自分に合う赤のタイプは5分で確かめられます(無料・全30問)。ワイン診断はこちら
赤ワインを一口飲んで、口の中が乾くような渋みに驚いたことはないでしょうか。白は飲めるけれど、赤はどうも苦手。そう感じている方は少なくありません。
赤ワイン初心者の方がつまずくのは、渋みと重さのある赤から入ってしまったことが多いからです。赤ワインの幅は広く、軽いものから重いものまで並んでいます。その並びを知らないまま一本を選ぶと、いちばん強いところに当たることがあります。
この記事では、赤ワインを渋みと重さの軽い順に5つ並べます。そのうえで、渋みを料理と温度で和らげる方法をお話しします。入門全体の見取り図はワイン初心者が最初に持つ三つの軸の記事にありますので、本記事は赤だけを扱います。
結論:赤ワイン初心者は、渋みと重さが軽い順に選ぶと外しにくくなります。 最初の1本は、渋みが穏やかで果実味のあるピノ・ノワールかメルロから始めます。 慣れてきたらシラー、カベルネ・ソーヴィニヨンへと進み、酸と渋みの強いネッビオーロは別枠として考えます。 少し冷やして、肉の脂や塩気のある料理と合わせると、同じ一本でも渋みはやわらぎます。 赤ワインが苦手だと感じていた方も、品種と温度と料理の3つを変えるだけで印象が変わります。
あわせて、ワイングラスを形から選ぶとワインペアリングの組み立て方もご覧ください。
「赤が苦手」の正体は、渋みと重さ
赤ワインが苦手だという声を分解すると、たいてい2つに分かれます。
渋み(タンニン)
ぶどうの皮や種から出る成分で、口の中の水分を奪うような乾きとざらつきをもたらします。赤ワインは皮ごと漬け込んで造るため、白にはない渋みが出ます。
重さ(ボディ)
口の中で感じる重みです。アルコール度数、果実の濃さ、樽の使い方などが合わさって決まります。重いほど飲み進めるのに体力が要ります。ボディそのものの考え方はワインのボディの記事に整理しました。
この2つは品種でおおよそ決まります。つまり、品種を軽い順に並べておけば、苦手を避けられるということです。
ひとつ補っておきます。苦手の申告は、人によって逆方向に出ます。渋いのが苦手という方がいて、一方で甘すぎるのが苦手という方もいます。どちらも実際にある声です。渋みが苦手なのは欠点ではなく、好みの位置です。
赤の5タイプ早見表(軽い順)

渋みと重さの軽い順に並べます。ネッビオーロは渋みと酸がどちらも強いため、別枠に置いています。
| 順 | タイプ | 香り | 渋みと重さ | 合う料理の方向 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 赤い果実と軽やかさ(ピノ・ノワール) | いちご、ラズベリー、紅茶 | 渋みは穏やか、軽やか | 鶏、鴨、きのこ、出汁の料理 |
| 2 | プラムとまろやかさ(メルロ) | プラム、ブルーベリー | タンニンが柔らかく、中くらい | 煮込み、ハンバーグ、チーズ |
| 3 | 黒胡椒とスパイス(シラー) | 黒胡椒、黒い果実、燻香 | しっかりある | 羊、炭火焼き、スパイスを使う肉料理 |
| 4 | カシスと力強さ(カベルネ・ソーヴィニヨン) | カシス、プラム、杉 | 骨格が強い | 牛の赤身、ステーキ、脂のある肉 |
| 別枠 | バラと力強い酸(ネッビオーロ) | バラ、ドライフルーツ、土 | 渋みと酸がどちらも強い | 煮込んだ肉、熟成チーズ、きのこ |
品種ごとの詳細は、それぞれの記事にまとめています。ピノ・ノワールを産地ごとに合わせる記事、メルロの記事、シラーの記事、カベルネ・ソーヴィニヨンの記事、ネッビオーロについてはイタリアワインの記事をご覧ください。
この表のどこから始めるとよいかは、5分のワイン診断で確かめられます。渋みの好みも設問に入っています。
最初の1本は、ピノ・ノワールかメルロ
渋みが不安な方の最初の1本は、ピノ・ノワールかメルロをおすすめしています。
ピノ・ノワールは「赤ワインの宝石」と呼ばれる品種で、繊細で優雅な味わいです。冷涼な産地のものに品質の高いものが多く、いちごやラズベリーのような赤い果実の香りが前に出ます。渋みは穏やかなので、白ワインから赤へ移る橋渡しになります。
メルロは、タンニンが柔らかい品種です。ブルーベリーやプラムのような果実味があり、単独でもブレンドの相手としても優秀です。渋みより果実が前に出るので、渋みが苦手な方の入口に向きます。
入門の三本として私が挙げるのは、白のソーヴィニヨン・ブランとシャルドネ、赤のピノ・ノワールとカベルネ・ソーヴィニヨン、そしてスパークリングです。ただし、渋みが不安だとおっしゃる方には、カベルネを後ろに回して、ピノ・ノワールかメルロから入っていただくことが多いです。
慣れてきたら、シラーやカベルネ・ソーヴィニヨンへ進みます。カベルネは「赤ワインの王」と呼ばれ、骨格が強く長期熟成に向く品種です。強さがあるからこそ、脂のある肉と合わせたときの釣り合いが見事になります。
鴨にカベルネを合わせると、鴨が消える
渋みの話を、厨房の実例でお伝えします。
鴨肉のローストにベリーのソースを添えた一皿があります。ここにピノ・ノワールを合わせると、ベリーの果実味がソースのベリーと響き合い、ライトなワインでありながら鴨肉のボリューム感とちょうど釣り合います。
同じ皿に、タンニンの強いカベルネ・ソーヴィニヨンを合わせるとどうなるか。釣り合いません。 鴨肉は見た目のボリュームに対して脂質が少なく、たんぱくな身質です。そこに強い渋みをぶつけると、鴨の味わいよりワインの味わいが勝ってしまいます。
この例は、この皿においてはという限定つきの話です。ライトが正解で、フルが不正解という意味ではありません。お伝えしたいのは、「重い料理には重いワイン」という単純な足し算では決まらないということです。見た目の重さと、実際の身質のズレを読む。そこがボディ選定の本質になります。
渋みは、料理で変わる
同じ赤ワインでも、渋みの感じ方は料理で変わります。これは理屈ではなく、厨房で日々起きていることです。
渋みを和らげる、厨房の手立て
使う手立ては2つです。脂と塩です。
| 手立て | 何が起きるか | 例 |
|---|---|---|
| 脂 | 渋みが脂に溶け、口当たりがなめらかになる | 牛の赤身の脂、豚の煮込み、チーズ |
| 塩 | 渋みの輪郭がやわらぎ、果実味が前に出る | 塩をきかせた焼き肉、生ハム、熟成チーズ |
ですから、渋みが強いと感じた赤は、単体で飲み進めるより、脂と塩気のある料理を隣に置くほうが楽になります。ステーキに濃い赤が合うと言われるのは、好みの問題ではなく、こうした作用があるからです。
逆もあります。渋みの強い赤を、脂のない淡白な料理と合わせると、渋みだけが前に出ます。先ほどの鴨とカベルネの例が、まさにそれです。
合わせ方の考え方としては、ワインと料理のどちらを主役にするかを決めて、従う側の味わいの総量をほんの少し下げるのが基本です。同じ強さでぶつけると、互いを消してしまいます。
少し冷やすと、赤は飲みやすくなる
もうひとつ、すぐに効く手立てがあります。温度です。
「赤は常温」と言われますが、この言葉には落とし穴があります。常温という言葉が生まれた頃のヨーロッパの室温は、せいぜい16〜18℃でした。 日本の夏に28℃の部屋に置かれた赤は、適温を10℃も超えていることになります。
出発点の目安はこちらです。
| タイプ | 温度の出発点 |
|---|---|
| 軽い赤(ピノ・ノワール、軽めのもの) | 13〜15℃ |
| しっかりした赤(カベルネ、ネッビオーロなど) | 16〜18℃ |
軽い赤には「少し冷やす赤」という選択肢があります。冷蔵庫に20分ほど入れてから出すと、13〜15℃に近づきます。果実味が締まり、だらけた印象がなくなります。
ただし、冷やしすぎると渋みが尖ります。覚えておくのは次の一方向だけです。温度を下げると酸とタンニンが立ち、上げると香り・甘み・厚みが出ます。 ですから、渋みが硬いと感じたときは2℃上げます。グラスを手で包むか、室温に10分置く。温度の変化は室温・残量・時間で変わります、変化は10分から15分で体感できます。温度計は要りません。詳しい動かし方はワインの適温の記事にまとめました。
ラベルの見方と、最初の予算
売り場で見るのは4つの要素だけです。
1. 産地 … 同じ品種でも、産地によって造り方の方向性が違います
2. 品種 … 渋みと重さの見当がつく、いちばん大きな手がかりです
3. ヴィンテージ … 熟成感のイメージをつけるために見ます
4. アルコール度数 … 度数が高いほどボリューム感があり、合わせる料理も重めが向きます
同じピノ・ノワールでも、産地と造り手によって別人格になります。冷涼な産地では繊細さが出て、温暖な産地では肉厚な果実感が出ます。ラベルの読み方はワインラベルの読み方の記事に詳しくまとめました。
予算については、最初の一本を価格で選ばないことをおすすめしています。理由は、熟成を前提に造られたワインは、早く開けすぎるともったいないからです。ポテンシャルの高い一本を若いうちに開けると、渋みだけが立ったまま飲むことになります。価格帯が上がるほど、そうした一本に当たる機会は増えると感じています。
はじめは、手に取りやすい価格帯で、品種を軸に選ぶ。これを2〜3本くり返すほうが、自分の位置が早く分かります。
自分のタイプを知る
5タイプのうち、どこから始めるとよいかが分かると、売り場での迷いはほとんどなくなります。
5分のワイン診断では、香りと味わいの設問に答えると、赤と白それぞれのタイプが出ます。結果に合わせた品種ガイドは公式LINEでご案内しています。お店で頼むときのひと言の例も入れてあります。
診断の結果は、好みに近い方向を探す目安です。グラスを並べて飲み比べて、はじめて分かります。
いちばん早いのは、渋みの違う2本を同じ日に開けることです。ピノ・ノワールとカベルネ・ソーヴィニヨンを並べれば、渋みの幅が一度で体に入ります。一本ずつ日を変えて飲むと、比較は記憶の中でしか起きません。
Na Team Labでは、毎月テーマを立ててワイン会を開いています。コース料理とともに6杯を合わせる会と、10〜15本を並べて立食で楽しむ会の2つの形式があります。品種別・ヴィンテージ別のように共通点を作って並べるので、違いが分かりやすい構成にしています。これまでの会では、7割近くの方がお一人で参加されています。
まとめ
赤ワイン初心者がやることは、渋みを避けることではなく、渋みの順番を知ることです。
- 「赤が苦手」の正体は、渋み(タンニン)と重さ(ボディ)の2つです
- 軽い順はピノ・ノワール、メルロ、シラー、カベルネ・ソーヴィニヨン。ネッビオーロは渋みと酸が強いので別枠です
- 最初の1本は、渋みが穏やかなピノ・ノワールかメルロから始めると続きやすくなります
- 渋みは料理で変わります。脂と塩気のある料理を隣に置くと、渋みはやわらぎます
- 軽い赤は13〜15℃、しっかりした赤は16〜18℃。日本の夏の室温は高すぎます
- 渋みが硬いと感じたら2℃上げます。冷やしすぎは渋みを尖らせます
次の一本は、ふだん選ぶものより一段軽いタイプを試してみてください。渋みの位置が、そこで見えてきます。
よくある質問
渋くない赤ワインの品種はどれですか?
ピノ・ノワールとメルロが代表です。ピノ・ノワールは赤い果実の香りで軽やか、メルロはタンニンが柔らかく、プラムのような果実味があります。どちらも渋みより果実味が前に出るので、赤ワインの入口に向きます。
赤ワインは冷やしてもいいですか?
軽めの赤は13〜15℃が出発点なので、少し冷やすほうが向きます。日本の夏の室温に置いた赤は、適温を大きく超えていることがあります。しっかりした赤は16〜18℃が目安です。冷やしすぎると渋みが尖ります。
甘口の赤ワインは初心者向けですか?
選択肢にはなりますが、甘口は白のほうが種類が多く、選びやすいと感じています。赤の渋みが不安な方は、甘さで隠すよりも、渋みの穏やかな品種を選んで料理と合わせるほうが続きやすいです。
一杯の違いを、料理とともに確かめる。
少人数のワイン会で、グラス、温度、料理との関係を実際に比べます。

