結論:ワインの栓の代用は、ラップを二重にして輪ゴムで留めるのがいちばん手軽です。 それで1〜2日はもちます。コルクは上下を返して乾いた側を差せば入ることが多く、 より長く置くなら市販のストッパーを使い、立てて冷蔵庫へ。 ただし本当に効くのは、栓そのものよりも、ワインが空気に触れる面積を減らすことです。 残りが少ないほど酸化は速く進みます。栓を探す前に、瓶の中に残っている空気の量を見てください。
あわせて、開けたワインは何日もつのか 保存は日数ではなく残量で決まるとワインの酸化は、悪いことばかりではないもご覧ください。
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グラスを二杯ほど飲んで、今夜はここまでにしよう、と思う。抜いたコルクを瓶の口に戻そうとすると、入りません。力をかけても、途中で止まる。あるいは、栓そのものがどこかへ消えている。
そういうとき、たいていの記事は「専用のストッパーを買いましょう」と書いています。もちろんそれは正しいのですが、今夜の台所では役に立ちません。必要なのは、いま手元にあるもので済ませる手順です。
結論から申し上げると、ワインの栓は家にある物で代わりになります。 そして、もうひとつお伝えしたいことがあります。栓の善し悪しよりも、ワインが空気に触れている面積と、置く温度のほうが、翌日の味を大きく左右します。 この記事では、代用の具体的な手順から、その先の考え方までをお話しします。
結論:家にある物でできる代用3つ
まず、台所でできることを三つ並べます。上から順に手軽で、下へ行くほど効きます。
| 手段 | 必要なもの | もつ目安 |
|---|---|---|
| ラップと輪ゴム | ラップ、輪ゴム | 1〜2日 |
| コルクを上下返して差す | 抜いたコルク | 1〜2日 |
| 小さな容器に移し替える | 空のペットボトルや小瓶 | 2〜3日 |
ラップを二重にして、輪ゴムで留める
いちばん手軽な方法です。ラップを十五センチほど切り、二重に重ねて瓶の口にかぶせます。瓶の首に沿わせてから、輪ゴムで一周留める。これで、口から入る空気はかなり減ります。
一重だと、持ち上げたときに破れることがあります。二重にするのは、強度のためです。 留めたあとは立てて冷蔵庫へ。横に寝かせると、ラップの隙間から漏れます。
コルクは、上下を返して差す
コルクが戻らないのは、腕の問題ではありません。ワインに浸かっていた側が、水分を含んで膨らんでいるからです。
ですから、上下を返してください。栓として瓶の外に出ていた側、つまり乾いたままの側から差すと、たいてい入ります。少し斜めに当てて、回しながら押し込む。きれいに入らなくても、口が隠れていれば役目は果たします。
それでも入らないときは、無理をしないでください。瓶の口は薄く、力をかけすぎると欠けることがあります。押し込むより、ラップに切り替えるほうが安全です。 コルクそのものが折れてしまった場合の対処は、ワインのコルクが折れた・抜けないときにまとめました。
なお、スクリューキャップのボトルなら、この悩みは起きません。スクリューキャップのワインの利点のひとつは、手で閉め直せることです。残す前提で買うなら、栓の種類も選ぶ手がかりになります。
小さな容器に移し替える
三つの中でいちばん効くのは、これです。残ったワインを、サイズの合う小さな容器に移し替える。 空のペットボトル、小さめの瓶、どちらでも構いません。
理由は単純で、容器が小さければ、ワインの上に残る空気が少なくなるからです。ペットボトルなら、少し押して空気を抜いてからキャップを締められます。半分残った七百五十ミリリットルのボトルより、満杯の三百五十ミリリットルの容器のほうが、翌日の表情が保たれます。
ひと手間かかりますが、この一手が後の章の核心につながります。
100円ショップのストッパーと、真空ポンプ
専用の道具についても触れておきます。選択肢として知っておく価値はあります。
ワインストッパー。 100円ショップでも手に入ります。シリコンやゴムで瓶の口を押さえる形のものが多く、ラップより確実に閉まり、何度でも使えます。残すことが月に何度もあるなら、引き出しに一つ入れておくと手間が減ります。
真空ポンプ。 専用の栓を差し、ポンプで瓶の中の空気を抜く道具です。空気を減らすという考え方は理にかなっています。ただし完全に真空になるわけではなく、使い方によって効き方に差が出ます。
不活性ガス。 瓶の中にガスを吹き込み、ワインの上に蓋のような層を作ります。考え方としては、これがいちばん確実な方向です。
ここで、店の側の話を一つ。Na Team Lab では、特別な保存の道具を使っていません。 一日ひと組の店で、一本開けたらその日に飲み切ることが多いためです。残す前提がないので、道具が要らない。
一方で、本格的なバーは違います。アルゴンガスを注入し、針を刺したところを蝋で密閉するという方法を取っている店があります。これが最も酸化せず、長持ちします。グラス売りのために何日も同じボトルを使う必要があるなら、そこまでやる意味があるのです。
つまり、道具の必要度は「どれだけ長く保たせたいか」で決まります。明日の夜までなら、ラップで足ります。開けたワインの保存方法では、置き場所の考え方も含めて整理しています。
スパークリングの場合
泡だけは、事情が違います。守るべきものが二つあるからです。酸化と、炭酸の抜け。
ラップと輪ゴムでは、炭酸を押さえきれません。瓶の中の圧力が高いので、紙やラップでは持ち上がってしまいます。ここは、シャンパン用のストッパーが明確に有利な場面です。 瓶の口に金具で噛ませる形のもので、内側の圧力を受け止める構造になっています。
手元にない場合は、できることが二つあります。ひとつは、すぐ冷蔵庫に戻すこと。 温度が低いほど、炭酸ガスは液体に溶けていようとします。冷えた泡のほうが抜けにくいのは、このためです。もうひとつは、炭酸飲料用のペットボトルに移し替えて、キャップを締めること。 炭酸用のボトルは圧力に耐える構造なので、瓶のまま置くより泡が残ります。
それでも、泡は翌日には穏やかになります。泡、軽めの白、軽めの赤は、酸化を感じやすい傾向があります。 開けた日のうちに飲み切る前提で選ぶのが、いちばん気持ちのよい付き合い方だと考えています。造りによる違いはシャンパンとスパークリングワインの違いに書きました。
栓より大事なこと ― 空気に触れる面積と、温度
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
ワインを残したときに起きているのは、酸素との接触です。栓は、そこへ新しい空気が入るのを減らす役目を持っています。けれど、瓶の中にすでに入っている空気は、栓では追い出せません。
私がいつも見ているのは、栓の種類ではなく、残量です。
- 一、二杯しか飲んでいない、つまり瓶にたくさん残っている状態なら、酸化の進み方はゆっくりです
- 残りが一杯だけという状態なら、酸化の速度は速く、翌日でも変化を感じることがあります
同じ栓、同じ冷蔵庫でも、残量が違えば結果は変わります。ですから「どの栓を使うか」より先に、「ワインの上にどれだけ空気が残っているか」を見ていただきたいのです。 これが、三つめの代用手段として「小さな容器に移し替える」を挙げた理由です。
もうひとつが温度です。温度を下げると酸や輪郭が立ち、上げると香りや甘み、厚みが出てきます。この一方向の関係は、残したワインにもそのまま当てはまります。冷蔵庫に立てておくのは、酸化の進み方を鈍らせるためと、翌日に味わいの輪郭を残すためです。
ただし、冷蔵庫から出してすぐ注ぐと、冷たすぎることがあります。とくに樽を使った厚みのある白は、四、五度では香りがほとんど立ちません。飲む十五分ほど前に出しておく。この程度の管理で足ります。温度の扱いはワインの適温に詳しく書きました。
栓は、空気の入口を細くする道具です。温度は、時間の進み方を遅くする手段です。 そして残量は、そのどちらよりも先に効きます。順番を間違えないことが、翌日の一杯を守ります。

結局、何日もつのか
いちばん知りたいのは、ここだと思います。先に、一般に言われている目安を並べます。
| タイプ | 一般的に言われる目安 |
|---|---|
| スパークリング | 1〜2日 |
| 白 | 3〜5日 |
| 赤 | 4〜7日 |
| 酒精強化(ポートなど) | 1か月程度 |
この表は、世の中で広く共有されている目安です。買い物の判断には使えます。ただ、私の実感では、この日数を信じきらないほうがよいと考えています。
理由は先ほどの通りで、開栓後の変化は日数ではなく残量で決まるからです。半分残した白が四日後においしく飲めることもあり、残り一杯だった赤が翌日に痩せていることもあります。ですから「何日もつか」は、残念ながら断言できません。
もうひとつ、知っておくと気が楽になる話があります。酸化は、悪いことばかりではありません。
- 泡、軽めの白、軽めの赤 … 酸化を感じやすい傾向があります
- 重めの白、重めの赤 … 酸化したほうが開いてきて、おいしくなる場合もあります
しっかりした赤を開けた翌日、香りが広がって前日より飲みやすくなっていた、という経験をお持ちの方もいるはずです。あれは失敗ではなく、時間が働いた結果です。酸化そのものの仕組みはワインの酸化に、劣化の見分け方はワインに賞味期限はあるのかにまとめました。
判断の仕方は単純です。日数を数えるのではなく、一口飲んで決める。 酸が立って果実の香りが遠くなっていたら、グラスではなく鍋へ回します。
飲み切れなかったワインの使い道
味が落ちてしまったワインは、捨てる前に台所へ回してください。料理用のワインとして、そのまま働きます。
香りの立ち上がりが鈍くなっていても、酸と糖、わずかな渋みは残っています。煮込みに入れれば、それらは料理側の骨格になります。
- 赤 … 牛や豚の煮込み、ソースのベース、果物のコンポート
- 白 … 魚介の蒸し煮、鶏の煮込み、ソースの酸の調整
- 泡 … 抜けた泡は白ワインと同じ扱いで使えます
赤ワインのソースの作り方は赤ワインソースの作り方に書きました。火を入れればアルコールは飛び、酸と香りが残ります。
ただし、回してはいけないものもあります。香りが明らかに汚れているもの、酢のようになってしまったものは、料理にも使いません。 煮詰めると、その汚れた香りが濃くなって皿に残ります。判断に迷ったら、匂いを嗅いでみてください。鼻が嫌がるものは、鍋も嫌がります。
あなたのタイプなら、残った1杯はこう扱う
残したワインとの付き合い方は、好みの方向によっても変わります。5分のワイン診断で出る品種タイプごとに、扱い方の見当をつけておきます。
- ミネラルとキレが好きな方 … シャブリのタイプ。酸と輪郭が持ち味なので、翌日までに飲み切るほうが気持ちよく飲めます
- 柑橘とハーブが好きな方 … ソーヴィニヨン・ブランのタイプ。香りが主役なので早めに
- キリッとした酸と花が好きな方 … リースリングのタイプ。冷やして立てておけば、酸が輪郭を守ってくれます
- バターとコクが好きな方 … 樽熟成シャルドネのタイプ。厚みのある白は、二日目に開いてくることもあります
- 赤い果実と軽やかさが好きな方 … ピノ・ノワールのタイプ。軽い赤は酸化を感じやすいので、残量を減らす工夫が効きます
- カシスと力強さが好きな方 … カベルネ・ソーヴィニヨンのタイプ。二日目のほうが香りが広がる場合があります
これはあくまで仮説です。同じボトルを初日と二日目に飲み比べて、はじめて分かります。 Na Team Labでは毎月テーマを立ててワイン会を開いています。開けた一本をその場で飲み切る会なので、残す心配はありません。コース料理とともに6杯を合わせる会と、10〜15本を並べて立食で楽しむ会の2つの形式があります。これまでの会では、7割近くの方がお一人で参加されています。品種ごとのガイドは公式LINEでご案内しています。

まとめ
ワインの栓の代用は、買い物をしなくても成立します。
- ラップを二重にして輪ゴムで留める。立てて冷蔵庫へ。1〜2日はもちます
- コルクは上下を返し、乾いていた側から差すと入ることが多いです
- いちばん効くのは、小さな容器に移し替えて空気を減らすこと
- 100円ショップのストッパーも真空ポンプも使えますが、必須ではありません
- スパークリングは専用のストッパーが有利。手元になければ、すぐ冷やすか炭酸用のボトルへ
- 栓より先に効くのは、残量と温度。残りが少ないほど酸化は速く進みます
- 「何日もつ」は断言できません。日数ではなく、一口飲んで決めてください
- 味が落ちたら料理用に回します。香りが汚れているものは鍋にも使いません
次に一本残したときは、栓を探す前に、瓶の中の空気を見てみてください。見るべきところが変わると、手当ても変わります。
よくある質問
ワインの栓がない場合はどうすればいいですか?
ラップを二重に重ねて瓶の口にかぶせ、輪ゴムで留めてください。立てて冷蔵庫に入れれば、軽めの白や赤なら1〜2日は楽しめます。残りが少ないときは、小さな容器に移し替えて空気に触れる面積を減らすほうが効きます。
100円ショップのワインストッパーでも大丈夫ですか?
十分に役目を果たします。シリコンやゴムで口を押さえる形のものが多く、ラップより確実に閉まります。ただし栓の性能よりも、残量と温度のほうが味わいへの影響は大きいと私たちは考えています。
コルクが膨らんで戻らないときはどうしますか?
ワインに浸かっていた側は膨らんで戻りにくいので、上下を返し、乾いていた側から差してみてください。それでも入らなければ無理に押し込まず、ラップと輪ゴムに切り替えるほうが安全です。
スパークリングワインの栓がないときはどうすればいいですか?
ラップと輪ゴムでは炭酸を押さえきれないため、シャンパン用のストッパーが有利です。手元にない場合は、すぐ冷蔵庫に戻すか、炭酸飲料用のペットボトルに移し替えてキャップを締めてください。それでも泡は翌日には穏やかになります。
一杯の違いを、料理とともに確かめる。
少人数のワイン会で、グラス、温度、料理との関係を実際に比べます。

