

夫が結婚記念日に何もしてくれません。どうすればよいでしょうか?

祝われるのを待つより、日と場所だけをこちらで先に決めてしまうほうが動きやすいことがあります。外食の予約でも、家に人を呼ぶ手配でも構いません。段取りが先にあれば、当日はおふたりとも座っているだけで済みます。

Na Team Lab オーナーシェフ 川原壯太
ABOUT NA TEAM LAB Na Team Lab|株式会社Na Team

東京・恵比寿を拠点に、出張料理・店舗貸切・料理教室・ワイン会を展開。料理、ワイン、空間、その日の時間までを設計し、食を通して心に残る体験をつくっています。

執筆:(オーナーシェフ)。年間200件を超える出張料理・会食の経験をもとに、現場の視点をお伝えします。

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ご家族のお祝いの前に、料理を確かめる体験ランチ。

お食い初めや記念日など、ご自宅での出張料理をご検討中の方へ。1〜8名様で料理とシェフの対応をご体験いただけます。1〜8名様 / お一人様15,000円(税込)・ドリンク込み / 約2時間・完全予約制。完全予約制・開始時間はご都合に合わせて調整。

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