十二月に入り、忘年会の案内が回ってくる。出欠の返信を済ませたあとで、幹事から一言が届く。「当日、乾杯の音頭をお願いできますか」。
その瞬間から、少し気が重くなる方は多いのではないでしょうか。何を話せばいいのか、どのくらいの長さが適切なのか。うまいことを言わなければと思うほど、言葉は出てきません。
結論から申し上げると、忘年会の挨拶は三十秒で足ります。伝えることも三つだけです。この記事では、乾杯・締め・幹事・一言という四つの場面の例文を、立場別にまとめました。当日そのまま読み上げていただいても構いません。
結論:忘年会の挨拶は、感謝・一年の総括・来年への言葉の3つを、30秒程度にまとめるのが基本です。 乾杯の挨拶は役職の二番手、締めの挨拶は最上位の方、開会と二次会の案内は幹事が担うのが一般的な慣例です。 立場が変わっても、伝えることは変わりません。変わるのは長さだけです。 この記事では、乾杯・締め・幹事・一言という四つの場面について、そのまま使える忘年会の挨拶の例文を立場別にまとめました。
挨拶を会全体のどこに置くかは、忘年会の司会進行と2時間のタイムテーブルで確認できます。忘年会の目的や由来は、年の終わりに開く会の考え方で解説しています。
忘年会の挨拶は三十秒 伝えることは三つだけ
忘年会の挨拶に必要な要素は、次の三つです。
- 集まってくれたことへの感謝
- 一年の総括
- 来年への言葉
この三つが入っていれば、挨拶は成立します。逆に言えば、三つ以外を足そうとした瞬間から、挨拶は長くなり始めます。
三十秒という目安にも理由があります。日本語を人前で話すと、三十秒でおよそ百五十字。聞く側が集中して聞ける限界に近い長さです。グラスを持ったまま聞く乾杯の場面では、この制約がさらに厳しくなります。耳に残るのは、長い話ではなく、短くて温度のある言葉のほうです。
この記事の例文は、すべて三十秒から一分に収めています。
忘年会で、誰がどの挨拶をするのか

挨拶を任されたとき、最初に確かめたいのは「自分の挨拶が、会のどの位置に置かれているか」です。場面ごとに、担う立場と適切な長さは変わります。
| 場面 | 担うことが多い立場 | 長さの目安 |
|---|---|---|
| 開会の挨拶 | 幹事、または最上位の方 | 30秒 |
| 乾杯の挨拶 | 役職の二番手 | 30秒 |
| 中締め | 中堅・管理職 | 30秒 |
| 締めの挨拶 | 最上位の方 | 1分 |
| 二次会の案内 | 幹事 | 20秒 |
開会を最上位の方が務めたなら、乾杯はその次の立場の方が担う。挨拶が一人に集中しないよう、会の始まりを分け合う考え方です。締めの挨拶だけは会全体を受け止めて閉じる役割があるため、最上位の方が担い、一分程度まで許されます。
ただし、これらは一般的な慣例です。少人数の会や社外の方を交えた会では、その場に合う方にお願いして構いません。
乾杯の挨拶の例文 役員・管理職・若手
乾杯の挨拶は、忘年会でもっとも短くてよい挨拶です。全員がグラスを持って立ったまま聞くため、長さがそのまま負担になります。三十秒、百五十字前後を上限と考えてください。例文の◯◯には、その年にあった出来事や、来年の目標を入れてお使いください。
役員・上位者が乾杯を任されたとき
本日はお忙しいなか、お集まりいただきありがとうございます。今年は◯◯という大きな山がありましたが、一人ひとりが持ち場を守ってくださったおかげで、こうして年末を迎えることができました。来年も、引き続き力を貸してください。それでは、一年の労をねぎらいまして、乾杯。
上位者の乾杯は、労をねぎらう言葉が中心です。成果を数え上げるより、「持ち場を守ってくださった」の一言のほうが広く届きます。
管理職が乾杯を任されたとき
ご指名いただきましたので、僭越ながら乾杯の音頭をとらせていただきます。今年も一年、お疲れさまでした。細かい話は明日からということにして、今日はゆっくり召し上がってください。来年もよい一年になりますように。乾杯。
中間の立場では、「仕事の話をここで終わらせる」という宣言が効きます。
若手が乾杯を任されたとき
若輩者ですが、ご指名いただきましたので務めさせていただきます。今年は分からないことばかりで、たくさん助けていただきました。ありがとうございました。来年は、少しでもお返しできるよう努めます。それでは、乾杯。
若手の乾杯で背伸びをする必要はありません。助けてもらった事実を素直に述べれば十分です。
締めの挨拶の例文 一本締めと三本締め
締めの挨拶は、会を受け止めて閉じる役割を持ちます。乾杯より少し長く、一分程度まで許される場面です。
締めの挨拶の基本の型
そろそろお時間となりました。本日はお集まりいただき、ありがとうございました。今年は◯◯に取り組んだ一年でした。思うように進まない時期もありましたが、こうして無事に年を越せそうです。来年は◯◯を目標に、また一緒に進んでいければと思います。年末年始は、どうぞご自愛ください。それでは、来年もよい一年になりますよう、一本締めで締めさせていただきます。
順番は、感謝、一年の総括、来年への言葉、体調への気遣い、手締めの案内。入れ替えるだけで毎年使えます。
一本締め・三本締めの前口上
手締めを行う場合は、挨拶の最後に前口上を添えます。呼びかけの言葉は、次の形が広く使われています。
それでは、お手を拝借いたします。いよーお。
一本締めは、この掛け声のあとに手を一回打ちます。関東では「一丁締め」とも呼ばれ、短く切り上げたい会に向いた形です。三本締めは、「よーお」の掛け声のあとに三拍・三拍・三拍・一拍を打ち、これを三回繰り返します。手数が多い分だけ場が締まるため、規模の大きな会や区切りの年に選ばれます。
手締めをしない場合の締め方
近年は、手締めを行わずに閉じる会も増えています。その場合は、次のように結んで構いません。
本日はこれにてお開きとさせていただきます。お忘れ物のないよう、お気をつけてお帰りください。一年間、ありがとうございました。
手締めがないと締まらないということはありません。最後の一言が短く、はっきりしていれば、会はきちんと終わります。
幹事の挨拶の例文 開会・お礼・二次会の案内
幹事の挨拶は、内容よりも情報の正確さが求められます。時間、場所、会費、次の予定を迷わせないことが役割です。
開会の挨拶
本日は年末のお忙しいなか、お集まりいただきありがとうございます。幹事を務めます◯◯です。お料理とお飲み物は◯時◯分までご用意しております。どうぞご自由にお取りください。それでは、乾杯のご発声を◯◯部長にお願いいたします。
終了時刻と料理の案内、そして乾杯を誰に渡すか。この三点が入っていれば、参加者は何も迷いません。
会の途中でのお礼と案内
お食事は進んでいらっしゃいますでしょうか。お料理はまだ十分にございますので、どうぞお取りください。あと三十分ほどでお開きの時間となります。まだお話しされていない方も、ぜひこの機会に。
中盤の声かけは、料理の残量と残り時間を伝えるためのものです。
二次会の案内
本日はありがとうございました。このあと二次会を、◯時から◯◯にて予定しております。会費は◯◯円です。ご参加の方は、出口で私にお声がけください。ご都合のある方は、どうぞお気になさらずお帰りください。
最後の一文が大切です。参加しない選択がしやすい言い方にしておくと、断る側の負担が消えます。
一言だけ振られたときの三文の型
会の途中で不意に指名されることがあります。「◯◯さん、一言お願いします」。この場面で使えるのが、三文の型です。
- 一文目:お礼を述べる
- 二文目:一年の出来事を一つだけ挙げる
- 三文目:来年への言葉で結ぶ
今年一年、ありがとうございました。夏の繁忙期は苦しい時期もありましたが、周りに助けていただいて乗り切ることができました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。
これで約八十字、二十秒ほどです。二文目の出来事を一つに絞ることが、この型の鍵になります。二つ、三つと挙げ始めると、話は際限なく伸びます。
出来事が浮かばないときは、季節を手がかりにしてください。立ち上がる前に三文の骨組みだけ頭に置けば、不意の指名は乗り切れます。
避けたい忘年会の挨拶
挨拶で失敗が起きるのは、たいてい次の四つのいずれかです。
長い挨拶。 三分を超えると、料理は冷め、後ろのほうの参加者は聞くことをやめます。話し手が思う「ちょうどよい長さ」は、聞き手には長すぎることがほとんどです。
説教になる挨拶。 一年の反省や来年への要望を、この場で伝える必要はありません。忘年会は労をねぎらう場です。改善の話は、日を改めたほうが届きます。
内輪ネタ。 一部の人だけが分かる話は、その場を二つに分けてしまいます。初参加の方や社外から招かれた方にとって、内輪の笑いほど居心地の悪いものはありません。
お酒の強要。 飲み方を指示したり、飲めない方に飲酒を促したりする言い方は避けてください。「それぞれのお飲み物で」と一言添えるだけで、その場の全員が同じ乾杯に加われます。
この四つを外すだけで、挨拶はほぼ成功します。
挨拶の間に、料理は冷めていないか
ここからは、料理を出す側の視点でお伝えします。
私たちは出張料理として、忘年会の現場に伺ってきました。タワーマンションのパーティールームで七十名規模、丸の内のクラブラウンジで三十名規模、特に大切な方に招待を限定した十名規模の会。人数も会場も異なりますが、どの会でも挨拶と料理は同じ時間の中にあります。
乾杯の時点で、フィンガーフードやアミューズはご用意しています。五十名くらいまでの会なら、最初から全ての料理を並べてしまうこともあります。卓が整っていれば、話が終わった瞬間から食事に入っていただけるからです。
挨拶が長引いたら、と気にされる主催者の方は少なくありません。そこはご心配なさらなくて大丈夫です。温かいものは保温できる設備を持参するか、様子を見て直前に火を入れます。 挨拶の長さに料理を合わせるのが、私たちの仕事です。
規模によって形式は変わります。十名なら着席のフルコース、三十名・七十名の会は基本的にビュッフェ形式です。それでも着席のフルコースで、というご依頼には、綿密に計画を組んで臨みます。
締めの挨拶に合わせてご用意できるものもあります。事前にご依頼いただければ、締めのタイミングで王のティラミスをお出しできます。年の終わりの言葉と、その日の最後の甘みが重なる。それも一つの締め方だと考えています。
会を開き慣れていない主催者の方から、当日の流れそのものをご相談いただくことも珍しくありません。
まとめ
忘年会の挨拶について、この記事でお伝えしたことを整理します。
- 挨拶に必要なのは、感謝・一年の総括・来年への言葉の三つだけ
- 乾杯は三十秒、締めは一分。それ以上に長くする必要はない
- 乾杯は役職の二番手、締めは最上位の方、開会と二次会の案内は幹事が担うのが慣例
- 一言だけ振られたときは、お礼・出来事一つ・来年への言葉の三文で足りる
- 長い挨拶、説教、内輪ネタ、お酒の強要。この四つを避ければ挨拶は成立する
忘年会の挨拶の例文は、そのまま使っていただいて構いません。短くした分の時間は、目の前の方との会話に返してください。一年の終わりに確かめたいのは、うまい挨拶ではなく、その人と過ごした一年のほうだと思います。
忘年会のご相談は、公式LINEから
挨拶の順番も、料理の形式も、会場が決まる前の段階からご相談いただけます。人数や進行に合わせて、当日の流れごとに組み立てることもできます。Na Team Lab の出張料理・ケータリングの詳細とお問い合わせは、公式LINEにてご案内しています。
よくある質問
忘年会の挨拶はどのくらいの長さが適切ですか?
乾杯の挨拶は30秒、締めの挨拶は1分程度が目安です。日本語を人前で話すと、30秒でおよそ150字になります。長さよりも、感謝・一年の総括・来年への言葉の3要素が入っているかを基準にしてください。
忘年会の挨拶に面白い話は必要ですか?
必要ありません。笑いを取ろうとするほど話は長くなり、内輪の話題は初参加の方を置き去りにします。短く、その場の全員に向けた言葉のほうが、結果として好意的に受け取られます。
乾杯の発声は誰がするのが一般的ですか?
開会の挨拶を最上位の方が務めた場合、乾杯は役職の二番手にあたる方が担うのが一般的です。少人数の会や社外の方を交えた会では、この慣例にこだわらず、その場に合う方にお願いして構いません。
挨拶のあとに、温かい料理を。
乾杯や締めの時刻に合わせて火入れと提供を調整します。少人数の着席コースから大人数のビュッフェまで、会場と進行に合わせて仕立てます。
