「うちは自宅ではないのですが、それでもお願いできますか」

出張シェフへのお問い合わせで、こう前置きされることがあります。借りている店舗、行きつけのバー、普段は使っていない別邸。ご自宅ではない場所を思い浮かべながら、対象外かもしれないと考えて、送信の手前で止まってしまう。

けれど実際のところ、出張シェフのサービスで確認させていただくのは、その場所が「自宅かどうか」ではありません。熱源があるか、どれくらいの人数が座れるか。見ているのは、それだけです。

この記事では、私たちが実際にうかがった場所を挙げながら、なぜ箱が変わっても料理が成立するのかをお伝えします。

SUMMARY

結論:出張シェフのサービスは、ご自宅に限らず、店舗やバー、別邸などでも成立します。 出張シェフが持ち込むのは料理そのものではなく、その場に合わせてコースを組み直す設計です。 鉄板焼きの設備がある店舗ではフレンチのコースを、フルコースを想定していないバーのカウンターでは一夜の流れを仕立ててきました。 ご自宅へ、持ち運びできる電気式の鉄板をお持ちすることもできます。 この記事では、場所が変わっても味わいが成立する理由を、実際にいただいたご依頼を交えてお伝えします。

出張シェフのサービスとは、料理ではなく「場」を仕立てること

出張シェフのサービスを、料理の宅配の延長線上で捉えると、話が合わなくなります。

出張料理とケータリングは、しばしば同じものとして語られますが、構造が違います。ケータリングは仕上げた料理をお届けする形が一般的です。厨房で完成させたものを運ぶ以上、料理は「移動に耐える状態」で作られることになります。

私たちが大切にしているのは、運ぶのではなく、その場で仕立てるという考え方です。食材も器もグラスもカトラリーも持参して、お客さまの空間で火を入れ、その場で盛りつけます。

この違いは、味わいの話であると同時に、場所の自由度の話でもあります。

運ぶ前提であれば、届け先の環境は「料理を置ける場所」であればよく、逆に言えばそれ以上のことはできません。けれど現地で仕立てる前提であれば、その場所の条件に合わせて、コースそのものを組み替えられます。

だから、出張シェフのサービスは、一般に思われているより場所の制約が小さいのです。

自宅以外でうかがった、三つの場所

おろし金を使って、皿の上に削りかけている手元
仕上げは、その場で。だから箱を選びません。

実際にどんな場所でお受けしてきたのか。三つ挙げます。

鉄板焼きの店舗で、フレンチのコースを組み立てた

鉄板焼きのお店のオーナーから、ご相談をいただいたことがあります。

内容は、鉄板焼きのシェフがいない、というものでした。設備は目の前にある。けれどそれを扱う料理人がいないので、場所がもったいない。だから鉄板焼きを対応してほしい、と。

そこで私たちがしたのは、鉄板焼きの職人を送ることではありませんでした。フレンチのシェフが、鉄板という設備を使って、フレンチのコースを組み立てたのです。

鉄板焼きのお店で、鉄板焼きではないものを出す。奇をてらったわけではありません。鉄板を「鉄板焼きを作る道具」ではなく、「面で高温を当てられる調理器具」として見た、というだけのことです。

バーのカウンターで、フルコースを出す

バーは、フルコースを出すようには設計されていない箱です。

厨房は小さく、コース料理を順に組み立てていく前提の動線にはなっていません。それでも、バーでフルコースをお出しすることはできます。

カウンターという構造は、実は一皿ずつお出しするコースと相性が悪くありません。お客さまとの距離が近く、皿を置く呼吸まで見える。レストランの八席と、遠くない環境です。

ご自宅へ、電気式の鉄板を持ち込む

鉄板焼きは、設備のあるお店に出かけて食べるもの。多くの方が、そう考えていらっしゃると思います。

けれど、持ち運びできる電気式の鉄板があります。これをお持ちすれば、ご自宅でも鉄板を囲んでいただけます。

設備がある場所へ人が行く、という順序を、逆にできるということです。

なぜ、場所が変わっても成立するのか

三つの例に共通しているのは、設備をジャンルとして見ていないという点です。

鉄板は鉄板焼きのための道具、オーブンは焼き菓子のための道具。そう区切ってしまうと、その設備がある場所では、その料理しか作れなくなります。

そしてもうひとつ。私たちが持っている軸は、箱が変わっても変わりません。

Na Team Labには、9つの原則があります。5味のバランス、うま味の重ね方、塩のピーク。ワインの品種や産地。同調と対比、コースのリズム。これらは、恵比寿の八席でも、お客さまのご自宅でも、鉄板焼きの店舗でも、同じように働きます。

変わるのは、その原則を成立させるための手段のほうです。

キッチンの条件についても、考え方は同じです。私たちは事前にうかがって、設備として無いものは持っていきます。熱源が一切ない部屋であれば、カセットコンロをお持ちします。冷蔵庫がなければ、可動式の冷蔵庫をお持ちすることもできます。器やグラスも同様です。

ただし、「何でも当日どうにかなる」という話ではありません。設備の条件によって、お出しできる料理の内容そのものが変わってきます。だからこそ、最初にご相談いただく流れが望ましいのです。

箱に合わせて、設計を編み直すということ

私は、場所を制約としてではなく、条件として見ています。

制約と捉えると、「ここでは、あれができない」という引き算になります。条件と捉えると、「ここでは、こう組み立てられる」という設計の話になります。同じ状況を見ていても、出てくる答えが変わります。

鉄板焼きのお店でフレンチをお出ししたときも、頭の中でしていたのは、その鉄板でどこまで表現できるかを測り直す作業でした。面で高温を当てられるということは、香ばしさを立ち上げやすいということです。ではその香ばしさを、コースのどこに置くか。前に置くのか、後半の余韻に回すのか。

編み直すのは設計であって、料理の芯ではありません。

そしてもうひとつ、お伝えしておきたいことがあります。

料理人が急に抜けてしまって、どうしても営業をつながなければならない日。そうした日のご依頼も、出張料理としてお受けしています。そういう相談も届く、ということだけ書き添えておきます。

ご相談のときに、伝えていただきたいこと

対応できるかどうかを判断するために、事前にうかがいたいことがあります。難しいことではありません。

  • 場所の種類(ご自宅/店舗/バー/別邸/パーティールームなど)
  • 熱源とコンセントの有無(IHが1口あれば成立します)
  • 人数と、当日に増える可能性があるかどうか
  • アレルギーと苦手な食材

最後のアレルギーについては、できるだけ早くお知らせいただけると助かります。重度のアレルギーをお持ちの方がいらっしゃる場合、その食材を使わないというだけでは足りず、調理器具や調理の順序まで含めて設計を変える必要があるためです。

人数についても、当日に1〜2名増えることは珍しくありません。料理は現地で仕立てるので融通が利きますが、器やグラスは後から増やせません。早めにお知らせいただければ、そこも含めてお持ちできます。

なお、出張料理のサービスは東京都内を基本の対応エリアとしています。コース形式は6〜16名さま、お一人 15,000円〜(ワインペアリング付は 22,000円/税・サービス料・出張費込)が基準です。17名さまを超える集いには、ビュッフェ形式でのご提案もしています。

まとめ

  • 出張シェフのサービスで確認するのは、場所が自宅かどうかではなく、熱源とスペースの条件です
  • ケータリングが「運ぶ」形であるのに対し、出張シェフは「その場で仕立てる」形なので、場所の自由度が高くなります
  • 鉄板焼きの店舗、バーのカウンター、ご自宅への電気式の鉄板の持ち込みなど、箱を選ばずお受けしてきました
  • 設備をジャンルではなく熱源として見ることで、その場所でできる料理の幅が変わります
  • ただし条件によって内容は変わるため、最初にご相談いただく流れが望ましい形です

次のアクション

「この場所でもお願いできますか」。そう前置きされるご相談を、これまで何度もいただいてきました。

対応できるかどうかだけでも構いません。場所の種類と、熱源の有無。分かる範囲でお聞かせいただければ、その条件で何ができるかをお答えします。

Na Team Lab の出張料理やレストランの詳細は、公式LINEにてご案内しています。

よくある質問

出張シェフは自宅以外の場所でも頼めますか?

はい。ご自宅のほか、店舗やバー、別邸などへうかがった実績があります。出張シェフのサービスは現地で仕立てる形のため、場所の種類よりも、熱源やスペースの条件を確認させていただく形になります。

出張シェフとケータリングは何が違いますか?

ケータリングは仕上げた料理をお届けする形が一般的で、出張シェフは当日その場でコースを仕立てる形です。火入れも盛りつけも現地で行うため、その場所の条件に合わせてコースを組み直せる点が、大きな違いになります。

鉄板のような設備がない場所でも大丈夫ですか?

持ち運びできる電気式の鉄板をお持ちすることができます。熱源が一切ない部屋にはカセットコンロを、冷蔵庫がない場合は可動式の冷蔵庫をお持ちすることも可能です。条件は事前にご相談ください。

Na Team Lab オーナーシェフ 川原壯太
ABOUT NA TEAM LAB Na Team Lab|株式会社Na Team

東京・恵比寿を拠点に、出張料理・店舗貸切・料理教室・ワイン会を展開。料理、ワイン、空間、その日の時間までを設計し、食を通して心に残る体験をつくっています。

執筆:(オーナーシェフ)。年間200件を超える出張料理・会食の経験をもとに、現場の視点をお伝えします。

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箱は、選びません。

ご自宅でも、店舗でも、バーのカウンターでも、ショールームでも伺います。器もグラスもカトラリーも調理道具も携えて参りますので、その場に何が揃っているかは問いません。キッチンはIHが1口あれば成立します。会場の条件を先に共有していただければ、その条件のためにコースを組み直してから伺います。

▶ 出張料理を頼む前に読む(一覧)

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Na Team Lab|東京・恵比寿

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