高級ケータリングを探していると、金額の幅の広さに戸惑うことがあります。お一人3,000円のものも、20,000円を超えるものも、同じ「ケータリング」という名前で並んでいるからです。

食材が違うのだろう、と考えるのが自然だと思います。けれども、年間200件を超える出張の食卓に立ってきた者として申し上げると、金額をいちばん大きく分けているのは食材ではありません。その料理が、どこで仕上がったかです。厨房で仕上げてから車に載せたのか、それとも会場で火を入れたのか。この違いが、届いたときの温度と、皿の上の景色を決めています。

SUMMARY

結論:高級ケータリングの「高級」は、食材の等級ではなく、料理が仕上がる場所と、そこに人がいるかどうかで決まります。 ケータリングというひとつの言葉には、仕上げた料理を届ける配達型、会場で仕上げて大皿に並べる会場仕上げ型、一皿ずつお出しする着席コース型の三つが入っています。 高級と呼ばれる帯にあるのは、そのうち後ろの二つです。料理人が会場に入り、火入れと盛り付けを現地で行い、片付けまで引き受けます。 この記事では、東京で高級ケータリングを頼むときに、金額の内訳と型の選び方をどう見ればよいかを整理します。

あわせて、出張シェフの到着から退出まで出張料理の料金に含まれるものもご覧ください。

高級ケータリングを分けているのは、食材ではなく温度と人です

高級ケータリングとは、料理を届けるだけでなく、料理人が会場で仕上げ、サービスまで含めて提供するケータリングを指します。東京での目安は一人あたり15,000円前後から。6名さまから16名さまほどの会食・接待・記念日で選ばれる形です。届ける型との最大の違いは、食べる瞬間の温度と、その場に人がいることです。

温度の話から始めます。事前に盛り付けて配送する形式では、提供の時点で料理は冷めています。これは業者の腕ではなく、構造の問題です。ソースは分離しはじめ、揚げ物は衣が湿り、肉は繊維が締まります。どれほど良い素材を使っても、この経路をたどれば味わいのピークは会場に届きません。

もうひとつが、人です。会場に料理人がいれば、ローストビーフをその場で切り分けられます。魚をその場でさばくことも可能です。目の前で仕上がる工程そのものが、会の一部になります。

そして人がいるということは、当日の判断ができるということです。会話が弾んで進行が遅れれば、次の皿を少し待たせます。乾杯が早く終われば、前菜を早めます。料理の時間を、会の時間に合わせられる。これは、届いた料理には決してできないことです。

ひとつの言葉に、三つの型が入っています

会場で仕上げて温度を保つケータリング料理
高級感は食材名だけでなく、仕上げる場所と提供温度に表れます。

ケータリングの相場が広く見えるのは、幅があるからではありません。ひとつの言葉に、設計思想の異なる三つの型が同居しているからです。

参考までに、市場全体の一般的な目安として整理すると、次のようになります。

一人あたりの目安料理の状態当日の人向く場面
配達型(オードブル・デリバリー)1,500〜3,000円仕上げた料理を届けるなし社内の軽い集まり、気軽な持ち寄り
会場仕上げ型(ビュッフェ)5,000〜10,000円現地で仕上げ・盛り付けあり交流が主目的の会、大人数のパーティー
着席コース型15,000円〜一皿ずつその場で提供あり会食、記念日、接待、少人数の集い

この表の数字は、市場一般の目安としてご覧ください。第三者の調査データではなく、私たちが現場で見てきた範囲の整理です。

高級ケータリングという言葉が指しているのは、下の二つの帯です。共通しているのは、料理人が会場に入るという一点。逆に言えば、人が会場に入らない限り、どれほど食材を上げても高級帯には届きません

型の選び方は、会の目的から逆算すると迷いません。交流を楽しみたい会には、立って動けるビュッフェが向きます。料理そのものをゆっくり味わいたい会や、参加者の年齢層が高い会には、着席コースが向いています。

その金額は、何に変わっているのか

お一人15,000円から22,000円という数字を前にすると、その内訳を知りたくなるのは当然でしょう。私たちがいただいている金額は、おおよそ四つのものに変わっています。

食材

想像しやすい部分だと思います。ただ、金額に占める割合は、多くの方が思っているほど大きくありません。良い素材は前提であって、それだけでは高級帯の説明になりません。

人の時間

会場で仕上げるということは、料理人がその日その時間、他のどこにもいないということです。仕込みに費やす前日までの時間、会場に立つ数時間、片付けて引き上げるまでの時間。高級ケータリングの金額の芯は、ここにあります

器と設え

私たちの場合、食材だけでなく、器、グラス、カトラリー、必要な調理道具まで一式を持参します。会場に何もなくても、卓の上には一夜分のレストランが立ち上がります。器の選び方や、高さを出す盛り付けで景色をつくれるのも、この持ち出しがあってこそです。

移動と仕込み

恵比寿の厨房から会場までの移動、そこにかかる時間と機材。この部分を「出張費」として別立てにしている事業者は少なくありません。

私たちは、そうしていません。お一人あたりいくら、という全込みの形でお伝えしています。食材費、出張費、機材費、人件費、後片付け。税とサービス料も含めた金額です。遠方への宿泊費や、会場の手配までお引き受けする場合の実費だけは、別途ご相談としています。

積み上げ方式では、最後の金額が読めません。全込みにしているのは、比べていただきやすくするためです。お客様からよくいただくのは、「出張料理なのに、お店にお願いするのとあまり金額が変わらない」という声です。

少人数ほど、高級が効く理由

高級ケータリングは、人数が少ないほど密度が上がります。一皿にかけられる手数が増え、出すタイミングを一人ひとりに合わせられるからです。

私たちの着席コースは、6名さまから16名さままでを承っています。この帯であれば、一皿ずつ、火を入れた順にお出しすることが可能です。温度のピークが、そのまま口に届きます。

16名さまを超えると、着席コースのハードルは急に上がります。ひとつは食器です。人数分の皿とグラスが足りなくなってきます。ふたつめは時間です。火入れから提供までの間隔が、どうしても伸びていきます。三つめは場所です。人数分を同時に仕上げるには、厨房側にもある程度の広さが要ります。

そのため17名さま以上は、基本的にビュッフェ形式でご提案しています。大皿で提供し、仕上げと盛り付けは現地で行う形です。お一人8,000円からで、50名規模まで承ってきました。着席コースとは設計思想が異なるサービスですので、単価だけを並べて優劣をつけるものではありません。

ただし、一律で着席コースが不可というわけでもありません。会場の設備が整っていれば、ご相談のうえでお受けできる場合があります。私が最初に確認するのは、いつも同じ二点です。テーブルに、お一人1枚ずつ皿が乗るか。椅子は足りるか。ここが満たせるなら、着席のご提案ができます。

高級ケータリングという言葉が本当に意味を持つのは、6名さまから16名さままでの帯だと考えています。

東京で頼むときに、先に聞いておきたい五つのこと

同じ「高級ケータリング」を名乗っていても、中身は事業者ごとにずいぶん違うものです。東京で比較されるときは、金額の前に次の五つを尋ねてみてください。答え方で、どの型のサービスかがはっきりします。

確認すること尋ね方答えから分かること
仕込みの場所どこで仕込み、どこで仕上げますか自社の厨房を持っているか。会場で火を入れるのかどうか
当日の人数変更直前に人数が動いたらどうなりますか現場での可変性。増減への構えがあるか
器の持参器やグラス、カトラリーは持ってきていただけますか金額に何が含まれているか。会場側の準備がどこまで必要か
ドリンクワインの手配や、持ち込みへの対応はできますか料理だけの提供か、卓全体を設計できるか
片付け終わったあとの洗い物とゴミはどうなりますか主催者の手が最後にどれだけ残るか

とくに最後の一問は、当日いちばん効いてきます。会が終わったあとに流し台の前に立つのか、見送りだけで済むのか。ここは事前に確かめておく価値があります。

恵比寿で仕込み、会場で仕上げる ― 私たちの型

私たちの拠点は、東京・恵比寿にある一日ひと組・八席のレストランです。出張の仕込みも、この厨房で行っています。

前日までに、火入れの手前までを仕上げておく段取りです。当日は食材と器を積んで会場へ向かい、到着からおよそ1時間で会食を始められる状態に整えます。そこから先は、レストランと同じ仕事です。

場所が変わっても、組み立ての軸は変えていません。5味のバランス、うま味の重ね方、塩のピーク。ワインとの同調と対比、そしてコースのリズム。私たちが9つの原則と呼んでいるものを、そのまま持ち込みます。恵比寿の八席でお出しする夜と、お客様の空間でお出しする夜のあいだに、設計の差はありません。

以前、タワーレジデンスのパーティールームで、イチゴをテーマにしたコースをお出ししたことがあります。前菜からデザートまでイチゴで通し、赤にエディブルフラワーの華やかさと、マイクロハーブの緑を重ねました。高さを出して盛り、夜景の見える会場を選び、ワインを合わせています。

このとき私が意識していたのは、映えることではありません。見た目が先に立って味わいが伴わない料理は、その場では歓声が上がっても、記憶には残らないからです。視覚の美しさは、味に裏付けられて初めて意味を持ちます。そう考えて組み立てています。

港区、渋谷区、中央区 ― 会場が変わると、動き方が変わります

東京で高級ケータリングを頼むとき、区が変わると会場の型が変わり、当日の段取りも変わります。私たちがよく伺う三つの区について、実際の動き方をお話しします。

港区 ― タワーレジデンスのパーティールーム

港区は、私たちの出張料理・ケータリングでもっともご依頼の多いエリアです。中心はタワーレジデンスのパーティールームで、麻布台ヒルズレジデンスをはじめ、名の知れたレジデンスに伺ってきました。30名規模のパーティーから、6名さまのフルコースまで幅があります。

パーティールームを使う際は、防災センターの許可が必要です。手続きに時間がかかることがあるため、当日は少し早めに現地へ入ります。この段取りさえ踏めば、搬入で困る場面はほとんどありません。

渋谷区 ― 厨房のある区

渋谷区は、私たちにとって配達エリアではなく地元です。厨房が恵比寿にあるため、広尾・代官山・恵比寿ガーデンプレイス周辺までは5分から10分、松濤・神山町・渋谷駅周辺までも15分圏に入ります。

移動が短いということは、仕上げた状態がほとんど落ちないまま会場に着くということです。通常のご相談は開催の二週間前までにお願いしていますが、渋谷区内に限っては、内容を絞れば前日や当日のご相談にも余地があります。仕込みと移動の段取りに、少しだけ余白が生まれるためです。

中央区 ― 湾岸のパーティールーム

中央区では、勝どきや晴海のパーティールームに伺ってきました。湾岸のタワーレジデンスは、パーティールーム自体が広く取られていることが多く、人数の幅を持たせやすい会場です。着席コースにするか、ビュッフェ形式にするか。この区では、その相談から始まることがよくあります。

会食の夜に、届いた料理を出さないという選択

大切な方をお招きする夜に、蓋を開けたら冷めていた、という時間を過ごしてほしくない。私たちが出張の仕事を続けている理由は、そこにあります。

Na Team Lab の高級ケータリングは、6名さまから16名さままでが着席コースで、お一人15,000円から。ワインペアリングを添える場合は22,000円です。1回のご依頼につき90,000円からで、いずれも税・サービス料・出張費を含んでいます。詳しくは出張料理のご案内をご覧ください。

ご相談は、開催の二週間前までにいただければ十分に組み立てられます。人数と日取りだけお決まりであれば、そこから一緒に考えることが可能です。Na Team Lab の世界観や、出張料理・ケータリングの詳細については、公式LINEにてご案内しています。

まとめ

  • 高級ケータリングの「高級」は食材の等級ではなく、料理が仕上がる場所と、その場に人がいるかどうかで決まる
  • ケータリングという言葉には三つの型が入っている。配達型、会場仕上げ型、着席コース型。高級帯にあるのは後ろの二つ
  • 一人あたりの金額は、食材よりも人の時間、器と設え、移動と仕込みに変わっている。全込みで示されているかどうかを見る
  • 着席コースが最も効くのは6名さまから16名さままでの帯。17名さまからはビュッフェ形式が基本で、会場設備が整えば着席も相談できる
  • 東京で頼むときは、仕込みの場所、人数変更、器の持参、ドリンク、片付けの五つを、金額より先に尋ねる

高級かどうかを決めているのは、値札ではありません。その夜、料理が誰の手で、どこで仕上がるか。東京で高級ケータリングを選ぶときの分かれ目は、たぶんそこだけです

よくある質問

高級ケータリングは何名から頼めますか?

Na Team Lab の着席コースは6名さまから16名さままでで、お一人15,000円からです。1回のご依頼につき90,000円からを承っております。17名さま以上はビュッフェ形式でのご提案となり、お一人8,000円から、50名規模まで対応が可能です。

器やカトラリーのない会場でも頼めますか?

お受けできます。食材のほか、器、グラス、カトラリー、必要な調理道具まで一式を持参します。キッチン設備は現地のものを使わせていただき、足りないものは持ち込みで対応する形です。終了後の片付けと引き上げまで含んでおります。

ワインは持ち込めますか?

お客様がご用意されたワインに合わせて料理を組み立てる形も承っております。こちらでワインペアリングをご用意する場合は、お一人22,000円です。どちらの形がよいかは、事前のお打ち合わせでご相談ください。

Na Team Lab オーナーシェフ 川原壯太
ABOUT NA TEAM LAB Na Team Lab|株式会社Na Team

東京・恵比寿を拠点に、出張料理・店舗貸切・料理教室・ワイン会を展開。料理、ワイン、空間、その日の時間までを設計し、食を通して心に残る体験をつくっています。

執筆:(オーナーシェフ)。年間200件を超える出張料理・会食の経験をもとに、現場の視点をお伝えします。

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ご依頼の前に、料理を確かめる体験ランチ。

出張料理をご検討中の方へ、恵比寿の店舗で料理をご体験いただけます。担当者様・役員の方々もご一緒に。1〜8名様 / お一人様15,000円(税込)・ドリンク込み / 約2時間・完全予約制。完全予約制・開始時間はご都合に合わせて調整。

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