金曜の夜、一本を開けます。グラスに二杯ほど注いだところで、今日はここまでだと思う。残りは冷蔵庫に立てておく。土曜も同じように二杯。日曜の夜、最後の一杯を注いだら、香りがずいぶん変わっていた。

ワインを一人で飲むとき、多くの方が同じところで詰まります。一本が開けきれない。翌日の味が落ちている気がする。そして、飲み終えたあとに残る感想も、「美味しかった」の一言で終わってしまいます。

この記事では、その三つに順番にお答えします。一本をどう配分するか。何を選び、どんな器で飲むか。そして、一人飲みで増えにくい「味の言葉」を、どこで増やすか。一人で飲むのをやめましょう、という話ではありません。一人で飲む夜はそのままでいい、という前提で書いています。

SUMMARY

結論:ワインは一人で飲んでいいものです。 一人で飲む場合、750mlの一本はグラスで六杯前後にあたり、三日ほどでひと区切りと考えておくと扱いやすくなります。 ただし実際に持つ日数は、経過した時間よりも瓶に残っている量で変わります。残り一杯なら、翌日にはもう表情が動いています。 一人飲みが中心の方でも、月に一度、一人参加の多い少人数の会に出ると、同じワインを言葉で共有できるため、味の理解が進みます。

あわせて、ワイングラスを形から選ぶワインペアリングの組み立て方もご覧ください。

結論 ワインは一人で飲んでいい。一本は三日で飲み切る設計にする

先に答えを置きます。

  • 一人で飲むことに、後ろめたさは要りません。誰にも合わせず一本と向き合える時間は、味を覚えるのに向いています
  • 750mlの一本は、グラスで六杯前後。三日でひと区切り、と考えると配分しやすくなります。一方で「何日もつか」を決めるのは日数ではなく、残っている量です
  • 月に一度だけ、人と飲む夜を挟む。一人では増えにくい味の言葉が、そこで増えていきます

順に見ていきます。

一人で一本を開けるという現実 グラス何杯で、何日もつのか

夜のテーブルに赤ワインのボトルと一脚のグラスを置いたイメージ画像
一人で一本を少しずつ楽しむ夜のイメージ。

750mlは、グラスで六杯前後

レストランでグラスワインに注がれる量は、おおむね120ml前後です。750mlの一本を同じ量で割れば、六杯前後になります。

一日に二杯なら三日、三杯なら二日半。一人で一本を開けるというのは、そのくらいの時間の幅を持つ行為です。一晩で空ける必要はありませんが、一週間かけて引き延ばすのも無理が出ます。

一般に言われている日数の目安

開けたあとに美味しく飲める期間として、一般には次のような目安が挙げられます。

タイプ一般的な目安
スパークリング1〜2日
3〜5日
4〜7日
酒精強化(ポートなど)1か月程度

出発点としては役に立つ表です。もっとも、手元の一本にそのまま当てはまるかというと、そうではありません。

日数ではなく、残っている量で決まります

私が見ているのは、開けてから何日経ったかではなく、瓶にどれだけ残っているかです。

一杯か二杯しか飲んでいない、つまりたっぷり残っている状態なら、酸化の進み方はゆるやかです。一方、残りが一杯だけという状態だと、酸化のスピードは速く、翌日にはもう変化を感じることがあります。液面の上にある空気の量が、まるで違うからです。

ですから「開けたワインは何日もつか」という問いに、私は断言ができません。同じ赤ワインでも、半分残っている二日目と、一杯分しか残っていない二日目では、別のものになっています。

一人飲みに向くワインと、グラスは何脚あればいいか

一人で飲むなら、選ぶ基準がひとつ増えます。三日かけて表情が崩れないか、という基準です。

重めの白と赤は、一人飲みと相性がよい

タイプによって、開けたあとの動き方は変わります。

  • 泡、軽めの白、軽めの赤は、酸化を感じやすい傾向があります。スパークリングは、開けた夜のうちに楽しむ前提で選ぶのが無理のない形です
  • 重めの白、重めの赤は、酸化することでかえって開いてきて、二日目のほうが美味しく感じられる場合もあります
  • 甘口のワインは、糖度の高さがそのまま保存性につながります。少しずつ楽しみたい夜に向きます

つまり、一人で一本を数日かけて飲むなら、厚みのある白や赤、あるいは甘口が扱いやすいということになります。泡を一人で開ける夜があってもよいのですが、その日は一本を空けるつもりで選ぶ、という分け方です。

グラスは、二脚あれば足ります

一人分だから一脚でいい、とは私は考えていません。二脚をおすすめします。

ワイングラスは、装飾ではなく調整の道具です。ボウルの大きさが香りの広がり方を決め、飲み口のすぼまり方がワインの落ちる位置を決めます。温度を変えれば十分から十五分、デキャンタージュなら三十分以上かかる調整が、グラスを替えれば注いだ瞬間に効きます。

揃えるなら、この二脚です。

グラス効き方向くワイン
中型の万能グラス酸と果実を締める泡から軽い赤まで
大きめのブルゴーニュ型香りを大きく開かせる厚みのある赤、樽の効いた白

飲み切れずに味が落ちたワインは、料理用に回すという手もあります。ただし、劣化がひどい場合やコルク由来の匂いが出た場合は、その味わいが皿にそのまま移るため、料理にも使わないほうが賢明です。

一人で飲んでいると、味の言葉は増えにくい

ここからは、一人では届きにくい領域の話をします。

一人で飲み続けていると、あるところで言葉が止まります。美味しい。好き。前のほうがよかった。この三つから先に進みにくくなる。理由は単純で、比べる相手がいないからです。

味の違いは、並べた瞬間に見えてきます。私が会で飲み比べを組むときは、共通点を作るようにしています。同じ品種で産地を変える。同じ産地で年代を変える。樽の強いものと弱いものを並べる。そうすると「ここまで味わいが違うのか」という驚きが生まれます。その驚きが、そのまま言葉になっていきます。

もうひとつ、一人では起こりにくいことがあります。料理と合わせて飲むという経験です。単体で判断していたときには苦手だったワインが、料理と合わせた途端に飲めるようになる。そういう場面を現場で何度も見てきました。ワインが苦手なのではなく、その一本が一人で立たされていただけ、ということがあります。

一人で飲む夜を続けながら、月に一度だけ、比べる夜を挟む。私が一人飲みの方におすすめしたいのは、この組み合わせです。

一人で行けるワイン会の条件

とはいえ、どの会でもよいわけではありません。一人で申し込んで浮いてしまう会も、ワインより別の目的が主になっている会もあります。募集ページを開いたときに、次の五つが書かれているかを確かめてみてください。

確かめること一人で行きやすい会の目安
一人参加の割合実際の割合が書かれている
会の目的ワインそのものが目的だと明記されている
会話の設計自己紹介など、話し出すきっかけが用意されている
料理の有無料理があり、形式が書かれている
会費と内訳金額と、何が含まれるかが書かれている

書かれていない項目が多い会ほど、当日の中身も読みにくくなります。開示の量が、そのまま判断の材料になります。

七割は、ひとりで来ています

私は恵比寿で、毎月ワイン会を開いています。これまで開いてきた会を振り返ると、七割近くの方が、おひとりでのご参加です。

これは偶然ではなく、そうなるように組んでいます。一人で来ていただくことを前提に会を設計し、自己紹介の時間を置くなど、お互いが話し出しやすい入り口を用意しています。知り合い同士で固まってしまう会では、一人で来た方の居場所がなくなるからです。

参加される方は、30代から40代の方が多く、60代の方もいらっしゃいます。男女比はおよそ一対一。職業でいえば、経営者の方と会社員の方がおおよそ半々です。年齢も立場もばらばらですが、その日のワインという共通の話題が卓の真ん中に置かれているので、話は途切れません。

会の形は二つあります。

コース形式立食形式
中心にあるものペアリング交流
人数少人数多め
ワイン6杯10〜15本
料理コース7品ほどビュッフェ10品ほど

料理を召し上がりたい方にはコース形式を、たくさん話したい方には立食形式をおすすめしています。規模は8名から30名ほど。時間は19時から21時半という形が多く、土日の回も平日の回もあります。毎月テーマを立てていて、シャンパーニュだけの回や、フランスのワインだけでコースを組んだ回もありました。

会費は一回15,000円から30,000円。相場より上に位置しますが、その分をワインと料理の質に充てています。安い会に二回行くよりも、良い会に一回、という考え方です。ドレスコードは設けていません。少し綺麗目の装いの方が多いものの、気負わずにお越しいただければと思っています。

一人で飲む夜と、月に一度の卓

一人で飲む夜は、味と向き合う時間です。誰にも合わせず、同じ一本を三日かけて追いかけられる。人と飲む場では手に入らない時間です。

そのうえで、月に一度だけ卓を囲む。そこで得た言葉を持って、また一人の夜に戻る。この往復が、味の理解をいちばん早く深めてくれるというのが、私の実感です。

会ごとのテーマと日程は、その都度ご案内ページに掲載しています。興味を持たれた回にお越しいただく形が自然だと思っています。

会の内容や日程について詳しくお知りになりたい方は、公式LINEにてご案内しています。

まとめ

ワインを一人で飲む夜のために、お伝えしたことを整理します。

  • 一人で飲むことに、後ろめたさは要りません。一本と向き合える時間は、味を覚えるのに向いています
  • 750mlはグラスで六杯前後。三日でひと区切り、という配分が扱いやすくなります
  • 何日もつかは、日数ではなく残っている量で決まります。最後の一杯は、引き延ばさずに飲む
  • 三日かけて飲むなら、厚みのある白や赤、甘口が向きます。泡はその夜のうちに、グラスは二脚で
  • 月に一度だけ、比べる夜を挟む。一人では増えにくい言葉が、そこで増えていきます

今夜も一本を開けるのであれば、残りをどう配分するかだけ、先に決めてみてください。それだけで、三日目の一杯が変わります。

よくある質問

ワイン会に一人で参加すると、浮きませんか?

これまで開いてきた会では、七割近くの方がおひとりでのご参加でした。一人で来られることを前提に会を組み、自己紹介の時間など話し出すきっかけを用意しています。知り合い同士で固まる前提の会でなければ、おひとりのほうがむしろ動きやすいと感じています。

初対面の方とは、何を話せばよいですか?

その日のワインが、卓の真ん中に共通の話題として置かれています。どちらが好みか、何が違うと感じたか。感想を交わすところから自然に会話が始まります。話題を用意して臨む必要はありません。

お酒に強くないのですが、参加できますか?

飲み比べは量を競う場ではなく、違いを見つける場です。同じ品種で産地を変えるなど、共通点を作って並べるため、一口ずつでも違いは見えてきます。コース形式なら料理が一皿ずつ進むため、ご自分の速さで召し上がっていただけます。

Na Team Lab オーナーシェフ 川原壯太
ABOUT NA TEAM LAB Na Team Lab|株式会社Na Team

東京・恵比寿を拠点に、出張料理・店舗貸切・料理教室・ワイン会を展開。料理、ワイン、空間、その日の時間までを設計し、食を通して心に残る体験をつくっています。

執筆:(オーナーシェフ)。年間200件を超える出張料理・会食の経験をもとに、現場の視点をお伝えします。

私たちの理念・会社情報を見る →
掲載実績・参加者の声を見る →


一杯の違いを、料理とともに確かめる。

少人数のワイン会で、グラス、温度、料理との関係を実際に比べます。

出張料理を頼む前に読む(一覧)

TOP

Na Team Lab|東京・恵比寿

Na Team Labをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む

0