グラスワインを頼んだら、思っていたより少なかった。家で人数分を用意しようとして、何本買えばいいのか分からなくなった。ワインの量については、こうした戸惑いがよく起こります。

ビールやウイスキーと違って、ワインには「1杯」の共通イメージがありません。注ぐ器の大きさもまちまちで、グラスの七分目まで入っていることもあれば、底の方に少しだけ注がれていることもあります。

けれども、現場では目安が決まっています。お店で出すグラスワインは1杯90〜125mlほど。750mlのボトル1本から、6〜8杯が取れる計算です。少なく見えるのは、ワインの場合、残した空間そのものが器の一部として働いているからです。

この記事では、グラスワイン1杯の量を種類別に整理し、ボトル1本で何杯取れるか、グラスの形ごとの注ぐ位置、お店で量が違う理由、そしてパーティーやワイン会で人数から本数を決める目安まで、料理をつくる側からお話しします。

SUMMARY

結論:グラスワインの量は、お店では1杯90〜125mlが目安で、750mlのボトル1本からおよそ6〜8杯取れます。 家で注ぐときは、グラスのいちばん膨らんだところより下で止めると香りが立ちやすくなります。 スパークリングは泡が立ち上がる分だけ少し多めに、甘口のデザートワインは50〜70mlと少なめに注ぎます。 食事中心の会ならお一人あたり半本程度、ワインが主役の会なら0.7本程度を目安に、会の形式で本数を変えます。

あわせて、造り方からワインを知るとラベルの読み方を知るもご覧ください。

グラスワイン1杯の量は、90〜125mlが目安

まず、種類別に整理します。

種類1杯の目安そうする理由
赤・白90〜125ml香りを溜める空間をグラスに残すため
スパークリング赤・白より少し多め泡が立ち上がる分、落ち着くと液面が下がるため
デザートワイン(甘口)50〜70ml甘さと度数が強く、少量で満たされるため
試飲ごく少量種類を続けて回るため

90mlと125mlでは、見た目がかなり違います。同じ「グラス1杯」と呼ばれていても、35mlの差があるということです。

量が控えめな理由は、二つあります。

ひとつは、香りのための空間です。ワインの香りは、液面の上にある空気の層に溜まります。グラスを回したときに香りが立ち上がるのも、その層があるからです。縁の近くまで注いでしまうと、溜まる場所がなくなります。

もうひとつは、温度です。注いだワインは、グラスの中で少しずつ温度が上がっていきます。量が多いと、飲み終える前に温度帯から外れてしまいます。冷えすぎた一本は香りも酸も読み取りにくくなりますが、ぬるくなった白も同じように輪郭を失います。少なく注いで、何度か注ぎ足すほうが、最後の一口まで同じ表情で飲めます。

ボトル1本で何杯取れるか

ボトルからグラスへ赤ワインを注ぐ実写写真
一杯の量はグラスの大きさではなく、注ぐ量で決まります。

750mlを基準に計算すると、こうなります。

ボトル容量1杯90mlで1杯125mlで
ハーフボトル375ml約4杯約3杯
標準ボトル750ml約8杯約6杯
マグナムボトル1,500ml約16杯約12杯

標準ボトルで6〜8杯。1杯はボトルの7分の1前後という見当になります。この数字を持っておくと、人数から本数を逆算できるようになります。

ハーフボトルが役に立つ場面もあります。一人で飲み比べを試したいとき、ハーフを2本使えば、同じ品種の産地違いを一人でも並べられます。標準ボトル2本では、飲み切るのが難しくなります。

グラスの形と、注ぐ位置

量は、ミリリットルで覚えるより、グラスのどこまで注ぐかで覚えるほうが実用的です。計量カップを持ち出さずに済みます。

目安は一つです。グラスのいちばん膨らんだところより下で止める。

この位置で止めると、液面の面積がもっとも広くなります。香りが立つ面積が最大になり、その上に空間が残ります。グラスを回しても、こぼれません。

形によって、同じ「膨らみの下」でも入る量は変わります。

型形の特徴同じ位置まで注いだときの量
白ワイン型(中型)ボウルがやや小さい控えめ。温度が上がりにくい
ボルドー型背が高く、すぼまる標準的
ブルゴーニュ型丸く大きい多めに見えるが、膨らみの下なら量は抑えられる
フルート細長い少量でも背が高く見える

ブルゴーニュ型は、器が大きいので「なみなみ注いでしまいがち」な形です。けれども、膨らみの下で止めれば、量そのものは標準ボトル6〜8杯の範囲に収まります。器の大きさは、量のためではなく香りのためにあります。

グラスの形が味に与える影響については、ワイングラスの種類の記事で詳しく扱っています。ボウルの大きさが香りの広がり方を決め、飲み口のすぼまり方が、ワインが舌のどこに落ちるかを決めます。

お店で1杯の量が違う理由

同じ「グラスワイン」でも、店によって量が違います。これには理由があります。

ひとつめは、ボトルから何杯取るかを店が決めているからです。 750mlを6杯で出す店と8杯で出す店では、1杯あたり35mlほど違います。価格設定、提供する品の原価、1日に開ける本数の見込み。これらから逆算して、店ごとの1杯が決まっています。

ふたつめは、残りを翌日に回せるかどうかです。 抜栓したボトルを早く使い切りたい店は、1杯を多めに取ります。保存の設備が整っていて翌日以降も使える店は、少量ずつ丁寧に出せます。

みっつめは、何杯目かです。 ペアリングのように1人に何杯も出す設計では、1杯は少なめになります。6杯出す構成で1杯125mlを注げば、合計750ml、ボトル1本分になってしまいます。コース全体で成立させるために、1杯の量は絞られます。

つまり、量が少ないことは手抜きではなく、何杯で組まれた構成かという設計の表れです。頼むときに「ペアリングですか、グラス単品ですか」と確かめると、出てくる量の見当がつきます。

人数から本数を決める目安

ここからは、主催する側の話です。

本数は会の目的から決めます。食事が主役ならお一人半本程度、ワインを飲み比べる会ならお一人0.7本程度が出発点です。後者なら10名で7本前後。1杯を少量ずつ注ぎ、種類を比べることもできます。

この換算を使うと、人数から本数が出せます。

人数ワインが主役の会の目安(お一人0.7本換算)
4名3本前後
6名4〜5本
8名6本前後
10名7本前後
16名11〜12本

表は0.7本換算を端数が足りなくならないように丸めた目安です。飲まない方の人数、食事の比重、会の長さに応じて調整してください。乾杯だけの会なら、これほどの本数は要りません。

出す順番は、泡から白、白から赤へと進めるのが一般的な作法です。軽いものから重いものへ向かうと、前の一杯が次の一杯を邪魔しません。

本数の設計をもう少し詳しく知りたい方は、ワインパーティーを数から設計する記事にまとめました。持ち込みの本数を決めるときの考え方は、ワインを持ち込むときの作法の記事で扱っています。

脚の数は、本数ではなく杯の数で決まる

本数と並んで、見落とされやすいのがグラスの数です。

グラスは、お一人1脚が最低ラインです。 ただし、これは「1人1杯しか飲まない会」の数字ではありません。同じ1脚で何度も注ぎ足す前提の数です。

型を替えるなら、話は変わります。注ぐ杯数の分だけ脚数が要ります。 お一人6杯のペアリングなら、6脚。理由は単純で、グラスが変わると同じワインの味が変わってしまうからです。前の一杯の香りが残ったグラスに次を注ぐと、設計した通りには届きません。

Na Team Labのレストランには、ワイングラスが約100脚あります。6〜8名の店にしては多い数ですが、お一人6〜8脚に対応してフルペアリングを組むには、この数が要ります。出張料理では、器やカトラリーと一緒に、ワイングラスも人数分持参します。 ご自宅にグラスが揃っていなくても、こちらで持っていきます。

主催される方には、本数を数えたあとに脚数を数えることをおすすめしています。本数が足りていても、脚が足りなければ、同じ夜に飲み比べは組めません。

ワイン会と貸切での、実際の本数

実際の会では、どれくらいの本数が並んでいるか。目安としてお伝えします。

Na Team Labで毎月開いているワイン会では、1回あたり6本から15本を並べます。会の規模に合わせて増減し、品種別・年代別・産地別のように共通点を作って飲み比べる形を基本にしています。参加人数は8名から30名ほどです。

形式によって本数は変わります。コース形式では7品ほどの料理とともに味わうため、ワインは絞られます。立食の形では人数が多い分ワインも多めになり、10本から15本ほどが並びます。

貸切でお使いいただく場合、ワインの持ち込み料は無料で、本数の上限もありません。 ご自宅のセラーから持ち出した一本を、人数分のグラスとともに開けていただけます。会場を別に手配する場合でも、持ち込みの条件は変わりません。

ご相談は公式LINEにて承っています。人数と「飲みたい方向」を教えていただければ、本数と脚数の見積もりからご案内できます。

まとめ

グラスワインの量は、覚える数字が少ないほど実用的です。

  • グラスワイン1杯の量は90〜125mlが目安。750mlのボトル1本から6〜8杯取れます
  • スパークリングは泡の分だけ少し多めに、甘口のデザートワインは50〜70mlと少なめに注ぎます
  • 家で注ぐときは、グラスのいちばん膨らんだところより下で止めると香りが立ちます
  • お店で量が違うのは、1本から何杯取るか、何杯目かという設計の表れです
  • ワインが主役の会なら一人0.7本。10名なら7本前後を出発点にします

次に家で注ぐときは、ミリリットルを測らなくてかまいません。膨らみの下、という一点だけ覚えておいてください。

よくある質問

グラスになみなみ注ぐのはマナー違反ですか?

作法として避けられています。縁の近くまで注ぐと香りが溜まる空間がなくなり、グラスを回せなくなるためです。もてなしの気持ちから多く注ぎたくなりますが、ワインの場合は控えめに注いで何度か注ぎ足すほうが、相手にとって飲みやすい形になります。

グラスワイン1杯のアルコール量はどれくらいですか?

1杯90〜125mlで、度数によって含まれるアルコール量は変わります。同じ1杯でも、軽い白と度数の高い赤では差が出ます。ワインは食事と並行して進むため体感が追いつきにくく、酔いやすく感じることがあります。詳しくはワインが酔いやすい理由の記事に整理しています。

飲み比べのときは1杯どれくらい注ぎますか?

通常より少なめに注ぎます。3種類を比べるなら、1杯を半分ほどにしても合計は通常の1杯半ほどに収まります。並べて比べるのが目的であれば、量より「同じ量を同じ形のグラスに注ぐこと」のほうが結果に効いてきます。

Na Team Lab オーナーシェフ 川原壯太
ABOUT NA TEAM LAB Na Team Lab|株式会社Na Team

東京・恵比寿を拠点に、出張料理・店舗貸切・料理教室・ワイン会を展開。料理、ワイン、空間、その日の時間までを設計し、食を通して心に残る体験をつくっています。

執筆:(オーナーシェフ)。年間200件を超える出張料理・会食の経験をもとに、現場の視点をお伝えします。

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一杯の違いを、料理とともに確かめる。

少人数のワイン会で、グラス、温度、料理との関係を実際に比べます。

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